海外融資活用法案、公益判別評議会で承認 シャルグ紙
2005年11月13日付 Sharq 紙
2005年11月13日付シャルグ紙2面
【ISNA】公益判別評議会の会議が昨日開かれ、国会と護憲評議会の間で意見の相違があった二つの案件について協議、解決された。
同会議で最初に議題に上ったのは、海外融資(ファイナンス)活用法案で、同法案は国会で可決されたものの、護憲評議会から異議が申し立てられていた。同法案の協議には、経済財政相、中央銀行総裁、行政計画庁長官、国会の経済委員会委員長、護憲評議会のイスラーム法学者らが出席した。
同会議ではまず、公益判別評議会のマクロ経済・通商・行政委員会から、専門的立場からの報告がなされ、その後政府、国会、及び護憲評議会のイスラーム法学者より、それぞれの立場・見解が表明された。その後、公益判別評議会の各委員が、法案の賛否につき、自らの意見を論じ、最終的に法案の必要性に関する経済財政省及び行政企画庁の側からの意見、ならびに大統領の書簡に考慮して、国会の意思が承認される結果となった。
国会と護憲評議会の間で対立し、昨日の公益判別評議会の会議での議論に委ねられたもう一つの案件は、イラン・イスラーム共和国とアルジェリア民主人民共和国の両政府間で交わされた合意文書の批准に関する法案で、護憲評議会は同法案がシャリーアに規定に反しているとの判断を示していた。
※解説:
公益判別評議会は、国会と護憲評議会の間の意見の対立を仲裁することを自らの機能の一つとした機関で、同評議会議長はラフサンジャーニー元大統領が務めている。護憲評議会は国会が可決した法案を、イスラーム法及び憲法の観点から拒否する権限をもっており、このために国会と護憲評議会の間で意見の対立が生じた場合、国会の立法機能が麻痺する事態へと発展する。このような事態を回避し、「公益」重視の立場からイスラーム法を一時的に停止し、円滑な国の運営を可能とすることを目的として、故ホメイニー師の命により1988年に設立されたのが「公益判別評議会」で、その後1989年のホメイニー師没後の憲法改正で、公益判別評議会の存在は憲法に明記されることとなった。なお、一部日本のマス・メディアでは、同評議会は「最高評議会」などと紹介されているが、この名称は同評議会の設立の経緯や意義を正しく伝えていない。
「海外融資活用法案」は石油や天然ガス、石油化学などの産業に外国資本を導入するためのものであり、ハータミー政権時代の2005年7月に国会で可決されている。憲法第44条は、「大規模産業」や「大規模鉱山」などは「公共の所有権」に属し「政府の管轄下」にあることを謳っており、この規定が石油産業などへの外資の導入が促進されない原因となっているとされる。この憲法の規定を回避し、外資導入を積極的に図る目的で、「海外融資活用法案」が国会に上程・可決されたが、護憲評議会は「護憲」の立場から同法案に拒否権を発動したものと思われる。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:1313 )