国家安全保障最高評議会書記:「右も左も、家で寝ていてはならない」 シャルグ紙
2005年06月23日付 Sharq 紙

2005年6月23日(金)シャルグ紙2面

【ISNA(イラン学生通信)】国家安全保障最高評議会書記のハサン・ロウハーニー師は、〔選挙の健全性に対する〕破壊的行為〔注:票の買収や二重投票、軍関係者の動員、立候補者への誹謗中傷、選挙運動事務所への放火、選挙運動員への暴行など、キャッルービー師ら反アフマディーネジャード陣営が指摘している選挙違反行為を指しているものと思われる〕は組織的なものであるとの見解を示し、選挙後にこの問題の調査・対応に取りかかると確約した。

 ハサン・ロウハーニー師は金曜礼拝導師たちを集めた集会での演説の後、左右両勢力に対し、家にとどまることなく、選挙に参加するよう強く訴えた。同師は記者団の前で、大統領選挙の第二回投票に参加することの重要性について、「ホルダード月27日〔6月17日の第一回目の投票が行われた日〕の国民の選挙への参加は、敵の陰謀に対する回答となった。〔第二回投票日の〕ティール月3日への国民の参加は、イランの未来を切り開くことにつながる。イランが社会の向上や、発展、栄光、正義、貧困の撲滅のためにいかなる道を選択するのかを示すものとなろう。それゆえに、選挙当日は、選挙にとってのみならず、同時にイラン・イスラーム共和国の命運を握る日でもあるのだ」とした。

 ロウハーニー師は組織的な破壊的行為とこのような出来事に対処する必要性について、次のように述べた。「金曜日の投票が終わるまで、そのままにしておいてほしい。必ず、私やその他の担当者たちがこのような行為に対してきちんと対処することになるだろう。破壊的行為は組織的で計画的なものだと私は考えている。この件で集められた全ての情報、ならびに逮捕された者たちに関して、人々の前に問題の全容を明らかにすることは、情報省や内務省、司法当局の責務である。しばしばこの種の話では、我々にとって非常に重要な地位を占めている複数の機関が、嫌疑の対象となっている〔注:革命防衛隊やバスィージなど、アフマディーネジャードの支持基盤である軍が不法に動員されたのではないかとの指摘を指しているものと思われる〕。だからこそ、事件の全貌が明らかにされなければならない」。さらに同師は続けて、「どこにいようと、ともかくも、犯人を逮捕し、このような事件が我が国で繰り返さないようにしなくてはならない」。この破壊的行為に関わった人物たちの多くは、悪意のある人物でもなさそうであるとの見解を示し、「煽動者が基本的な役割を果たしていたはずだ。選挙後にもう一度、このような国内問題や諸々の党派について再調査する必要がある。左右両派に対立があるとしても、それを亀裂へと発展することがないようにしなくてはならない」と話した。

 ロウハーニー師は同時に、左右両派が国政に参加すべきであると強調した上で、次のように述べた。「我々は、イランの全国民を必要としている。どの政治勢力も国政に果たすべき役割を有しているはずだ。どのような派も、単独で国政を運営することはできない。一つの派が国政を牛耳り、別の派は家に引きこもるというようなことが可能だと考えるのは大きな間違いである。これは政治的にも、歴史的にも、大きな誤りである。全ての党派が国政に参加すべきである。我々はの国民的な和睦を目指すべきであり、分裂を追及するようなことがあってはならないのである」。

■破壊的行為に対するゴムの法学者たちの不満
 ISNAの報道によると、国家安全保障最高評議会書記のロウハーニー師はまた、金曜礼拝導師の集会における演説の中で、ゴムの法学者たちと面談したことに触れ、次のように話した。「ジャヴァーディー・アーメリー師が私に言うには、『私は7年前の選挙である候補者を支持し、同候補者は七百万票を獲得した。それに対して彼の対立候補者は二千万票を獲得した〔注:1997年にハータミー師が大統領に当選したことを指す。なお当時有力候補者とされていたのは、保守派の重鎮のナーテグ=ヌーリー師であり、アーメリー師が支持したのも、ナーテグ=ヌーリー師のことであると思われる〕。しかし、その対立候補者に票を入れた二千万人のうち、誰一人として私に抗議した者はいなかった。しかし今回は、選挙が始まる前に、多数が私のところへやって来て、なぜなにがしの候補者を支持するのかと抗議をする始末である』とのことである」。彼は金曜礼拝導師の集会での演説でこのような話を披露し、ゴムの法学者との最近の会談について触れ、法学者たちは最近の〔選挙への〕破壊的行為について大変不満に思っている旨述べた上で、「アーヤトッラー・ファーゼル・ランキャラーニー師は〔選挙への〕破壊的行為について、〔候補者〕個人に対するものではなく、革命と体制に対する破壊的行為だと考えている、破壊的行為を犯した者たちは、体制に対して忠誠心を有していないのだと話していた」。

