第九期大統領と国民の経済的権利 ハムシャフリー紙
2005年06月16日付 Hamshahri 紙

視点:第九期大統領と国民の経済的権利(アリー・ファッターヒー)

 今日イラン国民は、国家財産や国民資本の生み出す利益に対して、配当を受ける権利を有しているということを知っている。この権利は、イランに成立するいかなる政府も十分留意せねばならない。貧困や貧困に苦しむ者など、少なくともイランには存在しえないというほど、国は富んでいる。国民資産によって国民生活が最低限保証されるならば、一方で物乞いは罪となるほど国民生活は潤うであろうし、他方で国民による経済的投資のリスクが減り、将来の破産や経済的不安定といった自営業者の不安などもなくなってしまうはずだ。これらのことを、国民はよく承知しているのである。ゆえに、今後新たに選ばれる政府が、国民の資産や資本(国有企業)からの利益を直接人々に配当するためには、以下に示すような国の経済構造改革のための提案にイラン新政府は留意すべきである。

ⅰ)予算編成の体制の見直し:それは、政府機関における科学的な費用算出方法と国の一般的な必要を満たす年間予算の提示にもとづいた実践的な予算の編成、それと同時に一部の特別な階層や集団に富を不公正に分配する可能性のある、例外規定の排除によって可能である。

ⅱ)税制改革:地下経済を失くし、自営業者が安心して自己申告によって最低限の国税を納めることで実現される。

ⅲ)現実的な民営化法案の提示:政府系大企業については株式という形で国民に無償譲渡する。政府系中小企業については優先的に、全国の同業組合やバーザール商人、流通部門に売却し、そうすることで生産部門と商業部門との近接化を図る。さらに中央銀行が管理するリヤール準備口座を立ち上げ、こうして作られた国民基金を活用することで利率の低下を図る。そうすることで結果的に、結果として、同レベルの国々と比べて著しく減少してしまった国民一人当たりの収入は大幅に増加するであろう。

ⅳ)石油や天然ガス、大型の鉱物資源などの国民資産に関する法案を提出することで、予算と国民資産の関係の透明化を図る。また、政府開発予算の必要経費を賄う際、国民資産から財源を得ることに対して上限を決め、さらに外貨備蓄基金にプールされている国家資産の黒字収入を移し替え、自営業を立ち上げようと考えている7千万人のイラン国民への投資に回す。このような仕組みによって、国民総生産の劇的な増加が実現されるだろう。

ⅴ)イラン経済は物価高騰下での景気停滞に陥っている。一方で、物価が高騰していることの原因は政府と中央銀行の金融政策にあり、他方で景気が停滞していることの原因は収入の格差、そして全体的な国民の貧困にある。それゆえ、政府主体の中央銀行から国民主体の中央銀行へと構造改革を行えば、政府の引き起こしたインフレは収束し、国民資産からの国民への配当を行えば、庶民の購買力は増大し、国の生産規模を低レベルに抑えることを余儀なくされることもなくなるだろうし、こうすることで、国の経済に再び活気が戻るだろう。実際、6%の国内総生産の成長に加え、個人の最低限の生計を保証することを基本に、国民への配当の一部を支払うことで、国の生産力を大きく引き上げるためには、通貨供給量の増加率を1383年(2004年)の24%から大幅に低下させることが必要である。

ⅵ)現在、国の一般出納報告によると、外見上、予算の赤字がない状態が4年続いているが、依然として通貨供給量の増大が見られる。それは、国家の外貨収入、そして特に外貨貯蓄口座における歳入が、財務表の欄の中央銀行のバランスシートに外貨備蓄として、また資本口座という名目で備蓄されており、中央銀行は本質的に自らの政策手段を通貨供給量の増加に依拠しているからである。それゆえ、現下の状況下では、インフレを生み、生産力を削いでしまう原因となっている外貨備蓄の増加に歯止めをかける(外貨備蓄基金から資金を回収する)ことで、通貨供給量の増加を抑えなくてはならないのである。それは、国民への配当の一部を支払うことで生じるであろう通貨供給量の増加が、インフレと通貨供給量の増加には大きな影響を与えないためにも、必要なことなのである。

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( 翻訳者:南龍太 )
( 記事ID:289 )