専門家がハイダルパシャ地区プロジェクトを問題視 -高層ビル建設には耐えられない弱い地盤(Milliyet紙)
2005年07月16日付 Milliyet 紙

 イスタンブルのハイダルパシャ地区に予定されている大規模な政府支援型プロジェクトに対して、構造設計と地震の専門家が反対を表明した。建設予定地は埋立地であり、地震に弱い。大勢の人々を巻き込む大災害になりかねない。

 ハイダルパシャ地区では、7棟の大型高層ビルと様々な施設を含む政府支援型プロジェクトが予定されているが、構造設計と地震工学の専門家から反対意見が出された。このプロジェクトに対する専門家たちの意見の概要は以下のとおり。
 ハサン・ボドゥロウル教授(地震財団理事長、イスタンブル工科大学):間違った決断だ。イスタンブルの歴史的な都市構成に悪影響を及ぼすプロジェクトである。建設予定地には埋め立てられた部分がある。このようなプロジェクトは数人の思いつきからではなく、科学的かつ学際的に専門家達を参加させ、その良し悪しが議論されるべきである。建設予定地は、緑地帯とされるべきである。
 ハルク・エイドアン教授(地震評議会委員長、イスタンブル工科大学):このプロジェクトの計画事体が間違いである。イスタンブル住民の意見が聴取されるべきである。建設予定地は、耐震法規に照らし合わせると地震が起こりうる地域に指定されており、埋立地も含まれている。このプロジェクトは、地盤という点もさることながら、イスタンブルの今後の用途地域計画という視点からも考えられるべきだ。
 セミヒ・テズジャン(ボアズィチ大学):外国では、この種の建設事業(の是非)について住民の承認がとられる。地盤がやわらかく、軟弱であるため、高層建築に適するかどうか地質検査が行なわれるべきである。1950年代、同地区にサイロ(円筒形の貯蔵庫)が建設された時にも非常に困難な問題に直面した。ボスフォラス海峡のもっとも美しい場所にこのような建設事業はふさわしくない。
 メティン・アイドアン教授(イスタンブル工科大学):基礎に埋められる何千もの杭、何トンもの鉄材は、この地区の地質には適していない。基礎工事のことを考えると、これは大変な事態に陥るだろう。また、歴史的都市構成も確実に破壊されるだろう。このようなプロジェクトは、イスタンブルにとって不幸であり、多くの人が巻き込まれる大災害をもたらすだろう。
 ハリデ・バサラン氏(上級土木技術士):危険性が非常に高く、施工上も間違ったものである。歴史的建造物と都市景観を損ねるプロジェクトである。営利優先の考え方は間違っている。イスタンブルをこのようなプロジェクトで滅茶苦茶にすることは阻止されるべきだ。我々はイスタンブルを守る必要がある。

■圧迫感のない建築群になる予定
 イスタンブル大都市庁長官カーディル・トプバシュは、ハイダルパシャ・プロジェクトに関連して、次のように話した。「レジェプ・タイイプ・エルドアン首相と交渉している。周辺環境へ悪影響を及ぼさず、都市がもつ独自の特色を反映させるような独創性の高いプロジェクトを考えている。高層ビルのような圧迫感のある建築群にはならない予定だ。この場所には観光船が寄航し、休憩所、ホテル、商業施設、金融機関そして娯楽センターからなる複合施設を考えている。」


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( 翻訳者:山下王世 )
( 記事ID:464 )