エルバラダイIAEA事務局長、ノーベル平和賞受賞(アル・アハラーム紙)
2005年12月11日付 Al-Ahram 紙
■ エルバラダイ事務局長、ノーベル平和賞を受賞
■ 賞金はエジプトの慈善活動に寄付
2005年12月11日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【オスロ―マルワ・タウフィーク】
世界の核兵器拡散を制限した役割が評価され、ムハンマド・アル=バラーダイー(エルバラダイ)国際原子力機関(IAEA)事務局長が昨日、オスロで開かれた大規模な祝典において、2005年度のノーベル平和賞をIAEAと同時受賞した。現在IAEAの理事会議長を務めている日本の天野之弥ウィーン代表部大使が、IAEAを代表して賞金とメダルを受け取った。
アル=バラーダイー事務局長は授賞式での演説で、核拡散によって国際社会がさらされる危機と、この分野でIAEAが払った努力について概観した。
アル=バラーダイー氏は、核兵器保有に対して制裁を課すための、奴隷制度の廃止やジェノサイド禁止に匹敵する国際的な努力を求めた。また130万ドルに上る賞金はエジプトの慈善団体に寄付するとも発表した。
また「イスラーム教徒でありアラブ人である私が平和に対して与えられる最も大きな国際的な賞を受賞したことを誇りに思う」と述べると同時に、アラブ世界やイスラーム世界は人類の進歩のために努力する共同体の枠外にとどまっているとの主張によって、西洋におけるそのイメージが歪曲されていることに対する遺憾の意を表明した。
また核保有についてのダブルスタンダードによってアラブ世界が感じている挫折感に関しては、「この状況がこのまま続くことはあり得ない。全てのアラブ諸国は核拡散防止条約(NPT)に調印している。イスラエルも条約に加わるべきだ」と述べ、ある種のバランスを生み出す必要があるが、現状はそうなっていないと強調した。
オスロでの授賞式と時を同じくして、スウェーデンの首都ストックホルムでは、平和賞以外の生理学・医学、物理学、経済学、化学、文学の各部門の今年の授賞式が行われた。
受賞者たちはスウェーデンのカール16世グスタフ国王から賞を受け取り、夜には引き続いて大規模な祝賀会が行われた。祝賀会には受賞者とその家族、スウェーデン王族、外交官や宮内官、著名人らが出席した。スウェーデン最大の祝典と評されるこの祝賀会は、毎年この時期にスウェーデンの市庁舎ホールで行われる。
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( 翻訳者:高橋葉月 )
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