オーストリア首相の対トルコ強硬姿勢、真の狙いは地方選対策?(Milliyet紙)
2005年10月01日付 Milliyet 紙
トルコに対する強硬な態度で10月3日の交渉開始を危険にさらすオーストリア首相シュッセルだが、そうした態度の背景には10月23日のウィーン地方選挙で勝利したいとの思惑があるようだ。
トルコのEU加盟交渉が月曜日に開始できるようEU加盟国の合意が必要な交渉枠組み文書に関して行われた会議を、「特権的なパートナーシップ」という代替案を文書に盛り込むことを主張して譲らず紛糾させたシュッセル政権だが、AP通信に語ったオーストリアの分析家によると、こうした態度をとることで反トルコ派の国民の票を得ようとしているという。
しかし分析家たちは、オーストリアが最終的には態度を変え、明日行われる見込みの特別EU外相会議で交渉枠組み文書を承認するだろうとの見方を示した。オーストリアは、同じカトリック教国である隣国のクロアチアが今だ加盟交渉の席に着けない一方で、トルコとの交渉が開始されることは理解できないと機会あるごとに表明している。
■得票を見込む
AP通信に語ったドナウ大学のピーター・ウィルツマイアーは、オーストリア人の大多数がトルコのEU加盟に反対しているとし、シュッセルの強固な反対には国内で行われる選挙に向けたキャンペーンの要素が含まれていると述べた。ウィルツマイアーは、「(トルコとの)交渉開始に反対することは、オーストリアで選挙キャンペーンをする際に票を集める簡単な方法だ」と話した。最近行われたアンケートによると、オーストリア人の77%がトルコのEU加盟に反対している。
ウィーン大学政治学部長シグリンデ・ローゼンバーガーも、連立政権の「もろい」存立構造がシュッセルの態度に影響していると述べた。連立政権は、シュッセルが党首を務める国民党と外国人に反対する右派の自由党から生まれた「オーストリアの将来のための連合諸党」からなる。ローゼンバーガー氏は、「連立政権は生き残るために闘っている。これが真の政治だ」と話した。
■最後には態度を変えるだろう
フィルツマイアー氏とローゼンバーガー氏は、オーストリアが最終的にはトルコへの反対をやめ、交渉開始を望む他のEU加盟国に賛成するだろうと考えている。ローゼンバーガー氏は、「オーストリアは行き止まりの道に入った。ヨーロッパの1プレーヤーになりたいのなら、ポジションを改めなければならない」と話した。フィルツマイアー氏は、「どういう形であれ1対24という構図で闘えるだけの政治力は我々にはない。オーストリアの地位には、(どちらの選択をしようと)長い目で見れば大きな違いはない」と話した。
■国会で議論
ウィーンで前日行われた国会では、多くの国会議員が、シュッセルにこのままオーストリア国民の意思に沿い続けるよう求めた。自由党のリインハード・ボエシュ氏は、シュッセルがトルコ問題で強い態度をとり続けることを望んだ。野党第一党である社会民主党のアルフレード・グセンバウアー党首も、トルコ問題について「政府と同じ政策を共有している」と述べた。
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( 翻訳者:岩根 匡宏 )
( 記事ID:984 )