英国ジャック・ストロー外相:EUはトルコ加盟を認め拡大すべき(Milliyet紙)
2005年09月09日付 Milliyet 紙


 イギリスの外務大臣ジャック・ストローによる政策についての論説において「EUにとって、トルコを引き入れて拡大することのほかに選択肢はない。」

 EU議長国イギリスがトルコのEU加盟に与える支援について、外務大臣ジャック・ストローは力強い表現で再度言及した。ストロー氏は、「ヨーロッパは、トルコをEUへ引き入れて競争力を高めるか閉鎖性を強めるかという2つの路線から選ばなければならない」と述べた。EUの完全加盟交渉を10月3日に始めるべきであると述べるストロー氏は、ヨーロッパがトルコを拒絶すれば大きな危機の原因となりえ、EUの信用が問われることを強調した。
 ストロー氏は、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に昨日掲載された論考で、「いま2つの選択肢がある。共同体内にとじこもったヨーロッパか、世界に開かれたヨーロッパだ。安定した豊かさの中の民主主義からなるより広い共同体を作るために、境界を広げていくヨーロッパになるのか、それとも隣人たちに対して扉を閉じたヨーロッパになるかだ」と述べた。

■10%拡大するだろう
 しかし「EUには選択の余地はない」というストロー氏は、拡大をやめたら、ヨーロッパは、上昇中のアジア経済と競争する能力を弱めることになると述べた。
 トルコ経済が来年、EU全体の成長率をおさえて10%の成長率をおさめることが推測されることに注目して、ストロー氏は「トルコの商業の半分はそもそも対EUであり、イギリスとEUの輸出業者にとって(トルコは)大きな市場である」と書いた。

■危機の警告
 ストロー氏は以下のように続けた。
「トルコの加盟の政治的理由はさらに重大である。文化と宗教の多様性は、目的を一にすれば互いに調和していけることを示す。EUに碇を下ろし、安定し繁栄しているトルコは、人口の大多数をムスリムが占める世俗的な国で、とても強力なシンボルになる。」
 ストロー氏は、「トルコを拒絶することは、今日まで保障されてきた重要な前進を無意味にしてしまう危険性があり、我々を危機に陥れかねない」と話した。「何故今なのか」という自問自答には「なぜなら今がそのときだからだ」と述べた。ストロー氏は、EU加盟という目標がトルコで影響力の大きな変化のプロセスを促進するエンジンの役割を果たしており、公正発展党政府が包括的で大胆な改革プログラムを実行していることを述べた。

■問題はキプロスだ
 12月のEUサミットで、トルコが十分にコペンハーゲン基準を履行したことが確認されたことに触れ、ストロー氏はキプロス問題に以下のように言及した。
 「それなら問題は何か? まだ解決に至っていない、分断されたキプロス島の問題だ。1997年に、紛争が未解決であってもキプロス(ギリシャ人地区)のEU加盟には障害となるべきでない、とキプロスの加盟を弁護したのはイギリスであり、去年キプロスはEUに加盟した。残念ながらEUが支持し国連が後援した和解プロセスは成功しなかった。しかし我々は国連の努力を支え続けている。

■あらゆる観点からの生活
 公共政治研究所が昨日ロンドンでまとめた「トルコのEU加盟問題」という題の会議でも講演したイギリス外務大臣のストロー氏は、トルコの加盟支持を強い口調で繰り返した。10月3日にトルコがEU加盟交渉において重要な「最後の一歩」に近づいたと話すストロー氏は、来月行われる決定が重要な結果になるだろうと述べた。ストロー氏は、トルコとヨーロッパの何百年にも渡る関係も例に挙げて関心をひきつけた。


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( 翻訳者:岩根 匡宏 )
( 記事ID:831 )