国家安全保障評議会(MGK)の危機の日 (Radikal紙)
2005年08月23日付 Radikal 紙
注目が今日のMGKに集まる。会議の自由部門でテロ対策法の変更が取り上げられる予定である。
■従来は任期を終える司令官の退官式である8月の国家安全保障評議会の定例会が、トルコの内政の状況によって「危機的」な様相を帯びてきた。この会議は、EUとの交渉が始まる10月3日から数えれば最後の、そして「クルド問題」と「テロ対策」議論が持ち出されてからは最初の会議となる。議題には出ていないが、会議の自由部門ではテロ対策法における改案が話題となることが予測される。テロ対策法を、昨日の閣僚会議ではなく、9月2日に行われる閣僚会議の議題とするつもりの政府は、その大枠をMGKの軍部と大統領アフメト・ネジュデト・セゼルとともに明確にする意図である。
■エルドアンに国家諜報機構(MİT)から要旨説明
MGK総書記局は、会議の前にメンバーにPKK問題について報告書を配布するとともに、エルドアンは国家諜報機構(MİT)の参事官から要旨説明を受けた。MGKの議題は、それぞれに影響を及ぼし合う2つの重要なテーマから成っている。第1は、10月3日に開始されるEUとの交渉で、「事故を起こさないため」の第一歩となる。第2は、EUの主張する思想の自由という観点から廃止されたテロ対策法の第8条が再び持ち出されるのではないかという懸念である。MGKにおいてこのテーマが議題になれば、政府は妥協策を9月2日の大臣級会議で協議するであろう。
エルドアンが、「クルド問題」の解決策はクルドの指導者と知識人の踏み出す一歩であるとして、この問題をPKKとの闘争に関連づけたことは、MGKのメンバーが本来は議題外であるとした部門の主要な議題となるであろう。参謀総長ヒルミ・オズキョクが8月5日に発言した「限定的権限」についても、政府に情報が伝えられることが明らかになった。首相エルドアンも、知識人との会談やディヤルバクル訪問で行った演説の詳細を明らかにすることが期待される。
********************本記事への解説********************
国家安全保障評議会(MGK)は首相、内相、外相、国防相、参謀総長、陸海空三軍および軍警察司令官で構成される組織である。トルコでは議会制民主主義が根付いてはいるものの、この国家保安評議会はその名の通りイスラーム運動やクルド問題など、アタテュルクの原則と共和国の枠組みを脅かす事項に関して、軍が政府を監視するための実質的な最高意思決定機関となっている。
今回の一連の論争は、8月5日に参謀総長のヒルミ・オズキョクが「テロ行為を防止するための手段が法的に限られている」という旨の発言をしたことから始まった。それに対し法務大臣のジェミル・チチェキが「テロ対策法の改案」を提案したため、EU加盟のために廃止されたテロ対策法の第8条が再び実施される可能性が出てきたのである。
一方でエルドアンはPKKとの停戦に関する話し合いに際して、「クルド問題」という語を用い、「クルド問題」と「PKK、テロ問題」は別問題であるという旨の発言をしたため国会に波紋が広がった。従来の政府の見解は、クルド問題ではなくPKK問題が存在するという見方であったため、エルドアンの発言については野党のCHPはもちろん与党内からも批判が出た。
こうした中で行われるMGKの例会とその後の閣僚会議では、クルド問題とPKK問題の定義やテロ対策法の改正の行方が注目される。復活が懸念されるテロ対策法の第8条とは「共和国と国民の一体性の破壊を目的とした宣伝をしたり、集会、デモを行うことを禁止する」という主旨のものであり、思想犯を実質的に厳しく取り締まってきた法である。EUはこの項目が思想の自由に反するものだとするが、テロ問題に直面するトルコにとってこの第8条の適用は望まれるところであり、EUとクルド問題の板挟みとなっている状況がうかがえる。(文責 大島 史)
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( 翻訳者:大島 史 )
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