小泉、議会解散と早期の総選挙を決める(アル・アハラーム紙)
2005年08月09日付 Al-Ahram 紙

■小泉、議会解散と早期の総選挙を決める
 郵政民営化法案否決の後で

【東京 カマール・ジャーブッラー】

 日本の内閣は、世界で最大の私営金融機関を立てる準備として、政府が提出した日本郵政公社の民営化のための法案を、昨日参議院が否決したことを受けて、議会解散と来る9月11日の早期の総選挙への訴えを決めた。

 参議院は既に法案を、昨日午後の会議において125票対108票で否決。与党自民党の22名の議員が改革法案に反対する投票で野党側についた。先週その法案についての衆議院での票差は非常に僅かであったのだが。

 小泉純一郎首相は、議会解散についての発表のため、東京の公邸で自民党の議員たちと会合を持ち、その席上で、郵政公社の改革案について日本の世論と有権者たちの意見を知るために突き進むと述べた。そして、この計画の行程の最後に、議会の解散と早期の選挙への訴えを明言した。

 政府から提出され否決された法案は、郵政公社をその民営化に向けて、2007年から10年かけて4つに分割しようというもの。日本郵政公社は、世界最大の金融機関。貯蓄銀行の部門を備えている。もうひとつは、生命保険。もちろん言うまでもなく、その基本的な仕事は郵便事業だ。日本郵政公社は、2兆9000億ドルの、国の貯蓄と保険資金とを扱っている。それが公社を世界的に最大の金融機関としている。政府機関としての公社の関係に加え、公社ではおよそ40万人の職員が働き、それゆえ日本で最大の雇用主と見なされる。

 法案の反対者たちは、郵政公社民営化を懸念した。というのも、恐らくそれは、特に田舎や遠隔山岳地域の数多くの支局の閉鎖に繋がるものであろうし、そうなれば、多数の職員が解雇されるであろう。反対者たちは、このように、世界最大の資本による私営銀行を立てることは、既にある私営金融機関を、その新しい銀行との競争の困難さによって、活動できなくさせてしまうだろうと確言した。

 議会解散と法案否決のニュースは、東京証券取引所で震撼を引き起こした。日経株価指数は、午前の審議中に伸び率にして1%下落した。市場がその損失を埋め合わせて、始値に比して0.11%の僅かな上昇で終わり、日経株価指数は終値で11778.98となった。外国為替市場では、ドル相場も円に対して高値で取引され、先週金曜日の終値より97銭円安の12.36円(ママ)に達した。

 日本郵政公社は、1875年、産業革命や日本の全体的な近代化を経験した明治時代に設立された。市民たち―その先鋒には田舎の人々がいた―は、完全非課税、手数料なしの利子を頼みに、彼らのささやかな蓄えをそこに預けた。

 公社の活動は20世紀中に次第に広がっていった。市民達との距離も狭まり、60年間日本を支配している自民党の手の内の政治的な道具と変わっていった。公社のほとんどの支局の長は、特に田舎の地域では、党で傑出した人物である。

 公社の職員は、遠隔の山間地帯にさえ広がる郵便事業の存在ゆえに一般市民を彼らと結びつける個人的繋がりから見て、総選挙や地方選挙で、自民党票の100万票以上の動きを握っていることで知られた。

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( 翻訳者:榮谷温子 )
( 記事ID:645 )