メルスィンで発ガン性物質六価クロムの住宅建材利用が発覚(Milliyet紙)
2005年12月14日付 Milliyet 紙

メルスィンのカザンル市にあるクロムサンの工場から出た発ガン性物質の六価クロムを含む廃棄物が2000年までに住宅の基礎部分の充填剤として用いられていたことが明らかになった。住宅建設に用いられた物質が有毒であることを知った住民らは、恐怖からパニックを起こしている。

クロムサンは操業を始めた1984年から2000年まで化学廃棄物を工場の敷地内での野ざらしの状態で保管していた。敷地内の廃棄物の量は150万トンに達する一方、これとは別に1万8千トンの廃棄物が同市の海岸沿いにあるテッケ地区の空き地に同様の方法で保管された。

同市の住民は空き地に置かれた廃棄物をそれとは知らずに住宅の基礎に用いた。テッケ地区にある18区画、144戸からなるオヌル・シテの基礎として用いられたこの物質は、時間とともにコンクリートの柱に流出し、鉄筋が異常にさび始めた。一年近く前に発覚したこの事件は、パニックを引き起こし、県の命令で廃棄物は2004年1月に許可された車両で再び工場の敷地へ運ばれ、それらの上には覆いがかぶせられた。

■トルコ科学技術研究機構(TÜBİTAK)が調査
事態の進展を受けて調査を始めたTÜBİTAKは、裁判所の決定により廃棄物が放置された場所とオヌル・シテの基礎からサンプルを採取した。専門家はまた、六価クロムの含有割合を明らかにするため、市内の様々な場所や農地からもサンプルを採取した。6カ月にわたる調査の結果まとめられた報告書によると、オヌル・シテとカザンル市市場の間にある多くの建物で六価クロムの存在が確認された。チュクロヴァ大学環境工学部のレポートでも、「採取した廃棄物のサンプルには、環境基準の最大許容量の143倍以上ものクロム合金が確認された」と記された。

■畑でも使われた
カザンル市長で共和人民党員のケナン・ユルドゥルム氏は廃棄物が住民の日常生活の領域にまで入り込んでいると述べ、「住民は廃棄物だとは気づかずに、充填剤として用いた。さらに畑でも使われたようだ。温室の底にも六価クロムがある。発ガン性物質だとは知らなかったのだ。知っていたら、家の基礎や温室に用いなかっただろう。オヌル・シテ以外にも基礎を埋めるために廃棄物を使った住宅や建物が7、8戸ある」と語った。ユルドゥルム市長は郡内でクロムが原因で起きた病気がないか調べるため、健康調査を行う予定であることも明らかにした。

■ガンになった
有害物質を含んだ廃棄物を使用した結果、カザンル市ではガン、腎臓の病気やぜんそくにかかる人が増えたという人もいる。オヌル・シテに住むカフラ・アッカヤ氏(33)はガンと診断された。報告書に名前があるアリ・ギュムッシュ氏の妻セマ・ギュムッシュ氏の血液中のクロム率も許容量の20パーセント以上多かった。セマ・ギュムッシュ氏は朽ちてゆく家の基礎を見せながら「家が潰れたらまた新しくすることが出来ます。でも、人の生命は取り替えられるでしょうか?2、3年間体調が良くありません。よく頭がくらくらするし、インフルエンザにもかかっています」と話した。

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( 翻訳者:塚田真裕 )
( 記事ID:1507 )