憲法裁判所に初の女性長官トゥライ・トゥージュ(Milliyet紙)
2005年07月26日付 Milliyet 紙

憲法裁判所長官に初めて女性の裁判官が選ばれた。新長官のトゥライ・トゥージュは「憲法裁判所は、アタテュルク革命や世俗的法治国家と結びついた活動を続けていく」と語った。

世俗主義を始めとする体制の基本的性質に関し、絶対的な基準や解釈を含む決定事項に署名し、政党の活動や支出を監視し、弾劾裁判所(Yüce Divanı)で国家の指導者を裁く憲法裁判所の長官に、初めて女性の裁判官が選ばれた。
ハシム・クルッチュ、フルヤ・カンタルジュオール、トゥライ・トゥージュ、メフメト・エルテン、そしてアフメト・アクヤルチュの5人が、ムスタファ・ブーミンの定年退職にともない空席となった長官職の候補者となり、54巡の投票でも決着がつかなかった選挙は、昨日も続けられた。空いている3席の正式な裁判官ポストに大統領が長い間任命を行わなかったため、選挙に加わった代理裁判官は、昨日も票を投じた。しかしセゼル大統領が、投票が続くなかで3席の裁判官ポストに対し先週任命を行ったことや、「長官は、9月に任務を開始する新たな裁判官を発表する」と語ったことが、昨日の選挙に影響を与えた。

■トゥージュの前途をクルッチュが開いた

トゥージュ新長官は、選挙の55、56、57巡目で4票を獲得した。クルッチュ副長官は、「選挙の勝者は、新たに加わった、誰のことも知らない裁判官に決定されてはならない」という考えの下、58巡目ではトゥージュ支持に回り、候補から退いた。それまでの回でクルッチュを支持していた裁判官のうち、サジット・アダルも、58巡目でクルッチュの支持を得て5票を獲得していたトゥージュに票を投じた。こうしてトゥージュは、59巡目に長官に選出されるのに必要な6票に達した。
舞台裏では、長官に選出される可能性のないクルッチュ副長官が、定年まで2年を残すばかりのトゥージュ新長官を支持し、近く行われる次回の選挙でもう一度(長官職選出の)機会を窺うのではないかという観測が流れていた。
トルコ大国民議会(TBMM)では、高等裁判所の裁判官の数を増やし、裁判官の大部分を議会が選ぶようにする法案が議論されている。内々では、この方向で法改正が行われれば、2年後に行われる選挙でクルッチュ副長官が長官職に就く可能性が高まるだろうという声も聞かれる。

■「当選は、私たちの世俗的、平等主義的な考えを反映している」

選挙の後、長官職に就いたトゥライ・トゥージュは、最初の会見もここで行った。トゥージュは、次のように語った。「長官に任命されました。憲法裁判所は、アタテュルクの原則や革命、民主的・世俗的法治国家に結びついた活動を続けていきます。実践や姿勢にはいかなる変更もありません。今回は通常の人事交代です。長官に選ばれるとは思っていませんでした。任務を明日(今日)行われる高等法廷の聴聞会から続けます」。
「男性の同僚の票で私は選ばれました。このことは憲法裁判所の裁判官がどれほど平等主義者で、世俗的、民主的であるかの表れです」と語るトゥージュ新長官は、「優遇差別じゃないですか?」との問いに、「いいえ、平等主義です」と返答した。

■「自己犠牲が私の役回り」

仕事仲間に対し「自己犠牲が私の役回り。選挙が決着するようにと、私は候補から退いた」と語ったことで知られているクルッチュ新長官も、「過熱報道が裁判所をときに困窮させたとしても、民主的な過程を経て長官が決定した。多少の難はあったに違いないが、ふさわしい形で解決した」と述べた。さらに、長官が3人の代理裁判官の票で決められたことによる問題はない言い、「委員会に入った時点で正式と代理の区別はなくなる」と話した。

■イマームハティップ校出身者、美徳党(FP)、人民民主党(DEHAP)を拒否

1961年憲法により設置された憲法裁判所の初の女性長官であるトゥージュは、“裁判官”として重要な決定に署名をしてきた。
・美徳党の世俗主義に反するデモ活動が頻繁になったとの理由で、同党解党に賛成票を投じた。同時に「解党された福祉党の特徴を引き継いでいるという理由からも、解党する必要がある」と主張した。同党の国会議員だったナズル・ウルジャクとベキル・ソバジュに対する政治活動の禁止を支持した。
・警察学校にイマームハティップ校出身者を受け入れない法律の無効化を求める要求を拒否する立場を取った。この態度は、高等教育機構(YÖK)法においてイマームハティップ校の役割を広げる改正を計画していた政府に対する“メッセージ”とも言われた。
・人民民主党の解党と46人の党員に政治活動の禁止を課す立場で票を投じた。
・民族主義者行動党(MHP)が、EUへの加盟条件を満たすための法律のいくつかを無効化するよう求めた際に開かれた裁判で“拒否”の票を投じた。

■トルコ教育協会、アンカラ大法学部卒業

トゥージュ新長官は、1942年アンカラ生まれ。トルコ教育協会アンカラ高等学校、1965年にはアンカラ大法学部を卒業した。フリーの弁護士を経て、1974年に地域行政研究所を修了した。1982年、行政裁判所で上級調査顧問に任命された。1992年に、行政裁判所委員に選ばれ、第6局で任務に就いた。1995年に第10局に異動し、1999年12月22日、第9代共和国大統領スレイマン・デミレルにより憲法裁判所裁判官に選ばれた。「容疑者の差し戻し」「行政評価権の高等指導者による行使」というテーマの論文を書き、「生産性」についての翻訳もあるトゥージュ新長官は、既婚で2児の母である。夫はフリーの弁護士。

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( 翻訳者:倉本さをり )
( 記事ID:518 )