「トルコのウラマー」宗務庁宗務高等機構メンバーの顔ぶれ(Milliyet紙)
2005年11月21日付 Milliyet 紙
エルドアン首相が後日言い過ぎを認めた「スカーフ問題について言及する権利はウラマーにある」という発言によって始まった議論で、「トルコのウラマー」として知られる宗務高等機構(DİYK)メンバーに俄然注目が集まった。普段世間の前に出てくることなく宗教的な問題を解釈している機構のメンバーは、哲学・言語学・宗教学の分野における権威ある学校を卒業し、少なくとも3ヶ国語に通じている人々である。
■ファトワー(イスラム法に基づく意見・決定)機構
宗務庁の最終決定・諮問機関であり、16人のメンバーから成る宗務高等機構(DİYK)の長官はムザッフェル・シャーヒンが務めている。機関のメンバーの大部分に通じる特徴は、宗務庁内で「宗教アカデミー」として認識されている「ハセキ・コース」を卒業したということだ。ムフティー(イスラム法解釈者)、説教者のように大事な宗教職に就く者たちを育てるハセキ教育センターの教育は3年間続くものである。センターの名前はイスタンブルの地区名から取られている。
機構で最も目を引くメンバーは、博士号をフランスの有名なソルボンヌ大学でとり、現在アンカラ大学神学部の指導メンバーとなっているメフメト・バイラクタル教授だ。11ヶ国語に通じているバイラクタルの専門分野は、イスラム哲学だ。
またシドニー総領事館で大使を務め、3ヶ国語を話せるシュクリュ・オズブーダイは国防大学の42期卒業生だという点が注目を集める。機関の決定事項はたとえば次のような問題についてである。「保険、女性が証人・相続人になること、整形手術、女性は頭を覆わずに祈ること、喜捨、点眼は断食を破るか否か、女性が特別な状態にある時にできない礼拝、体外受精、トルコ語での礼拝、臓器移植」
■女性メンバーはただ1人
ムザッフェル・シャーヒン博士:機構の長官。1982年にイスラム高等専門学校(YIE)を卒業。ムシュでムフティーの職に就く。ハセキ・コース終了。「イスラム法における理由なき豊潤」という博士論文を執筆。1986年にまずは専門家、のちにメンバーとして機構の仕事に就く。アラビア語、フランス語に通じる。
メフメト・カヤ・クルト:機構副長官。1972年にYIE卒業。ハセキ・コースも終了。様々な国で仕事をする。宗務庁教育専門家と、人事部長をこなす。アラビア語、フランス語を話す。
ユスフ・アルタシュ:1971年にYIE卒業。ハセキ・コースも終了。ムフティーの職に就く。ベルギー在住経験あり。アラビア語、フランス語を話す。
アフメト・アルパ:1978年にアンカラ神学部を卒業。ハセキ・コース終了。ムフティーとなる。ミュンヘン宗教大使を経験。アラビア語とドイツ語を話す。
アブドゥッラー・アーヤーン:1973年にYIEを卒業。ハセキ・コースを終了。巡礼部長を務める。ベルリン宗教大使を経験。アラビア語とフランス語を話す。
ハリル・アルトゥンタシュ博士:1982年にYIE卒業。ハセキ・コース終了。説教者を務める。博士号論文「ネジュリと解釈法」で博士課程を終える。英語とアラビア語を話す。
メフメト・バイラクタル博士・教授:アンカラ大神学部卒業。1973-1978年にパリ・ソルボンヌ大学哲学・神学部で修士号、博士号をとる。ローマ・グレゴリアン大学とアメリカ・ジョージタウン大学でイスラム哲学の教授となる。現在、アンカラ大神学部でイスラム哲学教養学科長を務めている。アラビア語、ペルシャ語、イタリア語、フランス語、スペイン語、英語、ラテン語、ギリシャ語、マレーシア語、日本語に通じる。
シュクリュ・オズブーダイ:1978年にYIE卒業。ハセキ・コース終了。ムフティーの経験あり。1992年DİYKのメンバーとなる。国防大学42期生。元シドニー総領事館の宗教大使。アラビア語、英語、フランス語を話す。
サドゥク・エラスラン博士:1976年YIE卒業。ハセキ・コース終了。元シドニー宗教大使。英語、アラビア語を話す。
イブラヒム・パチャジュ博士:1981年マルマラ大学神学部卒業。ハセキ・コース終了。専門分野はイスラムと文明法。アラビア語を話す。
ムアッラ・セルチュク博士・教授:機構唯一の女性メンバー。ハジェッテペ大学英文学部、アンカラ神学部卒業。アンカラ神学部学部長。専門分野は宗教教育。英語とアラビア語を話す。
イスマイル・カラギョズ博士・助教授:マルマラ大学神学部卒業。専門は解釈法。ムフティー、ドイツの宗教大使、宗務庁調査官を務める。アラビア語、ドイツ語を話す。
イスマイル・ハック・ウナル博士・教授:中東工科大学とアンカラ大神学部卒業。教育省書籍委員会の仕事に就く。専門分野はハディース(ムハンマドの言行録)。アラビア語と英語を話す。
メフメト・ゼキ・カラカヤ:1979年にイスラム学部卒業。ハセキ・コース終了。県のムフティー、調査官を務める。アラビア語とフランス語を話す。
М.サイム・イェプレム教授:現在、マルマラ大学宗教学の教授を務める。専門は、イスラム宗教学。アラビア語、英語を話す。
メフメト・ケスキン:1976年にYIEを卒業。ムフティーとなる。法と解釈の専門家。アラビア語、英語を話す。
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( 翻訳者:坂 泉穂 )
( 記事ID:1354 )