得票率制限(訳注:トルコの選挙法では、得票率が10%を超えない政党の議員は議席を獲得できないことを定めている)の廃止はEU加盟の条件ではない」と述べた首相に反論が持ち上がった。欧州安全保障・協力機構(OSCE)は最新の2つの報告書でとりあげ、欧州人権裁判所は有罪判決を出すおそれがある。
10%の得票を得なければ政党が議席を得られないトルコの選挙システムの撤廃要求に対し、「得票率制限は政局の安定確保のために必要である。得票率制限撤廃などというEU基準はない」と語るレジェプ・タイイプ・エルドアン首相はEUの反発を買った。欧州評議会トルコ代表部は、エルドアンがEUからきたメッセージを読む際に「困難を感じていた」ことを明かし、「得票率制限の撤廃は、議会への民主的な参加を可能にする唯一の条件だ。エルドアンにはEUの文書をよく読んでもらいたい」と呼びかけた。さて、トルコの得票率制限撤廃の必要性を掲げたEU文書は次のとおりである。
■OSCEは待ちの姿勢
2002年選挙後、トルコの10%得票率制限は民主的な政治参加を阻害するというOSCEの最初の警告が発令された。選挙の経緯を観察したOSCE報告書は、得票率制限システムのせいで票の45%が死に票となったことを指摘した。報告書ではトルコに10%という基準が適正かどうか再考の必要があると呼びかけられた。
■EU対話の条件
1996年に開始されたトルコの「民主的水準の観察期間」の終了を2004年6月に決定した欧州評議会議員会議は、トルコと今後は「試験期間後の対話期」に入ったことを宣言した。このプロセスを進めるため、評議会は関連する報告書でトルコに12条からなる改革の「宿題」リストを提示したが、リストには得票率制限の撤廃があることは耳目を集めた。欧州評議会議員会議は、得票率制限の撤廃なくしてトルコは民主主義に近づくことはできないと述べた。
■前進の基準
EUはトルコを、欧州評議会の46加盟国中、得票率制限を持ち「議会で民主的政治参加を保障していない」唯一の国と位置づけた。このため、得票率制限の撤廃要求は、EUが準備したトルコに関する2003年および2004年の報告書で言及された。同様に2005年11月に発表される報告書でも言及される見込みである。
得票率制限が自由選挙権に抵触するかどうかについての最新の決定は、欧州人権裁判所が下す。選挙後に民主人民党(DEHAP)がもらした「得票率制限は、我々が議席を得ることを阻害した」という不満を受け入れているらしい欧州人権裁判所は、6月末にも外務省から「政府答弁」を受け取る予定である。欧州人権裁判所はトルコ政府に対し、「得票率制限を受け入れることはできない。トルコは必ず選挙システムや得票率制限において変革を行わねばならない。現状では権利の侵害が発生している」と述べたという。
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( 翻訳者:宇野 )
( 記事ID:372 )