非合法のコーランコースに対する罰則軽減を大統領は拒否(Hurriyet紙)
2005年06月04日付 Hurriyet 紙
非合法コースに対する認可を拒否
共和国大統領セゼルはタリーカ(教団)や非合法のコーランコースに与えられる罰則を軽減したトルコ刑法の改案を拒否した。セゼルは法案の2項目を拒否し、38項目を保留した。
共和国大統領アフメト・ネジュデト・セゼルは6月1日施行予定だったトルコ刑法の改案のうち、2項目を不認定とした。セゼルは法案を再審議のため議会へ突き返した。セゼルは非合法の教育組織に対する罰則に関する第29条を理由に拒否権を発動し、その理由を以下のように説明した。
<広報活動への警戒>
法の改案前の目的が、分離主義的なテロ組織、(宗教的)広報活動へ携わる者、宗教国家を擁護するタリーカが非合法の学校やコースを開設することを防ぐことにあったのは明白である。
<国家は防止する義務がある>
国家業務に就く者は、法に反する教育組織を存続させるのではなく、その基盤を根絶しなければならないのである。国家は法に反する教育組織の開設を、改案によって最初から防止する義務がある。
<組織責任者の判断に任せるべきではない>
違法な教育組織への閉鎖命令を出さず、閉鎖に関する業務をその経営者に任せることは、違法性を日常化させうるし、この状態を法治国家の原則に照らし合わせることは不可能である。
<大臣の優越>
セゼルは法の第3条で規定された、外国で罪を犯した者の処分を法務大臣の権限によって裁くという項目を「政治的、個人的に利用される恐れがある」として否認した。
<他の項目は保留に>
以上二つの条項が拒否されたことにより、残りの38項目は保留とされた。否認された項目は来週中にまずは立法委員会、のちに総会で審議される。大統領が否認した条項が、再び議会で承認されればセゼルの拒否権発動の機会は存在しないのである。
『大統領府からエルドアンへの警告』
大統領アフメト・ネジュデト・セゼルは、官僚の任命に関してエルドアン首相に送った警告書間の内容を公開した。大統領府書記官長のセルメト・アタジャンルが明らかにした3月7日付けの書簡の内容は次の通りである
<恒常化の問題>
各公的機関の幹部の中で、適任ではないと思われる人物が任命されていること、また任命が同意されないような人物が、意思決定に携わる上級職に就いているように思われる。
規則がある
憲法第128条で、国家運営を行うも者は公務員が必要とする継続的な任務に就く役人であり、他の公務員の同意を得るという規則に基づいている。
<憲法違反>
これらの任官者の、必要事項を満たした公務員の中から選任されるべきであるが、代理人によって選出された人物が任務を行っており、本来例外的、臨時的に認められるべきはずの措置が普遍化、恒常化している。これは憲法や立法に反する行為である。
<国家の代表>
国家公務員は政府ではなく国家を代表するのである。政府は一時的なものであり、国家は永続的なものである。
********************本記事への解説********************
大統領の任務と権限は、トルコ憲法第104条で定められている。立法権に関する部分を抜粋すると、
・法律を公布する。
・法案の再審議を求めてトルコ大国民議会に法案を差し戻す。
・憲法改正に関する法令を必要に応じて国民投票に付託する。
・法律、法律と同等の効力を有する政令、およびトルコ大国民議会の内部規定の全体 または特定の規定が、形式または原理的に憲法に反しているという理由により、憲 法裁判所に無効請求裁判を請求する。
すなわち大統領には立法権はないが、議会の提出した法案に最終的な判断を下す権限を持っている。2000年に選出された現大統領アフメト・ネジュデト・セゼルは憲法裁判所の長官出身という経歴を持ち、立法府に対して非常に厳しい監視をしている。とりわけ2002年に公正発展党が与党に就任してからは、強固な世俗主義を貫く大統領と政府の間の緊張が絶えない。(文責:大島)
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( 翻訳者:大島 史 )
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