ターリバーンとの交渉:唯一の道か?
2013年05月22日付 The daily Jang 紙
パキスタンの民衆が現在直面している厄介な問題の中で、酷い経済状況に加えてテロと好戦主義が筆頭にくる。これから組閣される政府の当局者たちがこれらの諸問題を十分に認識しており、自らの責務を引き受ける以前からそれらを克服するために熱心に計画を立案しているのは喜ばしいことである。新しい与党であるミヤーン・ナワーズ・シャリーフ・ムスリム連盟(ナワーズ派)党首は、自分のチームに経済の回復のために実施に値する措置を提案する任務を託す一方で、テロに関しても自らの指針を決めて、公表した。月曜日にラホールで党の新しく選出されたメンバーに向けて、彼はターリバーンとの交渉が国内での平和回復の最善の選択だと語った。銃と弾丸によって諸問題は解決しえないし、もしターリバーンが交渉を申し出ているのならば、それは最善の選択であり、我々はそれを真摯に受け止めるべきだと彼は表明した。パキスタン・ターリバーン運動は今年2月に、国民が最も利益となるように政府と交渉する用意があるとし、それには、ミヤーン・ナワーズ・シャリーフ、モウラーナー・ファズルッラフマーン、サイヤド・ムナッワル・ハサンと彼らの政党が話し合いの結果として取り決められた協定を実行することを保証することを条件とした。ターリバーンは選挙運動の間、この3党を攻撃の標的とすることを控えたが、これによって彼らの申し出が真剣なものであるとうかがえた。当時の政府は彼らの提案に適切な回答をしなかったが、首相になる予定のミヤーン・ナワーズ・シャリーフ氏はこの提案を受け入れる意向を示した。とはいえ、それを実行する前に、その賛否について意見を異にする諸グループの論拠についてよく考えてみるのも、慎重を期すためには当然要求されることである。あるグループの意見では、テロの根源はアフガニスタンで起こった破壊的な戦争であり、ターリバーンの本来の標的であったアメリカは帰っていこうとしている。また、ターリバーンの反発は無人飛行機による攻撃の結果でもあったのであり、アメリカの撤退後は、彼らの力も弱体化するだろうとしている。これはパキスタンに無理やり押し付けられたアメリカの戦争だったと以前は言われていたのに、今ではパキスタンもこれは私たちの戦争だと言いだしていると、このグループは考えている。別の考えを持つグループの意見では、パキスタンでのターリバーンの作戦はアメリカと何も関係がなく、彼らの本当の目的はパキスタンで支配地を広げることである。以前にもスワートの協定もふくむ和平協定が結ばれたが、これらすべての協定は失敗に終わった。その結果として、結局は彼らに対して軍事作戦を行わざるを得なくなったのである。その作戦では好戦主義者たちの死に加えて、何百人もの軍人が死亡した。アメリカがアフガニスタンから撤退した後もこの戦争は終結せず、ターリバーンが自分たちの計画を実行し続けることが懸念されている。我々の防衛関係機関もこれはパキスタンの戦争であると言っている。この問題に関する2つの見方に対してはそれぞれ賛否両論がある。過去には問題の平和的解決のための交渉が失敗に終わった。和解をしてもそれが永続的なものになるかについては確実ではない。しかし絶望や戦いよりは何度でも希望と平和に道を譲るのがより良いであろう。アイルランドでは、アイルランド人の運動団体との交渉は何度も失敗したが、その後成功した。我々も交渉による和平への努力に味方するべきである。もしターリバーンが交渉について真剣であり、諸政党を保証人にしたいと望んでいるのなら、自らも和平を保証してもらいたいものだ。もしそうなれば、交渉というオプションをぜひとも試すべきであり、会談の席上でターリバーンの立場を直接聞き、我々の立場を彼らに聞かせるべきである。面と向かってお互いに自分の立場を説明するのは容易なことだろし、諸問題の解決策も出てくるだろう。過去には世界の重大な問題がこの方法で解決されている。当該の問題も解決され、その結果として血をさらに流すことなく、平和と繁栄の時代が戻ってくることもまさしく可能なのである。
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