エルドアン首相のウラマー発言は選挙対策:EU関係筋の見解(Milliyet紙)
2005年11月18日付 Milliyet 紙
エルドアン首相の「ウラマー(宗教有識者)」発言について、EUの高官が「トルコは欧州裁判所(AIHM)が出したスカーフに関する判決に従わなければならない。エルドアン首相は選挙に備えているように見える」と述べた。
エルドアン首相の「宗教有識者」発言はEUにとっても好感を持って受け入れられるものではなかった。EU関係筋は欧州人権裁判所の出した判決はトルコに対し拘束性をもつものであることを強調し、エルドアン首相のこの発言は選挙に備えてのものであるとの印象を受けると述べた。
トルコ加盟問題の詳細に通ずる某EU高官は、人権についてのEUの基準は欧州評議会であり、またトルコも同評議会の一員であることを指摘した。「従うべきシステムの仕組みも規則も自明だ。トルコは他の問題でもそうであるように、欧州人権裁判所のスカーフに関する判決についても、これに完全に従わなければならない」という。
また同氏は民主的とされる欧州の人権原理を作り上げたのは欧州評議会であることを強調し、「トルコはその欧州審議会の一機関である欧州人権裁判所の機能と審理体制も知っているはずだ。裁判所の判決に対し、最近このシステムから外れた形で議論が行われているが、そんなことに益があるとは思えない」と話した。
■エルドアンの発言に注目
エルドアン首相が最近「宗教性の高い」発言をしていることに注目すべきだと某氏は述べる。「首相の発言をみてみると、選挙で訴求力の強い宗教要素と民主主義を前面に出そうとしている。どんなときでも宗教にかかわるテーマであればトルコでは緊張を生む。しかしAKP(公正発展党)は宗教性の高い発言をした場所では何も得るものはなかった」と言う。
またデンマークの新聞に掲載され、政府の反発をも招いた預言者ムハンマドの漫画の件にも触れ、「まず何より、この漫画がひどい、悪意で持って描かれていることを認めなければならない。しかし、デンマークは法治国家だ。表現の自由を制限する法もある。この問題の結論はデンマーク司法によってとられるべきものだ」と述べた。
■ラスムセンに文句を言っても意味がない
同氏はデンマーク首相アナス・フォー・ラスムセンの態度を支持する。「この問題についてラスムセン首相に文句を言っても意味はない。首相に出来ることは何もないからだ。首相が介入してこの漫画家を罰するなどということは、残念ながらトルコでは起こりうることだろう。しかしデンマークのような国ではそんなことは夢にも思われないことなのだ」と話した。
現地の新聞はこちらから
( 翻訳者:山口 南 )
( 記事ID:1326 )