新生児の3割が帝王切開で
2017年11月23日付 Prothom Alo紙
バングラデシュでは新生児10人中3人が帝王切開によって生まれており、その割合は世界保健機関(WHO)が基準とする割合よりも高い。専門家たちは「半数以上の帝王切開は不要なものだ」としている。
これは 「バングラデシュにおける妊産婦死亡と健康管理に関する2016年調査」で明らかになったもの。昨日水曜日、ダカのあるホテルで行われた報告会で明らかにされた同調査の結果によると、国内で年に約31パーセントの新生児が帝王切開によって出生しているという。
WHOは10〜15パーセントの出産時に何らかの問題が起き、その場合には命を守る手段として帝王切開を行う必要がある、としている。
しかし先述の調査結果によれば、バングラデシュではWHOが基準とする割合の2倍以上の出産が帝王切開で行われている。国内で帝王切開による出産の比率は2001年には3パーセントだったが、2010年には増大して12パーセントになった。そして現在では31パーセントになっている。研究者たちはこの増加ぶりを危惧すべきものだとして「バングラデシュで帝王切開が増加しているのはビジネス上の理由によるものだ」と指摘している。
調査の担当者によると、国内では年間310万人の子どもが誕生しているが、うち100万人が帝王切開によって生まれている。さらにそのうち95万人が私立の病院やクリニックで出生している。4万3千人はNGOの病院で、他は公立病院で行われた帝王切開手術による出産となっている。
報告会の配布資料では、帝王切開時には緊急の問題が発生し、輸血や子宮摘出をしなくてはならなかったり、いくつかのケースでは集中治療室での治療が必要となることが指摘されており、こうしたことは出産費用の増大にも関わってくる。
公立病院で帝王切開を行った場合、出産にかかる費用は12,400タカ(約17000円)、通常分娩の場合は3000タカ(約4,000円)となる。一方私立病院で帝王切開で出産の場合は20,000タカ(27,000円)、通常分娩では6,800タカ(約9,200円)の費用がかかる。
調査では、私立の病院やクリニックでの出産をする割合が増えているということが明らかになった。しかし、このした医療機関では通常分娩のための設備が整っていない。つまり、私立病院やクリニックは、通常分娩のための用意はまったく整っていないのだ。
水曜日の報告会では、複数の研究者が、バングラデシュでは不必要な帝王切開手術が行われていると述べた。一方で貧しい家庭の母親は、命を生み出す仕事にふさわしいサービスを享受することができず、多くが自らの命を落としている。
報告会に主賓として出席したジャヒド・マレク保健副大臣は、不要な手術を行うのは医療倫理にかかわる問題であり、私立病院やクリニックに対する監視をより強化する必要があると述べた。
この会合ではある研究者が、帝王切開による出産が最も多いのはブラジルだが、その割合を減らすため、ブラジルはいくつかの取り組みを行っていることを報告した。それによれば、すべての出産について病院側は、帝王切開の必要がある、またはあったことを証明するための資料を保存し、示さなければならない。この他に、通常分娩による出産を増やすため、150の病院が政府と契約を行っている。
「バングラデシュにおける妊産婦死亡と健康管理に関する2016年調査」を実施したのは国立人口研究研修所(NIPORT)で、バングラデシュ国際下痢症研究所(icddr,b)とアメリカに本部を置く人口問題研究機関 Major Evaluationが技術的支援を、アメリカの援助機関 USAIDと英国の援助機関 UKIDが金銭的支援を行った。
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(翻訳者:坪井優光、福田一葉)
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