2005年9月11日付シャルグオンライン
アメリカ・エネルギー情報局は、「カスピ海地域、昨今の情勢と問題」と題された論文の中で、カスピ海に埋蔵する天然ガス及び石油資源の開発において、イランとロシアの動きは他のカスピ海周辺国に比べて鈍いと記している。
このような中にあって急速に発展への道を歩んでいるアゼルバイジャン共和国は、「第二のクウェート」との名を獲得、一部の国際的な石油会社は、同国政府の委託を受けて、石油・天然ガスの探査・採掘を手がけてきた。
この地域では現在、石油探査が進行中であり、ブラジルの石油会社「ペトロブラス」も協定の最終合意ヘ向け、テヘランにおいてイラン石油国営会社と協議を行ってきたと、同報告書は記している。
アメリカ・エネルギー情報局の報告書はまた、カスピ海地域の石油・天然ガスの輸出用パイプラインは、地域紛争の火種になりうると述べている。カスピ海は、90年代から2000年代初めにかけての石油・天然ガスの探査で注目を集めてきた。アメリカ・エネルギー情報局の報告書によると「西暦2005年の夏に、イギリスのBP主導の下でのコンソーシアムにより建設された新パイプラインを用いた、カスピ海南部からトルコのジェイハン港への石油輸送が開始される予定」という。
同報告書は「過去15年にわたり、西欧諸国は資本、技術、そして外交を利用して、中東への石油依存を減らすために多大な努力を行っていきた」と指摘しつつ、次のように付け加えている。「東洋の市場、特に中国や東南アジアといった市場もまた、カスピ海の石油資源開発ヘ向け、すでに取引を開始している。カスピ海の原油生産量は、2015年までに日量400万バレルにも達すると見積もられている。それに対して、同年のOPEC加盟国の生産量は、4500万バレルに達すると予測されている」。
アメリカ・エネルギー情報局は、カスピ海の原油確認埋蔵量は、170億バレルから330億バレルでないかと推定しており、最低でカタールの石油埋蔵量に、最高でアメリカのそれに匹敵すると考えている。この論文は続いて、発展傾向にあるカスピ海地域の石油産業の輸出・探査・拡大の問題に触れ、次のように論じている。「同地域のエネルギーの流れは、従来型の〔カスピ海沿岸地域からモスクワへという〕「南北」という軸から、〔カスピ海沿岸地域からトルコを経由してヨーロッパへという〕「東から西へ」という軸へ転換している。この転換はロシアからヨーロッパへ、というこれまでのエネルギーの輸送の方向を変えるものであり、またカスピ海地域の新興独立国家の国家目標の拡大とも合致するものである」
また同報告書では、カスピ海地域の埋蔵原油・天然ガスのさまざまな輸送ルートが抱える状況や利点について検討されている。特に検討の対象となっているものは、西ルート、バークー=トビリシ=ジェイハンを結ぶパイプライン、南コーカサス・パイプライン、東ルート、南・南西ルート、北・北西ルートなどである。この報告書によると、いかなる状況下であれ、カスピ海地域の石油・天然ガス輸送パイプラインは地域紛争の火種となり得、またこの地域紛争が最終ルート決定の際のもう一つの複雑な問題・要因となるだろうとのことである。カスピ海地域に居住する数多くの宗教・民族集団、そして現下の慢性的な紛争の存在が、現在建設中のパイプラインにとって、脅威となっているのだ。
このアメリカの研究所はさらに、カスピ海の石油・天然ガス資源をめぐる最も厄介な難題は、〔カスピ海の法的地位に関して〕沿岸5カ国の間で包括的な合意ができていないことであると述べ、次のように付け加えている。「ロシア、アゼルバイジャン、カザフスタンの3カ国はそれぞれ、2国間合意に調印しているが、それに対してイラン側の主張は、カスピ海の資源の20%が各国に割り当てられるべきだというもので、別の言い方をすれば、各国が全カスピ海地域から得られた全収益の20%を得るというものである」。
〔訳注:この記事は一部誤植のため判読できなかったため、元記事であるイラン学生通信(ISNA)の記事を参照した。URLはhttp://www.isna.ir/Main/NewsView.aspx?ID=News-581776〕
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( 翻訳者:柴田愛子 )
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