2005年10月13日付シャルグ紙10面
【セイエド・エマード・ホセイニー(コルデスターン州ゴルヴェ市選出議員・国会エネルギー委員会委員)】
イラン南部のアフヴァーズ、パーザナーン、ラゲ・セフィード、トランジュ、ギャチュサーラーン、アーガージャーリー、マンスーリーの8つの各油田への第一回調査の実施が、先日イラン国営石油会社(NIOC)の運営委員会で決定された。
これら8つの油田は国内でも重要な油田に数えられていることから、イラン内外のさまざまな請負業者や会社によって、一般に「バイバック」や「海外からの融資」〔*〕という形態で行われている、これらの油田の委託・経営のあり方について吟味することは、非常に重要であり注目すべきことである。
〔*注:バイバック(bey‘-e motaqabel)とは、イラン国営石油会社(NIOC)と外国の石油開発会社との間で結ばれる、石油開発に関する契約形態の一種で、外国企業がイラン油田開発のための投資にかかった費用と利益を、限られた期間内で自ら開発した生産物から受けとるというもの。イランでは、憲法第44条の規定により、国有財産である油田を外国企業に譲渡することは禁じられているが、石油産業の上流部門への外資導入を促進したいイラン政府は、この規定を回避するために、バイバックという形態を1995年頃から用い始め、一般化するようになった。しかし、この契約形態では外国企業は、投資費用の全てを負担することになり、またNIOCの請け負い業者にすぎないために契約期間が終わると開発した油田はNIOCに返却する必要があることなどから、リスクが大きい割には見返りが少なく、近年ではこの契約形態に対して外国企業が関心を失ってきつつあると言われている。また、「海外からの融資」というのも、憲法第44条を回避しつつ、外資導入を促進するための、一つの手法であると考えられ、「憲法第44条」や「海外からの融資」をめぐっては、ハータミー政権時代、行政権と司法権、護憲評議会、公益判別評議会などの間で、しばしば論議を生んできた。〕
多くの石油分野の専門家や有識者は、2015年には石油価格が最高値に達すると見ている。というのも、化石燃料の供給が需要を満たすことができなくなると考えられているからである。現在、石油の専門家らは最高の機会を手にしていると言える。つまり、彼らは現在の状況を利用して、油層に関して基礎的調査を実施することが可能なのである。なぜ基礎的調査が必要かといえば、調査が実施されない場合、すでに油田の生産量が低下していることからして、仮に今後新たな油田の発見がなければ、イランの石油生産量は急激な低下に直面することになるからだ。つまり、石油生産量の低下を防止するためには、われわれは十分に発展した技術を必要としているのである。
現在重要となっている問題は、油田の探査やそのための資金投入というよりはむしろ、油層の調査に優先的に関心を向け、油田の石油採収率〔*累計生産量の原始埋蔵量に対する比率のこと〕を上昇させることである。現在の状況では、25%程度の採収率ではあまり将来的に有望であるとは言えない。というのも、採収率が1%上昇しただけで、50億バレルの増産となるからである〔それゆえ現在の採収率では、無駄が多すぎるということ〕。
イランは現在、自国の科学技術能力を日々向上させるとともに、油層の開発に関心を向けねばならない。石油産業の誕生から100年が経過するが、油層管理はほとんど行われてこなかった。700万バレルの石油を生産し、イランの国内エネルギー供給をまかなうという目標のためには、天然ガスへのシフトを国の戦略的政策の最前に位置づけねばならない。今日の石油技術者にとっての最重要課題とは、石油採収率の上昇と採掘量の増加を可能とするような石油戦略の計画案を提示することである。
各油層の発見から採掘段階まで、油層と〔その活用のための〕テクノロジーに関して、包括的で先端的な研究が進められる必要がある。同時にまた、大学や学術機関、産業界や学界といった、石油業界以外からの研究協力を利用することも必要だ。
他国では過去何年にもわたって、油層の管理に関して議論が行われ、石油採収率の上昇のために最新の発達した技術が活用されてきたことを考えると、残念ながら、我が国ではこの問題が真剣に検討されてきたとは言い難いのが現状である。石油産業の運営・管理に関わる全ての機関には、今後この問題に特別の関心を払うことが求められよう。
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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:1124 )