シェムディンリ検察局の調査概要:書店爆発事件は挑発目的(Milliyet紙)
2005年11月24日付 Milliyet 紙
シェムディンリ検察局がまとめ、ヴァン検察庁に提出した3ページに渡る調査概要では、「結果から判断するに、事件が挑発目的であったと解釈できる」と述べられている。
シェムディンリ検察局は、ウムット書店爆発事件に関する調査書類を、ギャング犯罪とテロ事件の検分に定評あるヴァン検察庁に提出した。検察局は、2人の憲兵将校と1人の専門軍曹、そしてPKK(旧クルド労働者党)党員が訴えられたこの事件を、「ギャングのように爆弾を投げて人を殺した事件」として伝えた。
11月9日、ウムト書店、そしてPKK党員で有罪判決を受けたセフェリ・ユルマズを狙って行われたと主張されている爆発事件に関する調査書類は、第二の段階に入っている。
爆発の後に捕まったPKK党員のヴェイセル・アテシおよび、オズジャン・イルオールとアリ・カヤが乗っている憲兵乗用車に乗りこみ、捜査の最中に人ごみに向かって手榴弾を投げた専門軍曹のタンジュ・チャヴシュについての調査書類は、昨日、ヴァン検察庁に提出された。
シェムディンリ検察のハルン・アユクが、ファイルとともにヴァンに送った3ページにわたる調査概要では、11月9日の爆発と事件後に発生したこと、そして証言と物証についての説明がなされている。
■ギャングのような殺人
調査概要では自白したPKK党員アテシやチャヴシュだけでなく憲兵将校のカヤとイルオールが容疑者となっている。アテシとカヤとイルオールの事件は、「ギャングのような爆弾投擲による殺人」とされている。
概要においては、4人の容疑者の間につながりがあったこと、計画的にウムット書店を狙って爆弾による攻撃がなされたことが明らかにされている。そして、違法行為と思われるこの事件の調査を行うため、当該書類をヴァン検察庁が検分する必要があると書かれている。
さらに、計画的で組織立った犯行とされる事件の目的は明らかにはされていない。
また、捕まったタンジュ・チャヴシュが他の3人の容疑者とともに取り調べられたことは、調査中に攻撃を行ったことと関連しているということである。結論では、事件が挑発目的と考えられる、と結ばれている。
■暴動をけしかけた
ヴァン検察庁は捜査の当初、「ギャング」の犯行説を考えており、爆発のあった地域で「暴動の空気を盛り上げる」ような事件であったかどうかが調査されるであろうと述べた。
検察庁は、11月9日の爆発事件についての調査だけでなく、同じくシェムディンリで11月1日と、それ以前に起きていた爆発事件も包括するような形で調査を広げていくということである。全ての事件が「外部からスパイの協力を得たPKKの挑発行為」といった見解も、検察庁によって調査されることが明らかになった。
ヴァン検察庁が、ギャングか、もしくはPKKの挑発があったということを立証したならば、裁判はヴァンで行われることになるだろう。
そうでなかった場合には、通常の殺人・傷害事件の裁判となり、ハッキャーリ県重罪裁判所に任せられることになるだろう。
■検察には話さず
法務相兼政府報道官のジェミル・チチェキは「シェムディンリ検察は捜査結果をある程度まとめ、自らの業務の領域を超えた部分はヴァンに送った。共和国検察官は裁判所の援助をすべきである」と述べた。チチェキはまた、多くの人が裁判期間中もメディアに発言しているのに、捜査を行っている検事には話してくれないと述べた。
■訴えられたが、捕まえられていなかった
シェムディンリでの爆発事件が、「ギャング調査」に変化したにもかかわらず、2人の憲兵将校アリ・カヤとオズジャン・イルオールが調査の間ずっと拘束すらされていなかったことが議論を呼んだ。2日間「安全な場所」で拘束されていたことが明らかになった憲兵将校だが、検察からの事情聴取の後、逮捕の要請を受けて裁判所に送られることすらなく、自由の身にされていた。新たな情報や証拠が現れても、憲兵将校の逮捕要請はなされなかった。
共和人民党ハッキャーリ議員のエサト・ジャナンは、以前ミッリイェト紙にこの状況について、「拘束しなかったことで、憲兵将校が自己弁護のために計画を立てるチャンスを与えた。彼らを逮捕する勢力と守る勢力が同じなのだ。彼らは自由の身になった後、彼らのボスにどれだけ平伏することか」という見解を述べた。
憲兵将校は、事情聴取で、爆発のあった通りの近くに彼らがいたのは、「トイレに行きたかったから」と弁明した。一方で、捕まったPKK党員ヴェイセル・アテシは、ロトくじを買うためにそこにいたと弁明したという。
■ 新しい発見:手榴弾は1つではなく2つが爆発していた
セフェリ・ユルマズの書店で爆発した手榴弾は、1つではなく、2つであったと分かった。手榴弾のひとつは書店のドアの前で、もうひとつは書店の中を二つに分けているベニヤ板のドアに向いている側のほうで爆発したと明らかになった。
2つの爆弾についてはじめに行われた調査で、手榴弾が憲兵将校の使っていた憲兵所有の乗用車である白のルノー車のトランクから出てきたものと同じであることが判明した。
■ シェムディンリ事件の人物整理
・憲兵諜報局、憲兵将校アリ・カヤ:憲兵諜報局の下で活動していたとされるカヤが「国家諜報機構司令部」として現場に置いていた乗用車からたくさんの武器、爆弾、メモ、人名リストが出てきた。カヤの名前がそこにあったかどうかについては、憲兵諜報局は否定したが、諜報局の事件に関係して書かれたいくつかの本では、「ムトキ出身のアリ」としてでてくる。
参考記事以下。
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News20051122_1355.html(2005-11-22)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News20051122_1355.html(2005-11-10)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News20051122_1355.html(2005-11-03)
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( 翻訳者:田林 玲 )
( 記事ID:1371 )