オーストラリアでガリポリ半島を模した公園建設計画(Milliyet紙)
2005年11月28日付 Milliyet 紙

 オーストラリアの前復員軍人大臣ダナ・ヴェイルが「ガリポリ半島のレプリカをわが国に」と呼びかけた。当初から大きな反響を呼んだこの呼びかけへの支持は徐々に拡大している。

 オーストラリアの前復員軍人大臣ダナ・ヴェイルによる「ガリポリ半島をわが国に持ってこよう」という提案はシンパを広げている。オーストラリア政府はこの提案にあまり好意的ではないが、市民団体の中には支持を表明するものも出てきた。トルコの専門家はこの提案が実現する可能性を示唆している。

■驚くほど似ている
 すべてはヴェイルの提案から始まった。ダナ・ヴェイル氏はメルボルンの南に位置するポート・フィリップ湾を擁するモーニングトン半島がガリポリ半島に驚くほど似ていると述べ、ガリポリ半島のレプリカをオーストラリアに作ることを提案したのだった。

■子供やお年寄りのために
 しかし復員軍人会はヴェイルの提案を「ガリポリの本当の意味がむしろ伝わりにくくなる」と批判した。ヴィクトリア州広報官のスティーヴ・ブラックスも批判に加わった。ジョン・ハワード首相もこの提案をあまり好意的に考えていない一人だ。
 こうした否定的な反応がある一方、支持する人々も出始めている。その理由は本物のガリポリ半島がオーストラリアから遠いことである。特に「アンザックの夢」について勉強するよう求められる小学生たちや長旅ができる状態ではないお年寄りや病人は、このようなテーマをもつ公園への関心が高い。

■「墓を持って行くことは可能」
 研究者で作家のイェトキン・イシュチェン氏は事態を次のように見ている。「もしこの提案が受け入れられたなら、オーストラリアは素晴らしくそっくりなものを作るだろう。ガリポリの戦いやアンザック部隊の夢、そして名誉の戦死を遂げた人々を大変に重要視してきたのだから。『記念碑のそばに駐車場』を作ったり、地元の墓を『戦死者の墓』と言ってみたり、なくなりつつある山の斜面に『舗装道路を作』ってみたりするような考え方に対抗して、このプロジェクトを支持するだろう」と述べた。
 さらにイシュチェン氏は墓や記念碑をトルコから運び出す可能性を指摘し、「ローザンヌ条約によってトルコはガリポリ半島を保護する責務を負ったが、墓や記念碑を無理にここに縛り付ける権利まで与えられたわけではない。オーストラリアの人々は、好きなときに来て墓や記念碑を持っていくことだろう」と話した。

■「アタテュルク像が問題になった」
 イスタンブル大学文学部歴史学科教授アリ・イフサン・ゲンチェル博士は次のように述べる。「ローザンヌ条約によれば、ガリポリ半島のオーストラリア人およびニュージーランド人の墓地はオーストラリア・ニュージーランド両国の土地と定められている。領事館が当該国の持ち物であるように、墓地もそうなのだ。当該国は墓をいつでも持って行ってかまわないことになっている。かつて我々はガリポリ半島のジョンクバユル岬にアタテュルク像を作ろうと考えた。そのときニュージーランド政府は、『ここは我々の土地だ』といって問題視したのだ。」


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( 翻訳者:宇野陽子 )
( 記事ID:1400 )