無形文化遺産としての遊牧 ハムシャフリー紙
2005年12月22日付 Hamshahri 紙

2005年12月22日付ハムシャフリー紙

【学術文化部】「イランの部族集団による遊牧と無形文化遺産」と題した懇談会が、文化遺産観光庁において開催された。懇談会には、ドキュメンタリー作家や人類学者らが出席した。

 人類学研究所のモハンマド・ミールショクラーイー所長は、この懇談会において次のように語った。「無形文化遺産は形を有さず、その行動や意識のあり方から、その存在を確認することのできるものを指す。遊牧というのもまた、独自の行動様式であり、われわれの文化の歴史に、非常に重要な役割を果たしている。多様な基準を用いて初めて、それを無形文化遺産とみなすことができよう」。

 懇談会で講演を行ったひとりで、建築学を専門とするペトルースィヤーン氏は、「遊牧部族民について、彼らが現代文明の恩恵にあまり与ることのない〔遅れた人々である〕といった認識が存在するが、そのような考え方は基本的に誤っている。われわれが遊牧部族民から学ぶべき問題は多い」と述べた。

 続けて同氏は、「〔現代文明では、〕経済や生産、生計は、社会生活と調和していない。しかし、遊牧部族民社会では、それらは一体を成している」と付け加えた。

 ペトルーシスィーン氏は、都市社会における生活家屋の利用を、原始時代の洞窟にたとえ、「現代の都市生活において、多くの高層建築物が建設されて〔、その中にわれわれは生活して〕いる。それは丁度、原始時代に、自然のうちに存在していた洞穴〔を住み処として利用していたの〕と似ている。他方、遊牧部族民にとって、住居を作ることは、継続的で絶え間ない作業である。彼らは、その年のニーズに合わせて、毎年自らの住居を作り変えているのだ。われわれも、住居と生活・経済とを調和させる術を、遊牧民に学ぶ必要があろう」と述べた。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:1570 )