護憲評議会、見直しを行う
2005年05月25日付 Sharq 紙

5月25日シャルグ紙1面

護憲評議会、見直しを行う

 護憲評議会は、イラン・イスラーム参加戦線及びイスラーム革命聖戦士機構の推すモスタファー・モイーンと、体育庁長官のモフセン・メフルアリーザーデの立候補資格を認めた。この措置は、〔モイーン、メフルアリーザーデ両氏の立候補資格について見直すよう、〕ハーメネイー最高指導者から護憲評議会へ要請があった後、採られたものである。

 この措置が採られる以前、本年のホルダード月1日(2005年5月22日)、護憲評議会は声明の中で、6名の候補者のみの資格を承認する旨表明していた。すなわち、護憲評議会から立候補資格を獲得したのは、モハンマド・バーゲル・ガーリーバーフ、アリー・ラーリージャーニー、マフムード・アフマディーネジャード、モフセン・レザーイー、メフディー・キャッルービー、そしてアクバル・ハーシェミー・ラフサンジャーニーの6名にすぎなかったのである。このような声明が発表された後、第7議会議長のハッダード=アーデルは、「立候補有資格者の範囲を広げる」よう最高指導者の「ご配慮」を求める旨の書簡を最高指導者に送った。最高指導者もまた護憲評議会への書簡で、「モスタファー・モイーン、メフルアリーザーデ両氏の立候補資格に関する先の発表に対し、見直しを行うよう」強調した。そのため、護憲評議会はホルダード月2日(5月23日)に会議を開き、最高指導者が名指ししていた人物の立候補資格を認定した。同評議会は最高指導者宛ての書簡の中で、次のように述べている。「猊下の書状を受領した後、護憲評議会特別会議が再審査のために開催されました。猊下は様々な政治的傾向を有する国民すべてが、選挙という大きな試金石に立ち会う機会を得ることが望ましいとお考えであることから、猊下のご寛大なお考えに従い、モスタファー・モイーンとモフセン・メフルアリーザーデ両氏の立候補資格をここに表明するものであります」。

 かくして、選挙の「大いなる欠席者」と評されたモスタファー・モイーンは、最高指導者の意見のお陰で、選挙戦の場へと足を踏み入れることになった。

 護憲評議会への最高指導者の書状が発表されるまで、参加戦線のメンバーは同評議会に対し、モイーンの立候補資格不認定の根拠について説明するよう求めてきた。たとえ、評議会がその根拠を説明せずとも、ハムシャフリー紙は、昨日付けの紙面で、モイーン氏の資格不認定の理由を以下のように説明していた。「国家安全保障最高評議会の見解にもとづき、1378年(1999年)の危機〔注:この年の7月、相次ぐ改革派系新聞の発行停止処分に憤った学生たちが、大規模な反政府運動を起こし、治安当局や体制護持の過激派らと衝突、流血の惨事となった。当時モイーンは高等教育相として、大学関係の問題に責任を有する立場にあった。なお、今回の大統領選の保守派のもっとも有力な立候補者とされるガーリーバーフ前警察長官は、このとき学生運動の鎮圧に貢献し、そのことでハーメネイー最高指導者より警察長官に抜擢されたといわれている〕に対する無策(憲法第115条で言及されている資格不認定条件の一つ)」とした。同紙はまた、メフルアリーザーデの資格不認定の理由についても、「政府資産の私物化と国民預託物の管理能力不足」とした。

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 ともかくも、選挙戦の構図は再度一変した。ホルダード月1日(5月22日)には、護憲評議会の資格認定者の発表によって、選挙戦の方程式は2+4、右派の立候補者4名がハーシェミー・ラフサンジャーニーとキャッルービーに相対するという形であった。しかし、新たな構図では、上記の方程式は崩れ、1+4、つまり右派の立候補者の1名と彼に相対する4名の立候補者、という形が生まれた。すなわち、右派は票の集約のために、一種の「強制的合意」によって、4名の自派立候補者を1名に絞り込むという形で、である。しかし、それに対するもう一派の方はといえば、選挙戦から辞退する者は誰もいないであろう。ハーシェミー・ラフサンジャーニーは選挙戦にとどまるであろう。モイーンとキャッルービーはこれまでも、誰とも妥協しない旨強調してきたし、メフルアリーザーデも現在のところ、自らを選挙の正当なコンテンダーの一人であると考えている。故に、新たに出現した状況下において、選挙の第二回投票に上るためには、どのように選挙を戦えばよいのかが、関心を集めている。ハーシェミー・ラフサンジャーニーの支持者は、同氏は第一回投票についてはさほど心配していないと語る。彼は決まった期日を待つまでもなく、すでに選挙の第二回投票へと上る「走者」だ〔第一回投票で過半数を得ることはできなくとも、一位を獲得することは確実だ、ということ〕、というのである。

