欧州委員会、トルコと北キプロスからの反対を受けて宣言案を棚上げに(Milliyet紙)
2005年12月09日付 Milliyet 紙
欧州常駐代表委員会は、トルコと北キプロスからの反発を軽視できないとし、直接貿易をグリーンラインまで後退させ、マラシュをギリシャ系キプロスに与えるとする宣言案を棚上げとした。
北キプロス・トルコ共和国を隔離状態から救うための支援法ならびに直接貿易法問題は、18ヶ月間続いている停滞状態のままとなった。欧州委員会が支援法の承認のために作成した宣言案は、直接貿易を棚上げする内容であった。このため同委員会は宣言案を前に進めることをやめた。そしてトルコと北キプロスが発した警告的メッセージを考慮し、「宣言案を承認する環境が整っていなかった。」として宣言案を保留とした。
昨日の欧州常駐代表委員会で法令の問題が議題として取りあげられ、欧州委員会はそのなかで法令に関する見解を述べ、この宣言案を主張し続けることを断念した。宣言案は、直接貿易をグリーンラインまでに後退させること、マラシュをギリシャ系キプロスに与えること、さらにガーズィマーウサ港(北キプロス)の共同経営を要求し、所有権の問題については欧州人権裁判所の判決の枠組みで解決されることを要求している。
欧州委員会は、ギリシャ系キプロス共和国の要望を反映させた宣言案を取り下げた要因として、北キプロス・トルコ共和国からの明確な反発、そして本紙で昨日取りあげたアブドゥッラー・ギュル外相と欧州委員会拡大担当委員オッリ・レーン氏との電話会談の影響があったことを明らかにした。
欧州委員会の姿勢をうけて、欧州常駐代表委員会では(二つの)法令に関する議論は特に行われなかった。北キプロス・トルコ共和国への2億5900万ユーロの支援と直接貿易の実現をもり込んだこの二つの法案は、週明けに常駐代表委員会の特別会合で再度取り上げられる見込みだ。支援法が年末までに承認されなければ1億2000万ユーロが執行不可能な状況に陥ることになる。
NATOの外相会談へ参加するためブリュッセルにいるギュル外相も、二つの法令の承認とキプロス問題の解決促進をEUに期待すると述べた。ギュル首相は、EUは非協力的な態度を改善すべきであると強く主張し、次のように述べた。「ギリシャ系キプロスがEUに加盟国であることは事実である。しかしトルコは自らの未来すべてを、ギリシャ系キプロスにゆだねることはできない。相互協力が悪用されているのであれば、EUは警告すべきである。」と述べた。
■加盟パートナーシップ文書は問題なし
欧州常駐代表委員会では法令に関する問題は解決をみなかったが、トルコ側のロード・マップである加盟パートナーシップ文書についてはいかなる問題も出されず、変更されることなく承認された。ワーキング・グループが行った最終調整では、「キプロス共和国」との関係正常化へ『具体的な』進展への期待が付け足された経緯がある。
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( 翻訳者:永井 ひとみ )
( 記事ID:1470 )