欧州人権裁判所:トルコの大学におけるスカーフ禁止は合法(Milliyet紙)
2005年11月11日付 Milliyet 紙
欧州人権裁判所はトルコの大学におけるスカーフ禁止法の議論に終止符を打った。17名の裁判官から構成され、欧州人権裁判所の最終審を決定する組織である大法廷は、第4法廷の判決を承認し、スカーフ禁止法を「民主主義社会にとって不可欠」とした。
大法廷の判決はスカーフ問題に関する「最終判決」となる。
イスタンブル大学医学部の元学生、レイラ・シャーヒンさんは学生時代にスカーフを着用していたがために授業への出席が許可されなかった。大法廷はレイラさんの上訴に対し、スカーフ禁止法が欧州人権条約に反していないとの考えを承認した。判決には世俗主義を強く重視する姿勢がみられ、人々の注目が集まった。
■世俗主義の必要性
欧州人権裁判所は、宗教・良心の自由を保障する欧州人権条約第9条の枠組みで審議し、トルコ憲法裁判所の判決を支持、スカーフ禁止法の必要性を主張した。
判決では、スカーフ禁止法に、「世俗主義や平等」を尊重する意図があることが強調され次のように述べられた。「大法廷は、世俗主義思想が欧州人権条約の基本原理に一致していると考える。そして、トルコの民主主義システムを維持するためにこの世俗主義原則の擁護が必要と考える。」
大法廷は世俗主義の原則が過激派宗教団体から個人を守ることを目的とすると述べ、その一方で第9条が全ての宗教的活動を擁護しないことも強調した。
■社会秩序を保つため
大法廷は、スカーフ禁止法が他者の権利・自由の尊重、そして社会秩序保持の観点にも配慮して定められたとし、「近年トルコで宗教的シンボルに政治的意味を課す傾向があるなかで、スカーフ着用の制限は、前述した二つの合法的目的(他者の権利・自由の尊重、社会秩序保持)を達成するための社会ニーズに対応した結果といえる。」と説明した。
■「スカーフ禁止法は合法、民主主義社会に必要。」
判決では次のように述べられた。「欧州人権裁判所はこのような状況下、条約に同意する国々の考えをも考慮に入れ、 スカーフ着用制限は原則的に合法で、到達目的にかなっており、そして民主主義社会に不可欠であると判断した。」
「教育を受ける権利が侵害された」というシャーヒンさんの上訴に対して大法廷は、欧州人権条約で保障されている権利が実用的かつ合法的に、そして現代的な状況に適したかたちで解釈されることが重要であると主張した。
欧州人権裁判所はスカーフ着用の制限が「前もって公表され、そして合法的」な方法をとっており、「問題なし」と述べた。
判決において、「スカーフ禁止法が原告の大学入学以前から存在したこと、そしてこの制限を原告側は知っていなければならなかったこと」が強調された。
シャーヒンさんが大学の決まりに反してスカーフ着用を継続したことに関して、「原告は授業に参加できないリスクに遭遇することが予想できたはずだ。」と述べられた。
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( 翻訳者:永井 ひとみ )
( 記事ID:1268 )