Zachary Shore:コラム「国民見解」に注意(Radikal紙 7月15日付けヘラルド・トリビューンより引用)
2005年07月16日付 Radikal 紙

もしテロリストの真の目的がアメリカをイラクから掃射することにあるなら、次の目標が何であるか予測できる。多くの人は次の標的がイタリアやデンマークであると考えている。それは両国がイラクに派兵をしているからであり、ロンドンでの事件後に出された警告のせいでもある。しかし320万のムスリム人口を擁するドイツも、標的になっていると考えられる。ドイツはイラク戦争に反対していたが、アフガニスタンには2千人規模の軍隊が駐留しており、アルカイダにとってはイラクのアメリカ軍同様に挑発的な存在である。
 イタリアやデンマークでも国内の民族間緊張は強いが、ドイツはさらに強いと言えよう。ドイツのムスリム人口の大多数はトルコの発展途上地域から来ている。多くはドイツ語を話せず、ムスリム地区で生活しておりドイツ人との社会的な関係は限定的である。また失業率や退学率も国内平均よりはるかに高い。
 そしてもっとも悩ましい問題が以下の通りである。
いくつかのアンケート調査は、トルコ系ドイツ人青年層がヨーロッパや西欧に対し驚くほどの強い敵対心を抱いていることを明らかにした。ビーレフェルト大学の社会学者ウィルヘルム・ハイテメイェルとその研究チームは、アンケートに回答した人の3分の1が、イスラームがすべての国の公式宗教であるべきだと信じていることを示した。ヨーロッパで生活しているにも関わらず、56%が西欧式の生活様式になじまず、イスラームの規則によって生活すべきであると考えている。3分の1以上がイスラーム集団に支援をしており、不信仰者に対しては武力行使に訴える用意があることを述べている。また40%が、シオニズムやEU、アメリカがイスラームの脅威であると述べている。先日ベルリンの中でムスリム人口が多数を占めるクロイツベルグ地区でのモスク訪問の際、配られたビラを集めた。そのすべてがトルコ語であり、多くが「国民見解組織」(以下MG)のものであった。MGは10年前、ドイツにおいて、トルコの親イスラーム政党である福祉党の支持組織によって設立された。福祉党は閉鎖されたが、その中の穏健派グループが設立した公正発展党は、現在エルバカン首相を党首として与党の座にある。
 福祉党は閉鎖されても、MGは影響力を持ち続けている。ヨーロッパには8万7千人のメンバーがいて、このうち5万人がドイツ在住である。ドイツの2500のモスクのうち、5分の1がMGの傘下で活動しており、ここで組織のイスラーム系刊行物を配布している。
 ロンドンの例は、テロリストに対する厳しい追跡捜査も強固な信念に基づいた行動を防げないことを示した。つまりもっとも強固な防衛、攻撃を始めなければならない。しかしそれはテロリストだけでなく、そのイデオロギーに向けたものでなければ成らない。
 冷戦はすべての共産主義兵を地面に組みしくことでは勝てなかった。共産主義は、その最前線で指導していた者が共産主義イデオロギーを放棄することによって崩壊したのである。
 西欧は、イスラーム過激派のイデオロギーに対抗するだけでなく、同様に起源と思想を蓄積しなければヨーロッパ規模での爆破攻撃は残念ながら当たり前の状態になってしまうだろう。


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( 翻訳者:大島 史 )
( 記事ID:459 )