アルメニアで逮捕されたトルコ人研究者、本は古書店で購入したものだった(Milliyet紙)
2005年08月11日付 Milliyet 紙
歴史的に貴重な書物を国外に持ち出そうとした疑いで、アルメニアで逮捕されたトルコ人研究者イェクタン・チュルクユルマズ氏と面会した友人のアイシェ・ギュル・アルトゥイ氏は、取り調べがまずチュルクユルマズ氏の研究内容を知るために行われ、次いで古書店から入手した本が明らかにされたと述べた。
アメリカのデューク大学の博士課程に在籍する歴史研究者のチュルクユルマズ氏は、6月17日にエレヴァンでアルメニア国家保安委員会(KGB)に逮捕された。
6カ国語に堪能で、学術分野で優れた研究者として知られるチュルクユルマズ氏の逮捕に学界は大きな反応を示した。知識人や研究者で構成するチュルクユルマズ支援委員会は、アルメニアのロベルト・コチャルヤン首相に書簡を送っていた。チュルクユルマズ氏を支援する学術関係者の数は237人から250人に増えた。
同委員会の発起人であり、サバンジュ大学文化人類学部助教授のアルトゥナイ氏は、3週間前にKGBの建物でチュルクユルマズ氏と直接面会した。アルトゥナイ氏はミッリイェトに対し、チュルクユルマズ氏は20世紀初頭のアルメニア、クルド、トルコの民族主義を比較しながら研究していたと述べた。アルトゥナイ氏は次のように続けた:「彼女がアルメニアに行くのは4回目だった。政府の文書館の調査許可が下り、トルコ人研究者として初めてアルメニア政府の文書館に入った。本(を国外に持ち出すの)に許可が必要だとは知らず、本のすべては古書店や、道端で本を売る人から買ったと話していた」。
■支援サイト開設
アルトゥナイ氏は、「コチャルヤン首相に送られた公開書簡に署名した人の中には、アルメニア人の研究者や知識人も多く含まれる。一部はアルメニア生まれだが、大半は(東アナトリア生まれなどの)ディアスポラ系アルメニア人だ」と話す。
チュルクユルマズ氏の解放のため、アメリカで彼女が師事するチャールズ・クルズマン教授もインターネットサイトを開設した。ノースカロライナ大学の教員であるクルズマン教授は、http://www.yektan.orgというアドレスのサイトで、アメリカ各地で活躍する優れた研究者の支援メッセージを公開している。
■数分間で終わった初回審理
昨日行われたチュルクユルマズ氏の初回審理はわずか数分間であった。弁護団が訴状を精査する時間を望んだところ、裁判官は審理は明日に延期した。審理を人権団体の代表者とエレヴァンのアメリカ大使館員も傍聴した。チュルクユルマズ氏は、有罪判決が出れば4~8年の懲役刑に処せられる。
アルメニアで最も堅牢な拘置所でチュルクユルマズ氏と面会したアルメニア・ヘルシンキ委員会メンバーのアベティク・ウシュクハンヤン氏は、トルコ人研究者の釈放を呼びかけた。チュルクユルマズ氏は大変悲しんでいると話すウシュクハンヤン氏は、「こういった事件はトルコでは起こりうるかもしれないが、アルメニアで身柄を拘束されるようなことは予想だにしなかったと述べた。トルコ政府による大量虐殺政策を追求する数少ない人物の1人であるチュルクユルマズ氏は釈放されるべき」と語った。
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( 翻訳者:田林 玲 )
( 記事ID:653 )