エルドアン首相の遅れたアゼルバイジャン訪問とイラン(Radikal紙)
2005年06月29日付 Radikal 紙
アゼルバイジャンは秋に選挙を控えている。アンカラ政府は、力強く民主的なアゼルバイジャンを支持する。
ムラト・イェトキン
タイイプ・エルドアン首相が明日出発するアゼルバイジャン訪問は、地域情勢が流動的な時期に実現する模様だ。本来であれば昨年中に実施されるべきでありながら、流動的なEU外交の成り行きのゆえに実施されなかった訪問は、このような訪問の遅れを一種のアドバンテージに変える可能性を持っている。
地域的に重要な最大の動向は、先週末に結果が判明したイランの大統領選挙である。イラン国民の60%という明確な支持によって選ばれたイスラーム革命派のマフムード・アフマディネジャード氏は、彼が帯びる権力を、アメリカ政府がこのところイランに対して行った抑圧政策によるものである、と捉えている。ワシントンは、同地域における問題が、西洋的民主主義が歩んできたようには推移せず、かつてのサダム・フセインの例にもかかわらず安定しなかったと見ている。アメリカは、イラン国民が核兵器を持つ権利があると主張するアフマディネジャード氏と、核問題のためにも、またイラクで多数派を占めるシーア派住民をポイコットへ関与させないためにも、より一層の対話を余儀なくされるだろう。一方、ロシアは、アフマディネジャード氏の当選直後に、イランと地下核エネルギー施設の建設で合意に達したと表明した。
イランのあらゆる動向は、ロシアにたいするのと同じくらいに、アゼルバイジャンにも影響を与えている。800万人のアゼルバイジャン共和国の人口よりも多数のアゼリー人が、イランで暮らしている。これに対して、アゼリー・トルコ人の多数は、イランのムスリムの多数と同様にシーア派であるが、アゼルバイジャンは独立を達成した1991年以来、国内でのイランの影響力に対して冷静に対応している。
事はそれに留まらない。先月操業を開始し10月には地中海で船積みが開始される予定のバクー―トビリシ―ジェイハン・パイプラインは、カスピ海産石油の世界供給におけるロシアとイランの独占状態に風穴を開けるはずである。このプロジェクトに、カザフスタンとカスピ海上に敷設される予定のパイプラインとガス・バイプラインによってトルクメニスタンをも取り込みうる可能性は、カスビ海資源領有と活用に関して独自の見解を持つイランとロシアにいまひとつの合意点をもたらしている。
アメリカのドナルド・ラムズフェルド国防長官は2005年4月12日にバクーを訪問し、アゼルバイジャンに新たに基地を設ける意図はないものの、軍事的協力関係を強化していくと述べた。ロシアの『プラヴダ』紙はすかさず、翌日この声明を、アメリカがアゼルバイジャンを通じてイランを叩こうと計画しているもの、と報じた。
このような状況下でイランとロシアが、三方をアゼルバイジャン、グルジア、トルコに囲まれたアルメニアを支持し、アルメニアのナゴルノ・カラバフ占領に中立的立場をとることは驚くべきことではない。トルコ外務省筋は、アルメニアのナゴルノ・カラバフ問題に対する最近の消極的発言が、トルコ政府の国境開放に関する取り組みを停滞させていると述べる。トルコは、共通の国益を、アゼルバイジャンがアメリカ、ヨーロッパ諸国との関係を強化していくことにあるとしている。
しかし、この点に関して別の問題が浮上する。まず(BTCパイプラインが通る)隣国グルジアで、そしてウクライナで(西洋諸国に支持された)民衆運動によって実現した政権交代は、イルハム・アアリエフ政権にとって明らかな圧力となっている。アアリエフは、CNN Türkのギュルカン・ゼンギンの質問への回答の中で、「国民と政権の間に乖離はない」ので、「アゼルバイジャンでは「ビロード革命」は起こらない」と述べた。アアリエフは、自政権に反対するイーサー・ガムベルがイスタンブルで、グルジアとウクライナの革命を支援したNGO団体の主宰者であるアメリカのジョージ・ソロスと会談したのとニュースについても、気分を害するものではない、と述べた。
アンカラは、アゼルバイジャンが外圧に屈することなく、より一層民主化を進め強化することを支持している。BTCパイプラインの本格操業直後の11月に実施されるアゼルバイジャンの総選挙もこの点が問題となるだろう。アブドゥッラー・ギュル外相とアゼルバイジャンのエルマル・メメディヤロフ外相が、(ギュルの飛行機に同乗し)一昨日、アンカラから、イエメンでのイスラーム諸国会議会合へ向かった際には、(機中)会談の議題にこの問題も含まれていた。
エルドアンが今日グルジア国境でのダム完成式典に出席した後に向かうバクーにおいて明日行われる会談の結果はこれと同様のものとなろう。
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( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:379 )