地雷が村人に「爆発」(Radikal紙)
2005年07月01日付 Radikal 紙

アール県のドウベヤズィット郡タシュルチャイ地区で、PKKが埋めた地雷が破裂し2人の兵士が死亡したことを受け、夏営地への立ち入り禁止令が出た。この禁止令によって20万頭の家畜が飢餓状態にある。

アール県のドウベヤズィット郡タシュルチャイ地区で、6月22日に兵士二人が死亡した地雷爆発事件は村人達に重い代償となった。1990年代に適用され、牧畜業を廃業するまでに追いやった夏営地立ち入り禁止令が再び施行されたのである。同地区ではこの数年、牧畜業は少しずつ上向きになっていていたが、再び後退の危機に瀕している。

■3万人に影響
夏営地立ち入り禁止令は3万人と20万頭の家畜に影響を及ぼしている。牧畜業で生計を立てる人々は、家畜を夏営地から移動させることは殺すことになると言う。一方禁止令を出した県庁は、村人がPKKを支援していると非難する。
 村人達は夏の4ヶ月間、家畜を放牧するために登るタシュルチャイ高地で、爆発の後に出された禁止令は緊張を生み出している。事件の翌日、爆発現場の側のテントが追放された。軍警察(ジャンダルマ)は、禁止令を口実に高地に滞在する人々に自宅に戻るよう言った。軍警察は「軍の命令」であるとしながら、夏営地を出て行くように言われた村人に対し、捜査によって村人が不快を被ること、それが嫌ならば出て行くしかないことを説明した。村人は禁止令の取り消しを求め、地元の議員に助けを求めに行ったが、何の回答も得られないまま、昨日から家畜とともに帰宅を始めた。

■村に戻るのは死ぬことだ
地雷の爆発したタシュルチャイ地区には70から80の夏営地がある。500頭の家畜を所有する匿名の村人は次のように語った。「1990年の禁止令は地区が限定されていた。しかし今回はすべての夏営地が対象だ。今家畜を村に連れて帰れば半数が死ぬことになる。村と夏営地では20度も気温差があるのだ。家畜を村に連れて行けば、暑さで死んでしまう。それに夏営地でなければ牧草がない。村に連れて行ったら、5万から6万トルコリラの損害が出るだろう。夏営地に行くしかないんだ。ドウベヤズィット地区だけでなく、アールやウードゥル県まで、約5000世帯が牧畜に出ている。つまり3万人に影響が出るんだ。」150頭の家畜を所有する別の村人は、「私たちの荷物や何やらをまとめて出て行けというのに、たった2日間しか時間をくれないんだ。もしこれで解決しなかったら、県庁の前でハンガーストライキをするつもりだ。」と語った。

■県知事:PKKへ支援をしている。
アール県知事のユスフ・ヤヴァシュジャンは禁止令を正当化する。軍の要請に伴って決議を下したヤヴァシュジャンは次のように説明した。「彼らは家畜のことを考えているが、私は兵士のことを考えなければならない。あの地区ではテロリストが道を塞ぎ地雷を埋めているのに、誰も犯人の名前を挙げない。禁止令は彼らを罰するためではない。しかし彼らは協力するどころか、国の兵士を殺す者に加担している。良心が痛まないのか、2人の兵士が死んだ。彼らは自分の家畜の心配だけだが、それが軍の反発を呼んでいる。ここで対策をとらなければ、彼らはより内地にも影響力を及ぼすであろう。



********************本記事への解説********************
アナトリアの東部、東南部では牧畜業、農業を生業とする人々が多い。彼らは夏になると家畜を連れて高台の牧草地へ移動する。村の自宅にはたまにしか戻らず、テント生活をしながら夏のほとんどの期間を過ごす。こうした夏営地は山岳地帯へ続いており、牧畜業を営むクルド系村人が、山岳地帯で活動するPKKへ武器、食糧援助をしていることは前々から指摘されてきた。そのためトルコ政府は各農村に村落防衛隊を結成させ、村人同士を監視させてきた。こうした措置は政治闘争とは無関係に生活する多くのクルド系農民を、政府とPKKのいずれかを選択させるというジレンマに陥らせた。(文責:大島 史)

Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:大島史 )
( 記事ID:367 )