パン業界にも「EU基準」 ― 袋詰めや従業員教育で衛生対策(Radikal紙)
2005年08月14日付 Radikal 紙
1日200万個のパンを生産するイスタンブル大市役所の関連団体、イスタンブル人民パン公社は、明日より販売を開始するオーガニック・パンで攻勢をかける。また全てのパンを袋詰めにして販売したり、トルコ人特有の病気を防ぐビタミンを強化したパンの生産に向けた準備している。
同社のオメル・ビルギセヴェン社長は、ヨーロッパ系企業がトルコ市場への参入を準備している。生産者はEUの基準に合わせなければならない」と話した。EUへ加盟する前に加入した欧州小麦粉調製品組合の副会長に選ばれ、2年後には会長となる予定のビルギセヴェン氏は、10月3日に開始されるEU加盟交渉後、トルコで小麦粉製品を加工する企業をEU基準に合わせて生産し、外国の大企業と競争していくために、2007年までに再編する必要があると述べた。
同氏は「1つの窯ごとに少なくとも1万ドルの投資が必要だ。イタリアやスイス、スペインの企業が、500万ドル規模のイスタンブルの小麦粉製品市場への参入を計画している。(外国資本は)安価な原料と地域的な優位性からイスタンブルを中心に投資を行う可能性がある。小規模な生産者はコストを引き下げ、生産規模を拡大したり、経営を統合せざるを得ない」と語った。
■「全従業員を教育する」
資本金1千万ユーロのうちの75%をEU資本でまかなった、小麦粉製品の学校を設立し、それを通じてEU基準に適合する生産を実現しようとしていると話すビルギセヴェン氏は、「学校を通じてこの分野に携わる従業員に1カ月、3カ月、6カ月単位で教育を受けさせる。製品数は(当初の)20から50に増やすことを目標にしている。EUでは1日分のパンを袋に詰めて販売する義務はないが、我々は全ての製品を袋詰めにして販売する予定だ。1箱に20~25個入る箱に袋詰めすることで、生産・流通段階での衛生問題を防ぐことができる。販売も衛生教育を受けた者だけが担当できるようにする」と述べた。
ウクライナのチェルノブイリ原発事故の影響を減らすため、パンにビタミンを加えたことを引き合いに出し、「トルコ人に最も多く見られる知能障害の病気や、セリアック病(訳者注:小腸の吸収不良を起こす、タンパク質のグルテンに対する遺伝性の不耐症。日本人にはごくまれにしか見られないという)やガンを誘発する代謝系の病気であるフェニルケトン尿症を防ぐため、グルテンを抜いた特別な配合の原料を作ったことを明らかにした。同氏は「9月以降生産を始め、こうした特殊なパンを必要とする人に無償で提供する。今のところ1日当たり750個のでんぷん入りパンを必要な人に無料で渡している。国外から18YTLで輸入されているが、我々は4YTLで販売する。天災が起きたときに生産できるよう、ビタミンを加えたパンの材料も準備中だ」と話した。
現地の新聞はこちらから
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:穐山昌弘 )
( 記事ID:674 )