 ロウハーニー師はさらに次のように付け加えた。「よもや革命の精神などなくしてしまったとでも言うのだろうか。1360年、61年をもう一度繰り返そうとでも言うのだろうか〔注:当時のバニーサドル大統領の弾劾とそれに続くモジャーヘディーネ・ハルグによるイスラーム共和党本部爆破テロ事件などの事件が続発し、体制が大きく動揺していた1981-2年のことを指す〕」。同師は当時殉教したベヘシュティー師のことに触れて、次のように述べた。「かつて私たちが説教壇においてベヘシュティー師の名を挙げた際、なぜ同師を支持するような発言をするのかと、批判の的にされたことがある。ある日ベヘシュティー師に、なぜ彼に対して向けられた破壊的行為〔注:ここでは誹謗中傷などの個人攻撃のことを指しているものと思われる〕に対して黙っているのか、尋ねたことがある。同師は答えて曰く、破壊的行為に答えるよりも、国民に奉仕することに時間を使いたい、とのことだった。このような険悪な雰囲気が再び現れるようなことがあってはならない。なぜこれほどまでの誹謗中傷のビラや合成写真、ウソが人々の間に広まってしまうのか。我々はイマーム・サーディク〔注:シーア派の第6代イマームのこと〕やお隠れイマーム〔注:第12代イマームのことで、12イマーム・シーア派の信仰では、このイマームはお隠れ状態にあり、救世主マフディーとして再臨すると信じられている〕の国にいて、宗教指導者の心を苦しめるような行為が行われてしまうのか」

 ロウハーニー師は演説のなかでさらに、破壊的行為を慎むようにとの最高指導者の声明に触れ、次のように述べた。「最高指導者は、大統領立候補者に対する破壊的行為はあってはならない、フォルガーン〔注:1979年のイスラーム革命の際、モタッハリー師を含む革命の指導者たちの暗殺を実行したと言われる謎の集団のことを指すものと思われる〕[のようなもの]が繰り返されてよいわけがない、と命ぜられている」。

 ロウハーニー師は、戦争や革命、革命前の闘争を知らない世代について言及して、「この世代は、私たちがどのような激動の歴史を経験してきたのかということを知らないでいる」と述べた。同師はまた演説のなかで、破壊的行為に対して補償し、また国民の選挙への熱烈にして積極的な参加から破壊的行為のような醜い行為をなくすための取り組みを呼びかけた上で、「このような逸脱を放置してはならない。ティール月3日〔6月24日〕の金曜日は命運を決める日だ。ホルダード月27日〔6月17日〕の伝説は、ティール月3日に完結しなくてはならない。革命の未来、国家の命運、敵の陰謀が議論の焦点となっているのだから」と述べた。

 ロウハーニー師はまた、自身のジュネーブでの〔英仏独外相との〕交渉について言及し、成功であったと評価した上で、次のように述べた。「我々は決して屈服したわけではない。我々は全ての段階において、体制やイスラーム、イランの名誉を守りきった」。現下の状況はセンシティブであるとした上で、次のように述べた。「国の置かれている状況はセンシティブだ。〔しかし〕どの国も、イランほどの地位や影響力、偉大さを有してはいない。我々は、国民の投ずる票には従う。しかし、〔国を取り巻く〕状況についても国民に対して説明しなくてはならない。大統領は国で二番目に高い地位であるということを知らなくてはならない。低い投票率で大統領を選出しないように。低い投票率など我が国にはふさわしくない。二千万人以上が投票に参加すること、さらに言えば第一回投票よりも高い投票率であることが必要だ」。

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( 翻訳者:久野華代 )
( 記事ID:309 )