NPT脱退はイランの選択肢にない:イラン原子力庁長官、ウィーンにて ハムシャフリー紙
2005年09月22日付 Hamshahri 紙

2005年9月22日ハムシャフリー紙政治面

【ISNA(イラン学生通信)】イラン核問題の検討作業が、本日(木曜)の国際原子力機関(IAEA)理事会に持ち越されることになった。昨日の理事会で、イラン・イスラーム共和国は、ヨーロッパ3カ国とアメリカがより厳しい態度で国連安保理へのイラン核問題の付託を再度強調したことを受け、IAEAが規定する諸国民の権利擁護を主張する陣営の強化と、その正当性の説明に奔走した。

 イラン原子力庁長官は、昨日現地時間午前9時、IAEA本部入りした。イラン原子力庁長官で副大統領のゴラーム・レザー・アーガーザーデ氏は、IAEA本部の置かれているビルに姿を現すとすぐに、理事会を構成する非同盟諸国にイランの立場を説明するために、同ビルの7階に足を踏み入れた。同氏はこの会合で、イラン核問題の解決のために大統領が示した独自案について説明を行った。非同盟諸国との協議で、イラン原子力庁長官は、「もしヨーロッパが以前の合意内容を守ろうとしないのであるならば、イランは、〔ウラン濃縮という〕核活動の自発的停止と、〔いまだ未批准ながらも、IAEA査察官の抜き打ち査察を認めるとなどの〕追加議定書の実施の二つを再考することになるだろう」と強調した。

 アーガーザーデ長官は非同盟諸国への説明会において、「ヨーロッパが自らが合意した内容に従わない場合、われわれは以上の二つを見直すことになろう。ただし、それはNPTからの脱退を意味するものではない」と強調した上で、さらに次のように指摘した。「われわれは、NPTの枠内で、IAEAと今後も協力していくつもりだ。イランの核問題は、IAEAの枠組みの中で解決可能であるとわれわれは信じている」。同長官はまた、非同盟諸国、中国及びロシアが取っている立場に感謝の意を示した。

 イラン原子力庁長官は、イランとヨーロッパ3カ国の協議について触れ、次のように述べた。「ヨーロッパは、客観的な保証をいかに確保するかについて、いかなる解決策も提示してこなかった。イランは、当初より4段階からなる解決案を提示し、フランスとの協議の際にも、この解決案を提示した。ところがヨーロッパ3カ国はいずれも、同案を受け入れず、〔5月末の〕ジュネーヴでの協議でようやく新たな解決案を提示すると表明した」。同長官はさらに、「当事国はすぐに協議を開始した。ヨーロッパがなぜにこの流れを停止させてしまったのか、われわれは未だ理解できない。〔5月末にジュネーヴで行われたイラン・ヨーロッパ間の核協議で合意された、ヨーロッパ3カ国がイランに対して新たな解決案を7月末までに提示するとの〕この合意は、うまくいけば6ヶ月後には決着をみることも可能な、有益なものだったはずだ」と続けた。

 同副大統領は、次のように続けた。「イラン・イスラーム共和国は、危機の創出でなく、今ある危機から脱することを目指している。ただ、もしヨーロッパが今回の〔イラン核問題の国連安保理付託に関するIAEAの〕決議案を推進させる姿勢ならば、イランは二つの自発的措置、すなわち核活動の自発的停止と、追加議定書の実施を見直すつもりだ」。

 報道陣との会見

 アーガーザーデ原子力庁長官は、同協議終了後、NPT脱退は、イラン・イスラーム共和国の選択肢にない旨強調した。同長官は報道陣に対し、「この協議では、アフマディーネジャード・イラン大統領が発表した独自案について、詳細を非同盟国、ロシア及び中国に伝える機会を得た」と述べた。アーガーザーデ長官はまた、「来週までウィーンにとどまり、IAEA総会で演説を行う予定だ」と話した。また、エルバラダイ事務局長との会談で何を話すかについては、会談後に報道陣に公表すると述べた。

 ソルターニーエと報道陣との会見

 IAEAイラン代表団上級委員の一人も、「イランがNPT脱退という脅しをかけているという情報は事実ではないと強調した。IAEAイラン代表上級委員の一人であるアリー・ソルターニーイェ氏は、イラン核問題について総論を行った昨日のIAEA理事会会議の終了後、報道陣に対し、「イランは、今後もNPTに留まるつもりだ」と語った。さらに彼は、「もしイランが脅威にさらされていると感じれば、いままで自発的に引き受けてきた措置を、今後は取りやめることになるだろう」と付け加えた。

 FOXニュース・ネットワークの記者から矢継ぎ早に質問を浴びせられた同氏は、同記者を含む報道陣全体に「IAEAのインターネット・サイトに、これまでの過去のイラン核活動に関する情報が保存してあるので、まずはそれに目を通していただきたい。そうすれば、誤解に基づいた質問もなくなるはずだ」と要望した。ソルターニーイェ氏はその上で、「イランは、自らの核活動を法的には義務ではないにもかかわらず、自発的に停止してきた。われわれはNPTとその条約上の義務に今後もコミットし、条約の履行を継続していくつもりである」と語気を強めて語った。

 同氏は、アメリカ人記者に対する回答で、「イランが18年にわたって核活動を秘密裏に行ってきたとの非難は、なんら根拠がない。IAEAに対するイランの説明や回答は、IAEAに記録として残されており、入手も可能である」と説明した。同氏はもう一度次のように念を押した。「曖昧な点を取り除くためにもう一度申し上げるが、イランはNPTから脱退するつもりはない」。

 IAEAがより大きな権限を安保理から得るべく奔走しているとされる点について、同氏は次のように語った。「IAEAが外部からこれ以上の権限を得る必要はない。もしそのような必要があるのであれば、非同盟諸国が考えているように、IAEAメンバー各国間で協議を行い、検討された後、与えられるべきであろう」。同氏はさらに「非同盟諸国は、他の機関から権限を増大させてもらうという趣旨のIAEAの主張に、まったく正当性を見出していない」と付け加えた。ソルターニーイェ氏はさらに、「イランの核活動は、完全に平和路線をたどっている。我が国の防衛ドクトリンに、大量破壊兵器が入り込む余地は無い」と続けた。

 昨日の朝の理事会では、イギリスがEUを代表して、イランに対する声明を発表した。アメリカやオーストラリア、カナダ、日本も、イランに対して独自の声明文を読み上げた。複数の外交官の伝えるとことによれば、これらの国々は、イランの核問題は脅威とみなされることを理由に、安保理へ付託されるべきだと主張しているという。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:939 )