アルジェリア国民投票「平和と和解の憲章」を承認(アル・ナハール紙)
2005年09月30日付 Al-Nahar 紙

■ アルジェリア人は国民投票で「平和と和解」を選択

2005年9月30日付アル・ナハール紙(レバノン)HP1面

【AFP、ロイター、AP】

 昨日、総数1800万人のアルジェリア人有権者が「平和と国民和解の憲章」への国民投票に票を投じた。この憲章はアルジェリア大統領アブドゥルアズィーズ・ブーテフリーカが提案したもので、1992年以来15万人の死者と数千人の行方不明者をもたらしたテロと暴力を過去のものにすることを目的としている。一方この国民投票に批判的な人々は、この憲章が過去の犯罪の犯人らをきれいに忘れさせるものであると主張している。最終的に可決が見込まれるなかで、最も大きな争点は投票率にあるという点に報道は注目している。野党や人権擁護組織の大半はこの憲章を拒否しているからである。

 内務省の発表によれば、朝10時(グリニッジ標準時9時)のアルジェリア各地の投票率は17.10%に達し、現地時間14時(同13時)には全国平均で44.1%へと上昇した。

 部族地域では、ブーテフリーカ大統領がベルベル人の言語である「アル=タマジグト」の公用語化を拒否したことに抗議して有力諸部族からなる「タンスィーキーヤ・アル=ウルーシュ(諸部族連合協会)」がゼネラル・ストライキを呼びかけ、投票率は全国で最低のレベルを記録した。

 内務省は投票率が、アルジェリアで投票したアルジェリア人は58.44%、国外在住のアルジェリア人有権者の33.8%に達し、先週土曜日以降全体で90万3千人の有権者が投票を行ったと見られると発表した。

 投票率は14時までに高い投票率を記録したのは、首都から南東430kmのアル=アウラース地方バートゥナで60.28%、首都から南275kmのジャルファーでは66.26%を記録した。首都から東110kmのティジ・ウズゥでは6.84%、首都から東260kmのビジャーヤでは7.74%にしか達しなかった。

 部族地域に根づいている2大野党「社会主義勢力戦線」と「文化と民主主義のためのグループ」は国民投票のボイコットを呼びかけた。

 一方「タンスィーキーヤ・アル=ウルーシュ(諸部族連合協会)」は、ブーテフリーカ大統領がベルベル語の公用語化を拒否したことに抗議して、ゼネラル・ストライキを呼びかけた。

 アルジェリアの各紙は、投票率が国民投票の真の争点になるであろうと報じていた。と言うのも、投票する場合には「賛成」になるのが決定的であったからである。

 自身のプランに正統性を与えるに足る高い投票率を期待するブーテフリーカ大統領は、昨日午後首都で自身の投票を行った。同様にアフマド・ウーヤフヤー首相は「この国を揺るがしている危機から脱出するための基本的な曲がり角だ」と語った。

 大統領は投票キャンペーン中に国中をめぐり、自らのプランを支持するために、挙げて憲章に賛成するようアルジェリア人に訴えてきた。

 40万の投票所は現地時間8時(グリニッジ標準時7時)から 20時(同19時)まで門を開いた。一部の大都市では投票が延長された。

 投票者の前には憲章への賛成と反対を示すため2つのカードが置かれた。ひとつは「賛成」と書かれた青いカード、もうひとつは「反対」と書かれた白いカードであった。

 国外在住の90万人以上のアルジェリア人(うち76万2千人はフランス在住)は、先の土曜日に投票を開始していた。サハラ地域のベドウィンの投票も月曜日から移動事務所で始まっていた。

 ブーテフリーカ大統領は「平和と国民和解の憲章」を、前回1999年の国民投票で承認され何千人もの武装イスラム主義勢力の投降を導いた「市民の連帯」の論理的な延長線上にあるものとみなし、この憲章が同国の平和と経済・社会開発の推進を強化するだろうと強調した。

 アルジェリアでは1991年12月の第1回国会選挙で「イスラム救国戦線」が勝利した直後に解散させられ、第2回選挙が中止された後、1992年初めから武力紛争が勃発していた。

 憲章では「大量虐殺、女性の強姦、公共の場への攻撃に爆弾を使用した者たち」を除いて、「武力活動を停止し武器を放棄した者たちについては司法上の訴追を免除すること」が書かれている。また 90年代に6千人以上が行方不明になったことは治安部隊の責任であるとの考えを否定している。政府が任命した人権問題を担当する委員会は最近、行方不明者の多数は警察に拘束された後に姿を消したことを明らかにしている。

 憲章は「イスラム救国戦線」指導者らにはいかなる政治活動をも禁じ、テロによる行方不明者や被害者の家族に補償することを定めている。

 野党と人権擁護団体のほとんどは大統領のイニシアティヴについて、特に1992〜1998年にイスラム主義運動を支援したと疑われた数千人の行方不明に関与した治安部隊に無罪放免を与えることを当局に許すことになると訴え、これを拒否した。

 それに対し、多くのアルジェリア人は国中に吹き荒れた数々の流血の出来事を経て平和への希求を感じている。

 アルジェにある貧しいバーブ・アル=ワード地区で投票するため並んで待っていた年金生活者のムハンマド・ムアンマルは「私はこの国に和解がもたらされてほしい。この国がもっと良い状態に変わることを期待している。私はブーテフリーカ大統領を信頼して投票する」と語った。



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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:988 )