アフマディーネジャード大統領、前政権に謝意 シャルグ紙
2005年09月07日付 Sharq 紙

2005年9月7日付シャルグ紙オンライン版

 マフムード・アフマディーネジャード大統領は、本日開かれた《最高指導者専門家会議》〔注1〕で、過去20年間のこれまでの実績を見渡すと、体制の明るい未来が見えてくると述べた上で、「イスラーム革命勝利後の歴代の政権は、多くの苦労を強いられてきた。それを忘れてはならない」と論じた。

 また同大統領は、イラン・イラク戦争後の政権の業績についても、「戦後数年間のうちに築かれた国家の土台を見ると、困難な問題の多くが解決されてきたことが分かる」と評価した。〔注2〕

解説(斎藤正道):
注1:専門家会議とは、もともと革命後に憲法草案について協議することを目的として設立されたもので、その後ホメイニーの後継者となる最高指導者選出のための会議として、憲法に規定されるようになったもの。専門家会議は、86名の任期8年のイスラーム法学者らによって構成され、最高指導者の言動のチェック、病気や死亡による職務遂行不能時に新たな最高指導者を選出したりする権限を有する組織で、年に一度一週間にわたって会議を行うことになっている。これまで、この会議は事実上最高指導者の言動を追認する組織となっており、改革主義者のなかには、専門会議をイスラーム法学者以外にも開放し、より実質的な最高指導者のチェック機関にすべきであると主張する者もいる。

注2:この記事でのアフマディーネジャード大統領の発言の背景として、アンサーレ・ヘズボッラーと呼ばれる組織が8月中旬に発出した声明がある。アンサーレ・ヘズボッラー(神の党の教友)は超右翼の圧力団体で、ハータミー政権下で起きた学生の民主化デモや集会、改革派知識人の講演会などに暴力的に介入するなどの行為を繰り返してきた暴力組織であり、アフマディーネジャード氏とも関係が近いともいわれている。同組織は8月、ホメイニー師死後の16年間のラフサンジャーニー及びハータミー政権を、イスラーム革命から逸脱した政権であると厳しく非難、アフマディーネジャード新政権に「偽善者」(反革命分子に対するレッテル)に対する毅然とした対応を要求する旨の声明を発表した。これに対しラフサンジャーニー元大統領が金曜礼拝での説教において、アンサーレ・ヘズボッラーを強く批判するなど、その後の《原理主義》陣営と《現実右派》陣営との対立激化を予感させた。さらにこの声明は、アフマディーネジャード大統領と近い《原理主義》陣営からも、批判的な反応を引き起こし、自称《原理主義》陣営内部での非難合戦に発展する。この騒動は、《原理主義》陣営が過半数を占める国会での内閣信任投票で、アフマディーネジャード大統領の腹心であったサイードルー石油相候補をはじめ、4名の閣僚候補が不信任となったこと、前テヘラン市長のアフマディーネジャード氏が大統領に選出されたことにともなって2ヶ月間にわたり空席が続いていたテヘラン新市長に、前警察長官で大統領の椅子をアフマディーネジャード氏と争ったガーリーバーフ氏が、《原理主義》陣営が全議席を占める市議会での投票において、8対7の僅差で選出されるなどの政治的動向と合わせて、《原理主義》陣営内の今後の政治的対立を予期させるものとして、注目される。アフマディーネジャード大統領は、専門家会議においてイラン・イラク戦争後の政権について評価する発言を行ったことで、ひとまずはアンサーレ・ヘズボッラーと距離を置いたものと理解できる。

Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:藤川淳 )
( 記事ID:836 )