コーラン学校問題で公正発展党議員「アンカラ大政治学部もテロ養成校」(Milliyet紙)
2005年05月31日付 Milliyet 紙

公正発展党議員グループ長イルファン・ギュンドゥズは、許可なくコーラン・コースを開設した者に科される刑罰の上限を1年に引き下げる法改正を、「教育機関がテロリストを養成するわけではない。テロリストを養成する教育機関を閉鎖すべきというのであれば、アンカラ大学政治学部、イスタンブル工科大学、中東工科大学も閉じられなければならない」と述べ、擁護した。
 トルコ大国民議会での記者会見でギュンドゥズは、犯罪はあくまで個人的な問題だとし、「ある大学で個人的な犯罪者が出たからといって(学校が)閉鎖されていただろうか?教育機関の閉鎖は誤りだ」と述べた。デニズ・バイカル共和人民党党首は先週、許可なくコーラン・コースを開設した者に対する刑罰を軽減する法改正と公正発展党を非難する際、「宗教学校ではテロ教育や暴力教育がやすやすと行われる。少し前にトルコはヒズブッラーの手からやっとのことで抜け出したのだ」と述べていた。

■違法行為は問題外
ギュンドゥズは、刑罰の軽減と違法行為の助長には関係がないと述べた。「違法な組織は処罰された後も閉鎖されずに活動し続ける。国内でやりたい者が好きなことをを好きなように教えればいいと言うのか」という質問には、組織の行動範囲が法律によって規定されており、違法行為は問題外であると説明した。

■自動車教習所もコーラン・コースも同じ
ギュンドゥズは、大学生が行う言語の授業や自動車学校も同じ状況にあり、違法な教育機関といってコーラン・コースだけを取り上げるべきではないと述べ、本来なら法そのものでなく法の運用の仕方を問題視すべきではと主張した。

アタテュルクの時代には無許可のコーラン・コースに対する懲役刑は想定されていなかったとするギュンドゥズは、懲役刑は(1971年の)「3月12日書簡」によってもたらされたと語った。公正発展党として不正や貧困、禁止事項に立ち向かい政権に就いたのだと述べた。アフメト・ネジュデト・セゼル大統領に拒否されても法案を国会で通過させると話すギュンドュズは「まだ拒否されていないのだから、取り越し苦労はやめにしよう」と述べた。

■アンカラ大学学長:大変遺憾だ。ギュンドゥズ議員の謝罪を求める
ヌスレト・アラス教授:大学はどんな時でもテロリストを養成するようなことはないし、そうした事態を看過しない。トルコの大学はわが国に貢献する人材を育ててきた。国会議員ともあろう人物が大学がテロリストを養成しているなどといった意見を述べるのはこの上なく残念なことだ。ただし、各個人の学外での生活は大学の管理下にはない。大変遺憾で、謝罪を求める。共和国建国以来大学は有能な人材を育ててきた。ギュンドゥズ議員もかつて大学で学んだ経験をお持ちのはずだ。

■イスタンブル工科大学学長:本学からトルコのために尽力する人材が出た
ファルク・カラドアン教授:これは大変残念な発言だ。イスタンブル工科大学は祖国や国民を愛し、国のために貢献しようと懸命に努力し、工学教育であれ研究であれ大きな成功を収める人材を育ててきた232年の歴史を持つ学校である。卒業生の中には大統領や首相、学者がいる。こうした人材を養成し、昼夜を問わず持てるそれぞれの分野で問題を解決しようと努める大学に対し、もっとも適さない定義である。大変遺憾に思っている。

■中東工科大学学長:トゥズメンとババジャンは中東工科大学卒業生だ
ウラル・アクブルト教授:トルコ共和国政府の最も重要な功績の一つとされる中東工科大学、アタテュルクが設立したアンカラ大学、そしてイスタンブル工科大学が違法なコーラン・コースと並列に扱われたことに大変違和感を感じる。重要な人物を輩出してきた大学をこのように述べることは不当だ。セゼル大統領はアンカラ大学、スレイマン・デミレル第9代大統領はイスタンブル工科大学の卒業生であり、キュルシャド・トゥズメン、アリ・ババジャンの両国務大臣とヒルミ・ギュレルエネルギー天然資源相は中東工科大学の卒業生である。

■ラフシャン・エジェヴィトの反応:違法コースは人を宗教的使命のえじきにする
旧民主左派党副党首のラフシャン・エジェヴィトは、刑法に反する教育を行う者に科される刑罰を軽減する条項に対し「違法なコーラン・コースの未来は開かれている。違法でなくなるのだから」との見解を示した。
エジェヴィトは昨日発表した文書の中で、法改正によって宗教に関連して誰がどこで何を教えているかが明らかでなくなり、監督が行き届かなくなると述べ、次のように語った。
「我が国の国民に嘘や誤った情報が提示されることになる。誤った情報は国民を宗教から遠ざけ、他のものを探させることになる。そして最後には宗教的使命のえじきとなる。コーラン・コースはただアラビア語の文章を暗誦させるためだけに開かれるのではない。こうしたコースはアッラーや預言者ムハンマドの存在を説明し、彼らの道を教え示すためにあるのであって、政府ではなく国家の保護下で活発化するのだ」。



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( 翻訳者:倉本さをり )
( 記事ID:85 )