 では、第二回投票の候補者となるのは、どの人物であるかが、問われなくてはならない。

 今の段階では、左派の流れをくむモイーン氏と、右派の最終立候補者との間の戦いになるだろう。この候補者とは、アリー・ラーリージャーニー(右派の指導者たちに影響力がある)であるか、あるいはモハンマド・バーゲル・ガーリーバーフ(世論調査では、他の右派の立候補者に対して、より多くの票を獲得している)であるか、いずれかであろう。つまり、現下の状況下では、モイーンの真のライバルは、この2名(ラーリージャーニー/ガーリーバーフ)のうちの1人であり、彼ら〔モイーンとラーリージャーニー/ガーリーバーフ〕のうちの1人が第二回投票へと進み、国民によって第9期共和国大統領として選ばれるべく、真の戦いをハーシェミー・ラフサンジャーニーと行うことになるだろう。

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 現在までモスタファー・モイーンは自らの最終見解を表明しておらず、また参加戦線の間接的な機関誌も、自らの支持者へ向けて、「短兵急に反応を示すべきではない」と、その冒頭のタイトルで強調している。さらに、モスタファー・モイーンは最高指導者が〔立候補資格不認定を見直すようにとの〕見解を示す前に、すでに自らの抗議声明において、「私は、法的規定や市民としての権利に則ることのなく、外から為された介入や見直し作業というものを、それが自らのためであれ、その他の立候補者のためであれ、期待していなかったし、いまも期待していない。またそれら介入や見直しを求めてもいなかったし、今後求めるつもりも、それに従うつもりもない」と強調していた。しかしそうであったとしても、モイーンの選挙本部長を務めるショクーリーラードも、彼のスポークスパーソンを務めるエラーヘ・クーラーイーも、「われわれは改革のためならば、いかなる状況であれ、あらゆる法的措置を歓迎する」旨語っていたのである。

 イスラーム革命聖戦士機構のスポークスマンであるモフセン・アールミーンは、「現下の状況下で大統領選挙にモスタファー・モイーンが参加することは、彼の過去の立場と矛盾・対立するものではまったくないと考えている」と述べた上で、「モイーンの資格承認は法的措置であり、彼の選挙への参加は過去の彼の立場と矛盾はない」と付け加えた。他方、参加戦線中央評議会のメンバーであるモスタファー・タージザーデは、「選挙へのモイーンの参加に対して、賛成する者、反対する者双方の意見を取っている」最中であると述べた。モイーンの選挙本部政策立案評議会が昨日広報において、状況の分析を行うことが必要であるとし、護憲評議会の行動にふれつつ、「選挙への参加・不参加は現在調査中であり、ホルダード月5日(5月26日)木曜日に行われるモイーン氏支持大集会で採決が行われる」と表明したのも、このためである。

 現在、参加戦線は困難な峠に差し掛かっている。というのも、かつて参加戦線が採った一部の立場が原因で、彼らに対してモイーンは選挙への参加を見合わせるべきだ提起する人々もいるからである。モイーンの選挙参加に反対する人々の中の1人である統一強化事務事務所のアブドッラー・モォメニー書記は、自身の分析の中で、「もはや、選挙への参加を、参加グループによる権力構造の改革の手段として説明することなどできない」と強調する。団結強化事務所テヘラン評議会もまた、モイーンは彼らの要望を受け入れるべきだと言い張る。しかし、モイーン氏の選挙への参加に賛成する者たちは、次のように強調している:護憲評議会は自らの法的義務に背いたのであり、最高指導者の意見によって誤ったあり方が修正されたのだ、それ故、選挙に参加しない理由はどこにも存在しない、と。

 このようにして、革命聖戦士機構と参加戦線の首脳部は、最終的に後者の見解に立ち、自らの推す立候補者に選挙参加を受諾するように勧めているように見受けられる。というのも、彼らは8年間政権を担ってきた経験から、この国では穏健な政策を採ることで徐々に前進することが可能であり、権力の内部にとどまり、他の人々と相互に関係をもつことができるということを学んだ。改革の本質もまた、そのようものであり、ハータミーもまたこの8年間、そのように行動したのである。

 もし彼らが選挙に足を踏み入れるならば、アリー・ラーリージャーニーとガーリーバーフの2名のうちいずれか1人を、自らの真のライバルとして戦わなければならない。第一回投票で彼らのうちの誰が第二投票に上がり、ハーシェミー・ラフサンジャーニーと戦うのか、見守る必要があろう。


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( 翻訳者:村上遥 )
( 記事ID:13 )