ドイツ人口の5分の1を擁するノルトライン・ウェストファーレン州(ノ州)で昨日行われた州議会選挙で、39年間続いた社会民主党政権が最後を迎えたことにより、大敗を喫したゲアハルト・シュレーダー首相が今秋への選挙前倒しを決定したことは、トルコのEU加盟にも否定的な影響を与えかねない大きな賭けになると見られている。
今日までEUの一大構成国として比較的トルコの加盟支持の政策をとり、トルコを冷遇するフランスの政策とのバランスをとっていたシュレーダー首相は、最新の世論調査で17ポイント差をつけられている反トルコのキリスト教民主同盟党首アンゲラ・メルケルに早期選挙に敗れるだろう。メルケル党首がこうして政権をとれば、トルコに特権ある連携国という地位を与え、加盟国とはしない方向での政策を実行する機会を得ることとなる。メルケル政権の間、トルコがアルメニア人虐殺問題についてさらなる圧力をかけられる危険性もある。
社会民主党のトルコ系議員ラーレ・アクギュンは、同党が(ノ州で)政権の座を降りたことは対トルコ関係によい状況をもたらさないと述べ、「早期選挙に負ければ、トルコとの関係という点で言えば望ましい状況でない。ただ一つ喜ぶべきはトルコのEU加盟交渉開始日時が予想される総選挙よりも前だということだ」と述べた。トルコ政府に招へいされているアクギュンは「トルコ政府に望むことは、このプロセスを加速させ、交渉を少しでも早く開始するための障害を一つでも残さないことだ」と話した。
誤った見通しが政権をがけっぷちに追い詰めた
最新の世論調査によれば、メルケルのキリスト教民主同盟が46%、シュレーダーの社会民主党が29%の得票を得ると予測される。17ポイントの差を埋めるのは困難だ。シュレーダーはノ州の選挙に敗北するやいなやイニシアチブを取る動きに出た。しかし政治的な後退が許される状況にはない。ドイツ経済を改革するために実行に移された「アジェンダ2010」は、希望通りの結果を生み出さなかった。ドイツ経済は1%という低成長を示した。シュレーダーは自身ほどカリスマ的でないメルケルに取って代わられると見られている。ドイツの有権者は変革を求めている。
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( 翻訳者:倉本さをり )
( 記事ID:52 )