村を変えた女性たち
2017年05月09日付 Prothom Alo紙

(3月28日付)ある休日の朝。一軒の家の庭に座って様々な年齢の女たちが、女性の胸元を飾るショール、オルナづくりの仕事をしている。おしゃべりしたり、笑ったり、冗談を言ったりしながら手を動かしている。

 その光景はナラヨンゴンジョ県ルプゴンジョ郡カエトパラ・ユニオンの村の一つ、ボラル村のある家のものだ。そこには38歳のジャミルン・ネシャさんもいれば、六年生のイム・アクタルちゃんもいる。ロクシャナ・アクタルちゃんという少女とその母であるジャハナラ・ベゴムさんもいる。プラスチック製のスツールや椅子に座ってかぎ針を操る。家庭の出費を賄うために仕事をしている人もいれば、自分の学費を満たすのと並行して家計を助けている場合もある、ということであった。

 ジャミルン・ネシャさんには三人の娘と二人の息子がいる。彼女が言うには、「以前は帽子を作っていたのですが、こちらの方が稼ぎが良いので、8カ月前からオルナをつくる仕事をしています。おかげで家計が楽になりました」。イムちゃんは言う。「学校が休みだったら毎日10枚作れるわ。学校があるときは6枚ね」。イムちゃんは自分で稼いだお金で学費を払っている。余ればお母さんに家計のために手渡す。イムちゃんの母親のアメナ・ベゴムさんもこの仕事をしている。「夫は日雇い労働者で、娘と夫の収入がなければ家庭は逼迫していたでしょう。娘も学校に通えなかったと思います」とアメナさんは語った。

 ジャハナラ・ベゴムさんは夫が三度脳卒中を起こし稼ぐ力を失った後、娘と一緒にオルナづくりをして家庭を支えている。

 最近ボラル村を訪れ、村の中を回ってみた。たところ、二、三軒の家で続けて様々な年齢の女性たちが、かぎ針を使って縫物の仕事をしているのが目に留まった。聞いてみると、村のほぼすべての家の女性たちがこの仕事をしているとのことであった。この仕事をすることで、女性たちは自分たちの家庭の状況を変えたのだ。それと一緒に村の風景も変わった。女の子たちの就学率も増えた。

 村のかなり多くの男女たちから聞いた話では、農地が減少してしまったのと村の隣に流れるシートロッカ川が埋め立てられてしまったので男たちの仕事が少なくなってしまったそうだ。この影響は家庭や家族にも及んだ。この状況を変えるために女性たちがかぎ針を手に登場したというわけだ。オルナひとつを作って10から12タカ(14円から17円)を得られる。収入は人により月に2,000タカ、3,000タカ(2,800円から4,200円)、さらにもっと稼ぐ人もいる。家族のうち2,3人あるいは4人がオルナの仕事をしている家庭もある。こうしてもたらされた収入は家計の必要を満たし、学費を賄っている。さらにボラル村も「オルナの村」という新しい名前で知られるようになったという。村の人たちからそんな話を聞いて思い出した。ここの来る途中、ある市場でボラル村の方角を尋ねた際に何人かの人から、オルナの村に行くのか?と聞かれたのだった。
 
 地元の人々によると、この村の女性たちはずっと前から縫物が得意だったそうだ。なかには趣味としてサリーやオルナを作っていた人もいる。しかし、のちにそれが収入の手段となった。はじめのうちは主に帽子や身体を清潔にするためのスポンジを作っていた。セーターを編む人もいた。けれどもオルナづくりの方が収入が良いため、ここ2年、女性たちはこの仕事をするようになっている。村の何人かの女性はダカのチョクバジャルやナラヨンゴンジョ県のガウチヤ・マーケットに出かけて注文を取って来る。オルナ1枚につき30タカの契約だ。そして村の女性たちにオルナ1枚10タカから12タカで仕事を回す。差額は注文を取ってきた女性たちの取り分となる。そのうちのひとり、クルシュム・ベゴムさんのひと月の収入は2万タカ(2万8,000円)を超える。

 縫物の手を動かしながら何人かの女性が言った。この仕事の便利なところはいつでもできることなんです、と。家事の合間、時間があるとき、勉強の合間、料理をしながら、午後の時間におしゃべりしながら、そして夜も楽にできる。「家事を終えてオルナを縫います。時間つぶしになるし、生鮮食品を買うためのお金も稼げます」と主婦のレシュマ・アクタルさんは話していた。

 高齢の女性たちもこの仕事をして家計を賄っている。そのひとり、60歳のアシュマ・ベゴムさんが黒いオルナに刺繍を施しながら話をしてくれた。息子が3人いるのだけれどもだれも面倒を見てくれず、オルナの仕事をして暮らしているのだという。

 カエトパラ・ユニオン議会前議長のモハンマド・グルジャル・ホセンさんは、「ボラル村だけではなくカエトパラ・ユニオン全体の女性たちも手仕事が得意なのです。縫物をすることで女の人たちは自立しました。それにより女性たちの家庭における経済的な状況も良くなっているし、依然と比較して、女の子たちが学校に通う割合も増えました」と言う。

 女性たちが収入を得ることで村全体の社会経済的な状況に変化が生まれている。土の家の代わりにトタンの家が建ち、トタンの家に代わってレンガやコンクリート造りの家が建ち始めた。夕方におやつを食べることも現在一般的になっている。豊かになったことで、土のかまどをやめて料理にガスを使う人も出てきた。そんなひとり、カクリ・アクタルさんは「ガスのオーブンで料理すれば手間もかからず、時間も節約できます」と語っていた。

 しかし女性たちがこうして収入を得始めたころは、家の男性たちはよく思わない向きもあった。だが家庭は豊かになってくるし、家の中でできる仕事だということが分かってくると、もはや男たちは反対しなかった。むしろ喜んだ。オルナの仕事をしている女性の夫たちに聞いてみると、夫たちにとっては家計を支える負担が減り、収入も増えてゆとりもでてきたということだった。

 「2人の娘と妻がオルナづくりをしているというのは村で食料雑貨店を営むアマヌッラ・ビャパリさんだ。「女たちが稼いでくれたお金で土造の家を壊しトタンの家を建てました」と言う。ジャムダニ・サリー作りの職人、ヤシン・ミヤさんは奥さんがオルナの仕事をしている。「夫婦ふたりで稼げば家計がうるおい、家庭に幸せがやってきますよ」とヤシン・ミヤさんは語った。

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(翻訳者:大塚圭華)
(記事ID:631)