男性と女性の賠償金の差は時代状況に合わせて是正可能である シャルグ紙
2005年12月17日付 Sharq 紙

2005年12月17日付シャルグ紙7面

【ISNA】ブー・アリー・スィーナー大学学術委員会のメンバーで、ホッジャトル・エスラーム・ヴァル・モスレミーン〔*1〕のニヤーズィー師は、「女性と男性の間に存在するディーヤ〔*2〕の格差は、時代や社会状況に合わせて、信頼できる専門家の判断により、是正が可能である」との見方を示した。

 同師はブー・アリー・スィーナー大学で開かれた、女性と男性のディーヤの格差に関する会議の中で、次のように語った。「これまで諸々の社会に存在してきたディーヤの原則は、クルアーンによって支持されているものだ。しかし、その支払いの額や方法は、《ムスリムの統治者》としての預言者に委ねられていた。それゆえ、いかなる時代の統治者も、法学者(ファキーフ)の公正なる専門的判断があれば、社会状況に応じて、その額を変更することは可能である〔*3〕」。

*注1 ホッジャトル・エスラーム・ヴァル・モスレミーン:シーア派法学者に付けられる尊称の一。法学者としての学識の観点から、大アーヤトッラー、アーヤトッラー、ホッジャトル・エスラーム・ヴァル・モスレミーン、ホッジャトル・エスラームの順に位階化されている。

*注2 ディーヤ:被害者が被った身体的損害に対する賠償金のこと。しばしばblood money(血の賠償金)と英訳される。イスラーム法学上、女性が殺された場合の賠償金は男性の半額であるとされ、現在のイランでも、この法規定が踏襲されている。ムスリムと非ムスリムの間にも、かつて2倍の格差が認められていたが、2002年11月に国会で宗教少数派に対する賠償金をムスリムと同額する法案が成立。その後護憲評議会の抵抗にあったが、2003年12月に公益判別評議会の仲裁・判断により、ムスリムと非ムスリムの賠償金の同額化が決定された。

*注3 この論理は、イマームがお隠れ状態にある現在、いかなる政治も正統性を欠くがゆえに、イスラーム法学者が現実の政治に直接かかわることは正統ではないとする伝統的十二イマーム・シーア派の政治思想を厳しく批判し、預言者やイマームたちの統治権限は、「預言者性」や「イマーム性」に依存するものではなく、神によって「公正なる識者」に与えられたものである、それゆえ公正でイスラーム法を熟知したイスラーム法学者(ファキーフ)が、公益のために統治令を発出するなどして統治の任に当たらねばならない、とするホメイニー師の「ヴェラーヤテ・ファキーフ(法学者の統治)」論に立脚したものである。なお、ホメイニー師は没する一年半前、この論理をさらに敷衍して、国家は公益にもとづき、シャリーアを一方的に無効にすることができるとの判断を下している。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:1535 )