世界の考古学者が注目、ビザンツ遺跡から発見された船は7艘に(Milliyet紙)
2005年12月03日付 Milliyet 紙
マルマライ・トンネル建設現場で発見された沈没船は、世界中の注目をトルコに集めた。プラク助教授は、「ここにあるのはイスタンブルの歴史を新たに書き換えるかもしれないような重要な発見だ」と語った。
イスタンブルの両岸をトンネルでつなぐマルマライ建設プロジェクトのため掘削作業が行われているが、その過程で遺跡の発見が相次いでいる。マルマライ駅が建つ予定のイェ二カプにあるランガの農地で発見された歴史的な沈没船の数は7艘に達した。ビザンツ帝国の失われた母港の全貌を解明すべく、イスタンブル考古学博物館の作業は続いている。考古学者のプラク博士は、一箇所でこれだけ沢山の沈没船が発見されたことはこの目立たない農地を世界中で有名にしたと語った。
■こんな船はない!
テキサスA&M大学でも教鞭をとるプラク博士は、歴史的な木製船の構造技術における世界でも数少ない専門家のうちの一人であり、アメリカに本部がある水没考古学研究所の副会長でもある。6月からトルコに滞在し、ボランティアでイェ二カプでの作業に携わっていたプラク助教授は、我々の質問に答えてくれた。
沈没船について教えて頂けますか?
―マルマライ地区では2つの異なる沈没船がある。1つは18~20メートルで、櫂で操行していた細身の船である。最高に興奮した。なぜなら、11世紀、つまりビザンツ時代という、これほど早い時代のこのタイプの船はまだ見つかっていない。地中海の細身の船としては最初の考古学的事例である。また同様に、今まさに我々がまだ知らない船の構造技術を目の当たりにしているところだ。
今のところ沈没船から得られた結論は何ですか?
― 発掘にまだ取り掛かっていない。まず最初の沈没船を取り出した。くるみの殻のような形で地層の上層部にあった船は小さなものだ。欄干の残存状態は最高水準で、信じられない驚きだった。なぜなら、地中海とヨーロッパで今日までに発見された約千隻の沈没船の中で欄干付きで見つかった数はほんの数隻だ。とても貴重である。また船で見つかったものはとても貴重である。とくに二つの鉄製の錨は格別の重要性をもっている。
なぜ?
―鉄製の錨は、当時としては、手に入れられる最高に貴重な船舶用品である。13世紀のいくつかの資料から、女性の嫁入り道具に錨が入っていたこともわかっている。
建設現場では他の沈没船も見つけたようですね。
―そうです。マルマライ建設地区ではもう1つ別の船が確認された。ほかには、地下鉄建設地域でも船が出土した。そこでは少なくとも4艘の船がある。
■こんな場所は2つとない
世界のあらゆる場所で発掘をしてきた一人としてこの地区をどのように評価しますか?
―イスタンブルの歴史を新たに全て書き換えるかもしれない価値ある発掘がされるとてつもない場所だ。類をみない史料が手に入れられるであろうユニークな地区である。これほど豊富に、これほど良い保存状態の沈没船は他では見たことがない。
沈没船の移転にはどれくらい掛かりますか?
―移転自体は作業の最も簡単な部分だ。まず細かい部分まで船を適切に記録し、それを三次元で立体的に起こして研究しなければならない。この船は繊細で、触れたときに崩れるかもしれない。
出土品が駅に展示されることについてどう考えますか?
―私の見解では、沈没船にとっては現実的ではない。温度や湿度を一定に保ち、エアコンの効いた場所で保存されるという条件でならありうる。駅ではこれは少し難しい。そのため、立体模型が展示されることが妥当な解決策だ。現物は博物館に置かれるだろう。
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( 翻訳者:清水 葉月 )
( 記事ID:1429 )