内閣をめぐる賛否 シャルグ紙
2005年08月22日付 Sharq 紙

2005年8月22日付シャルグ紙1面

【政治部=イーラジ・ジャムシーディー】国会は昨日、マフムード・アフマディーネジャード大統領が提出した内閣の信任をめぐって討議を開始した。その中で注目される動きとして、一部の〈原理主義〉陣営に属する著名な人物が反対意見を表明した。

 テヘラン選出の国会議員でアーバードギャラーン連合のメンバーであるエマード・アフルーグ氏は、予想を覆し、アフマディーネジャード大統領の施政方針、及び内閣の陣容に対して、強い調子で反対表明を行った。アフルーグ氏の反対は、国会公開本会議の進行に大きな影響を与え、賛成/反対それぞれの議員らは日暮れまで、アフルーグ氏の発言を引用するかたちで、自らの賛成/反対意見を詳細に論じた。

 エマード・アフルーグ氏は〔1906年の〕立憲革命や〔1951年のモサッデグ首相による〕石油国有化運動の余波で生じた状況に類似した、過激な権力主義的状況が生まれる可能性があると警告を発し、そのことで国会議員らの間にさまざまな感情的反応がわき起こった。アフマディーネジャード大統領も自らの演説の第二部で、アフルーグ氏の警告に対し反応し、イランの今日の体制下にあっては立憲革命の後に生じたような政治状況が生まれる可能性はないと述べるほどであった。同大統領はさらに、「イスラーム共和国においては、レザー・ハーン的専制が再び生まれることは断じてないと確約しよう」と述べた。

 恐らくアフマディーネジャード大統領は、彼と多くの点で政治的信条を共にしていた国会議員から、このような反対意見に晒されるとは予想していなかったに違いない。しかしともかくも、このような反対意見が提出されたことで、新大統領はまず最初に、専制体制へと移行することはないと議員らに確約することとなったのである。

■ アフマディーネジャード大統領、早めに議場へ
 ところで、アフマディーネジャード大統領と彼が提出した21名の閣僚候補は、早めに国会の議場に姿を現した。アフマディーネジャード大統領は、記者らに公開されていた昨日の国会本会議に、正装することなく、普段通りのズボンにジャケットといういでたちで現れ、議員らと抱擁した。ハッダード=アーデル国会議長は8時20分に本会議の開始を宣言し、程なくしてアフマディーネジャード大統領が演壇に登場、次期政府の施政方針につき説明を行った。同大統領は演説全般にわたって、公正を旨とすることを強調し、それを「イスラーム政府」にとって基本的な優先事項であるとした。アフマディーネジャード大統領は閣僚を紹介する際にも、彼らは責任感が強く、革命に忠実で、イスラーム体制を深く信じ、専門知識にも長けていると強調した。

 アフマディーネジャード大統領の演説内容は、これまで彼が発言してきた事柄をほぼ同様に繰り返すものであった。にもかかわらず、内閣の構成や施政方針に対して真っ向から反対意見が提出されたことで、国会とアフマディーネジャード大統領との亀裂がはじめてあらわになった感がある。

 マラーイェル選出で国会内の少数会派に属するビージャン・シャフバーズハーニー氏が、「イスラーム共和国」ということばが演説においても、あらかじめ大統領から提出のあった施政方針書においても用いられていないことを指摘して、アフマディーネジャード大統領を批判したことは、重要な意味をもっている。アフマディーネジャード大統領は「イスラーム共和国」という語を一度たりとも用いず、代わりに「イスラーム政府」という語を強調している、イランの正式な体制は「イスラーム共和国」であり、なぜ「イスラーム政府」ということばだけが強調されて用いられなければならないのか理解に苦しむ、としたのである。ところが、シャフバーズハーニー氏の演説は、傍聴者の一人から「偽善者に死を」というシュプレヒコールが起こり、数分間にわたって議場が混乱したため、途中で終了を余儀なくされてしまった。

 この傍聴者は当初、アフマディーネジャード大統領のテヘラン市長時代の側近の一人であると噂され—のちにハッダード=アーデル国会議長はそれを否定したが—、同大統領とその施政方針に対して反対意見が表明されたことに激怒したようだ。議員らが一傍聴者から「偽善者に死を」のシュプレヒコールが叫ばれたことに抗議すると、ハッダード=アーデル国会議長は国会警備官に同傍聴者の本会議情からの排除を要請した。ラーヒージャーン選出で少数会派に属するイーラジ・ナディーミー氏は、国会の議場の雰囲気がこのようなものになってしまえば、議員らは大統領に対して反対意見を表明できないと述べ、国会運営細則の不備に抗議した。これに対しハッダード=アーデル国会議長は、公開本会議場は今後とも静粛に運営されることを確約した。

■ 反対グループの形成
 ところが、昨日国会で何よりも関心を引いたのは、国会内でのアフマディーネジャード政権に対する反対者のグループの正体が明らかとなったことだった。このグループは、テヘラン選出で〈団結と実行力〉会派の有力メンバーであるホセイン・ソブハーニーといった人物の他に、アフマド・タヴァッコリー、エマード・アフルーグ、ホセイン・フェダーイーといったテヘラン選出議員、その他3名のアーバードギャラーン連合のメンバーを中心として、形成されていた。それまでは、ハーシェミー・ラフサンジャーニーを支持する一部の議員や少数会派の議員だけが、アフマディーネジャードの施政方針及び閣僚候補に反対するものと思われていた。しかし、昨日明らかとなったアフマディーネジャード内閣の賛成者/反対者の構成が示していたのは、賛成/反対の溝は予想以上に深く、実際反対者の主要なグループは、少数会派ではなく、政治的な帰属からいえばアフマディーネジャード大統領と組織的なつながりを有した議員らによって形成されていたことである。

 実際、アーバードギャラーン連合の一翼を担い、国会に対しても大きな影響力を有しているイスラーム革命献身者協会は、アーバードギャラーン連合の別の部分を占めている者たちとともに、アフマディーネジャード大統領の主要な反対者グループになっているのである。他方、国会副議長のモハンマド・レザー・バーホナル指導下にある国会の別の原理主義グループの一団は、大統領支持派の主要グループを形成している。国会の事情通の間で囁かれている情報によれば、内閣の構成はバーホナル氏との協議によって組まれたものであり、同氏は閣僚の最終名簿を決定する際に議員らのなかで主要な役割を果たしたという。議員らとのインタビューが示すところによれば、彼らはこの情報を強く信じており、国会は大統領との話し合いから完全に蚊帳の外に置かれ、内閣の陣容は議員らの意見を無視して、一握りの議員との協議によってのみ決定されたと考えている模様だ。〔大統領は〕国会と、特に文化委員会とはまったく話し合いを行っていない、とアフルーグ氏は誓って述べている。

 昨日の賛成者/反対者の演説を総合すると、全閣僚が国会の信任を得ることができるかどうかは予断を許さない情勢だ。国会本会議終了時、多くの議員がこのことを強調していた。
〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:724 )