イラン外相がシリア訪問、同国首脳と会談(アル・ナハール紙)
2005年11月15日付 Al-Nahar 紙

■ イラン外相、アサド大統領およびパレスチナ各派指導者と会談
■ シリア当局、シリア治安機関将校に対する聴聞の実施場所をめぐる問題解決に努力していると強調

2005年11月15日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【ダマスカス:シャアバーン・アッブード、諸通信社】

 シリアの観測筋は、シリア当局と故ラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺事件に関する国際調査委員会のデトレヴ・メリス委員長との間で、シリア人将校6人への聴聞を行う場所について今後数時間のうちに合意が実現されるかも知れないとの漏洩情報に関心を寄せている。メリス委員長はレバノンのモンテヴェルディー・ホテルでの聴取を要求しているが、シリア当局はそれを拒否し、カイロのアラブ連盟本部、シリア国内あるいは首都ダマスカスの国連事務所や施設などを提案している。また同じ時期にダマスカスのイラン大使館では、イランのマヌーチェフル・モッタキー外相が、バッシャール・アル=アサド大統領をはじめとするシリア当局幹部およびパレスチナ各派の書記長らと一連の会談を行った。

 シリアの情報筋は、ゴラン高原のシャイフ山麓ナバア・アル=ファウワール村近くの「UNDOF(国連兵力引き離し監視軍)」司令部がモンテヴェルディー・ホテルの代わりの候補地になるかも知れないとの情報に関しては明言を避けつつも、「この問題の解決への努力」がなされていると語った。

 またEUのハビエル・ソラナ共通外交・安全保障政策上級代表はカイロのエジプト国営テレビでの談話の中で、聴聞の実施地についての対立は「近く国連によって終止符が打たれ、これからの数時間のうちに解決されるであろう」と発表した。

 一方、イラン外相はシリアのアサド大統領、ムハンマド・ナージー・アトリー首相、ファールーク・アル=シャルウ外相とイラン大使館で会談した。また、パレスチナ各派の指導者とも会談を行った。

 シリアの大統領府声明によると、シリアのシャルウ外相とシリア・イラン両国大使が同席したアサド大統領とイランのモッタキー外相との会談では「中東地域情勢や国際情勢、シリアに対する計画的圧力」などが話し合われ、モッタキー外相は、イランは「政府・国民ともにシリアを支援し、この圧力との対決にあたってはシリアを支持する」と強調した。また会談では「両友好国の二国間関係について、また全てのレベルでこの関係を支えるための方策について協議がなされた」。またアサド大統領はイランのマフムード・アフマディーネジャード大統領からの書簡を受け取った。

 また、シャルウ外相とモッタキー外相はシリア外務省庁舎内で会談を行い、「最近の地域及び国際情勢について協議を行い、諸問題に対しての両国の見解は一致した」という。

 シリア・アラブ国営通信社「サナ」の報道によれば、「両国は中東地域における安全と安定の維持の重要性、新たな緊張を回避する必要性を確認し、これに関してイラン側はシリアの立場を評価し、シリアへの圧力に対しては全面的にシリアと連帯することを表明した。また同様に、現状において両国が調整と協議を密にすることの重要性について合意した」という。またイラク情勢については、シャルウ外相、モッタキー外相ともに「イラクにおける政治プロセスの安定と、国土と国民の統一維持と、イラク人自身による政策実行を可能にすることの重要性を確認した」とのことである。

 イラン外相は、今回のシリア大統領との会談は「生産的で建設的であった」と述べた。

 また、ラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺事件に関する国際調査委員会の件についてモッタキー外相は「委員会は純粋に法律的な基本にのっとって活動を継続すべきであり、国際調査の問題を政治化することは避けてほしい」との希望を表明した。また「シリアの責任者たちはこの件に関してよく対処している。イランは暗殺の真相究明については全面的に支援する」と語った。

 また外相は、「中東地域での支配拡大を目的としたアメリカの怪しい動き」についてシャルウ外相と話し合ったことを明らかにした。そして、「アメリカ合衆国はイスラエルの利益については大いに関心を示し、これを全面的に維持するために活動している」と述べた。

 モッタキー外相はイラク情勢についてもシャルウ外相と話し合い、この件については「イラクにおける政治プロセス継続の必要性と、イラク国民が自らの行く末を自ら決める必要性と、イラク近隣諸国がイラク国民の利益と願望に資するようなかたちでイラク問題に関心を抱き取り組むことの重要性を確認した」と語った。

 イラン外相はダマスカス国際空港に到着した直後、「中東諸国に対しアメリカの計画への警戒を」呼びかけた。そして「アメリカ当局はシオニスト政体の利益の実現を追及しており、中東諸国はそれに用心しなければならない」と述べた。また、シリア訪問は「特別な重要性を持っている。なぜなら現在の中東地域における情勢の展開は、敵の邪悪な計画の実現を阻止するため、各国間でより多くの協議や協力を必要とするものだからである」と述べた。また、シリア・イラン両国間の関係は「ここ数年の間、政治・経済のさまざまなレベルにおける責任者たちの協議や相互訪問が継続的に、2国間協力および地域協力の両面にわたって行われていることにおいて際立っている」と述べた。

(後略)



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( 翻訳者:吉永晶子 )
( 記事ID:1381 )