エルドアン・ブッシュ会談の最重要課題はキプロス:ラディカル紙記者の会談直前インタビュー(Radikal紙)
2005年06月08日付 Radikal 紙
エルドアンはブッシュに3つの願いを携えて会いに行く。北キプロス・トルコ共和国-アメリカ間直行便の就航開始、カブールの復興事業をトルコが担うこと、北イラクからのPKK(クルド労働者党)の浸透に対し共同で対処することである。
アメリカに向け政府専用機に搭乗した首相タイイプ・エルドアンに、アメリカ大統領ジョージ・ブッシュとの会談で最優先課題は何になるかを尋ねた。首相はためらいなく「キプロスだ、一番重要な問題は」と答え、次のように説明した。
「なぜなら、ブッシュ氏とはこの問題でいろいろと話し合ってきたのだ。北キプロスの孤立状態は撤廃されるべきだ。委員が来ることは重要な一歩である。もう一つの前進はトルコ経由で北キプロスのエルジャン空港が使用されることだ。しかしさらにもう一歩必要である。北キプロスから飛び立った飛行機が直接ニューヨークに着陸するようにすべきだ。ニューヨークを出発した飛行機もまたしかり。この直行便はトルコの領空を通過せずに行われるべきだ。この要望を伝えてこようと思う。」
この航路として、例えば週に1便イスタンブル-エルジャン-ニューヨーク往復便が提案されると見られる。ではエルドアンはこの要望が受け入れられると確信しているのだろうか?
「それはわからない。私の任務は要望を伝えることだから」。続けて、「これらの要望は6月9日に国連事務総長コフィ・アナンにも伝える。キプロスで住民投票が行われてから1年が経った。アナン報告書も準備済みだ。にもかかわらずいまだに安全保障理事会では議論に付されていない。今までに安保理でこれほど待たされた報告書はない。ロシアが邪魔をしているのか? もし事務総長がロシアが障害になっていると言えば、プーチンと話をつける。何事にも先手を打っていく。EUに対し影響力を行使するようブッシュに頼むつもりだ。イギリス首相は再選を果たしたのだから、キプロスについても何かしらのことはできるだろう」と述べた。
■「カブールを我々の手に」
ホワイトハウス側の最優先課題はキプロスなのだろうか? アメリカから発せられるサインはそのようには読み取れない。ブッシュ側の要望は、むしろトルコがこれから何をするか予測しやすい同盟国になり、そうあり続けることだ。イラク、シリア、アフガニスタンやその他の地域問題でトルコがアメリカと同じ目標に向かっていくことを希望しているのだ。
エルドアンは、アフガニスタンをブッシュ会談での第二の課題とした。「我々は当初誤りを犯した。アフガニスタンを訪れた際、アフガニスタン駐留NATO軍上級文民代表のヒクメト・チェティン(元トルコ外相)とも話したが、アフガニスタンは低開発地域だ。人々はテントで生活し、子供たちの状態もひどい。アメリカは投資をしたらしいがまだまだ足りていない。ブッシュ大統領には『暫定復興隊としてカブールを我々に任せてほしい。インフラ整備も建造物の建設も行いましょう』と言うつもりだ。カルザイは私をオピニオンリーダーたちに引き合わせ、「初めてあなたと同席しております」と言った。トルコやトルコ軍は現地でいい影響力をもっている。アフガニスタンに秩序を回復できると考えている。」
エルドアンの第3の重要課題はイラクとイラクのPKK(クルド労働者党)活動である。
「イラクのジャファリ首相の最初の外遊先がトルコだったことは、我々の関係の深さを物語るものではないか? ジャファリ氏は『私を助けてください。インフラや建造物をともに建設していきましょう』と言う。民主化プロセスは進行中だ。イラクの政党はトルコへ視察に訪れている。『我々だけでなく、野党も視察してください』と言うと、彼らはそちらにも行く。我々にとってはイラクの領土的一体性が重要だ。ジャファリ首相との会談ではもちろん北イラクの問題、つまりPKK問題が議題に上るだろう。最近のアナトリア南東部での事件には北イラクの影響がみられる。PKKの浸透対策に共同で取り組んでいかねばならない。アメリカははじめ、これを民兵に対して行った。
さらに経済関係、つまり投資も重要だ。アメリカとの95億ドルという貿易額は滑稽なほど少ない。以前拒絶された有望な工業地帯についてもう一度提案してみようと思う。」
次の点はエルドアンをもっとも憂鬱にしている問題である。
「民主的な国では、たとえばアメリカでは、議会で100%の合意が得られるなんて可能だろうか?」と言う。誤解や誤った伝聞に苦しんでいる。「ファルージャ事件で私は殉教者という言葉を無実の犠牲者のために使った。彼らはそれを私の意図とは別の意味で取り上げた」と話した。「我々は宗教的テロリズムをいつも忌み嫌ってきた。テロには宗教も祖国もないと言ってきた。同僚の幾人かは否定的な態度をとった。しかしこの国で反アメリカ主義は新しいものではないのだ。難しいことにトルコでは野党も反アメリカ主義者だ。民主的な国では妥協しなければならないこともある。しかし我々は友好関係のために必要なことはやってきたし、現在もしている。インジルリック空軍基地の使用許可を1年ごとに更新している。」
ではブッシュ会談に際して明確なヴィジョンやスローガンはあるのか?
「それは帰国のときに言う」という返答も、議案面でブッシュとどこまで折り合いを付けられるのか確信が持てないことを表している。
■「シリアを我々の側に引き寄せなければならない」
首相はトルコに関係の深い問題のひとつとしてシリアについて興味深い発言をした。エルドアンは「大統領と会って我々に理があることをわからせる」と話す対シリア政策は次のようなものだ。
・ 「シリア訪問で私が蒔いた種の成果はアフメト・ネジュデト・セゼル大統領のシリア訪問で収穫できた。私の訪問時にはシリア軍のレバノン撤退に関するバッシャール・アサド大統領の見解を聞いた。セゼル大統領と帰国後面会したが、アサドは「お二人がそうおっしゃるなら撤退しましょう」と言ったという。2日後に撤退が始まった。」
・ 「シリアは現在開国の相手国を探している。自ら改革を行う段階に来ていると私は確信している。アサドはこの点で決断済みなのがわかった。我々はこの関係を切らずに保っていけばいいのである。シリアを我々の側に引き寄せなければならない。このことを説明してこようと思う。」
エルドアンはアメリカ訪問のあとレバノンも訪問する予定だと話した。
■「大統領との衝突はない」
エルドアン首相は大統領が拒否権を行使して議会に戻されたトルコ刑法の改正案を全く変更せず再び大統領に提出するつもりだと述べた。「無許可の教育機関」という表現がただ「無免許のコーラン・コース」について定めた条項であるかのように見えるとは思えないと話す首相は、この問題でも国家の寡占化の問題でも、大統領との間に起こった緊張は「衝突」というほどのものではないと話した。
「大統領と衝突などしない。必要なときには反論する。反論しなければ首相という私の立場を軽んずることになる。しかし衝突はしない。」
エルドアンは大統領選や早期選挙問題について次のように述べた。
「早期選挙も大統領選も考えていない。我々は5カ年計画を立て、それを実行しているところだ。トルコの問題ははっきりしていて、我々のするべき仕事も我々の能力もはっきりしている。革命の法は学校の黒板とは違う。実りのない議論はやめよう。」
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( 翻訳者:宇野 )
( 記事ID:190 )