保守強硬派のアフマディネジャード氏が、イラン大統領選挙決選投票でなんと６１．６％を獲得した。ライバルである穏健派のラフサンジャニ氏は３５．９％を獲得したにとどまった。

イランで２４日行われた第９代目大統領の決選投票で、宗教人でないにもかかわらず、最も保守的な宗教者よりも保守的とされているマフムード・アフマドネジャード氏が圧倒的大多数の票を得て勝利したことは、１９９７年の穏健派の宗教者ムハンマド・ハタミ氏の大統領就任とともに開始された改革路線の終焉、という形で解釈された。

■ 最後の城砦、陥落
４８才の元テヘラン市長が国家の頂点のうちの一つにのぼりつめたことは、これまで権力システムの要となってきた憲法保護主義者評議会・司法府・革命防衛隊と公的メディアを統制する強硬な保守派が、今度は大統領の座を手にし、最後の城砦を征服したと表現された。
批評家は、改革路線によってより多くの自由と開放を求めるという一般イラン人の願いが既に過去の美しい幻になってしまったと強調している。イランの最近の政局は、改革派が主導権を失い、強硬派による全面的な支配の時代の始まりを意味している。変革を支持する改革派は、議会・大臣職・地方行政におけるその地位を急速に失うであろうといわれている。自らを「通りのごみ屋」になぞらえるアフマディネジャード氏が、まず石油大臣になって内務省および文化省で大規模な清掃運動を行い、批判を嫌う保守派が、たまにメディアに登場する敵対者を黙らせるであろうと確実視されている。

■ 初めての世俗の政治化
イラン公共テレビの説明によると、投票率60％の選挙では、もともと建築エンジニアであったアフマディネジャード氏が61.6％、ライバルの元大統領アリ・アクバル・ハシミ・ラフサンジャニ氏は35.9％の票を集めた。国外在住のイラン人は、ラフサンジャニ氏を支持した。
８月に大統領に就任するアフマディネジャード氏は、こうしてイランの過去２４年で宗教者でない最初の大統領となる。
保守強硬派のマフムード・アフマドネジャード氏は、選挙の勝利後行った最初の会見で、目標は「現代的、かつ先進的で力強いイスラム社会モデルを築くこと」であると主張した。一般市民との相違を排除したいと願うアフマディネジャード氏は、国民的合意の形成を呼びかけた。アフマディネジャード氏の側近であるアクバル・ジバンフェカル氏も「公正と変容の政府の時代」が始まったと述べた。
最高指導者のアリ・ハメネイ氏は、祝勝が行われることを禁止した。ハメネイ氏は「人々が通りで（勝利を）叫ぶことは国益に反する」と述べた。

■ プロフィール　元革命防衛隊
イラン大統領選挙決選投票に残ったこと自体が驚きとされ、元々の当選候補であるハシミ・ラフサンジャニ氏に対し選挙で勝利し、みなを驚かせた過激保守主義政治化のマフムード・アフマディネジャード氏は、大きく急速に成長し、国家指導者の任務を手にした。２００３年にテヘラン市長に選出されるまではあまり知られていなかったマフムード・アフマディネジャード氏は、中間層家庭の７人兄弟の一人としてテヘランで生まれた。最高指導者アリ・ハメネイ氏につながる新世代の保守派政治化の筆頭となっている。元革命防衛隊のメンバーであった４８才のアフマディネジャード氏は、質素と謙虚さというイメージで知られている。
・ 核技術を守る　アフマディネジャード氏は、１９７９年のイラン・イラク革命の原則を忠実に守るベシチという宗教的な民兵グループのリーダーのうちの一人である。イランには核技術保持の権利があると主張するアフマディネジャード氏は、このことに関して国際的圧力に屈しないことが必要だと明らかにしている。アフマディネジャード氏は、反アメリカに加え、イランの核計画に関してＥＵと行われる予定の会合にもあまり熱意を示していない。
・ 男女別エレベーター　アフメディネジャード氏が２００３年にテヘラン市長に選出された時の活動は、改革派にとっては悪夢のようだった。市内の建物ではエレベーターを男女別とし、文化センターを閉鎖し、（サッカーの）ディビッド・ベッカム選手の宣伝パネルを外し、芸術活動ではコーランを長々と読ませた。これに反して、首都の貧困層が住む街の道を整備した。贅沢なオフィスの代わりに粗末なオフィスで働き、秘書も雇わなかった。
・ 大使館を襲撃した者との関わり　アフマディネジャード氏がテヘランのアメリカ大使館を占領したグループに参加していたことも知らされている。建築エンジニアであるアフマディネジャード氏は、イラン・イラク戦争に共感をおぼえ、軍に入隊し、革命防衛隊の中で、イラクで行われた多くの軍事行動に参加していた。




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（ 翻訳者:井上さやか ）
（ 記事ID:308 )