ギリシャ正教会総主教 ‐怒らせるような発言はしていない(Milliyet紙)
2005年08月02日付 Milliyet 紙
フェネルのギリシャ正教会総主教座は会見で、副首相シャーヒンの「総主教の権限を逸脱している」という発言についてバルトロメオス総主教が深く憂慮していることを明らかにした。
フェネルのギリシャ総主教バルトロメオスに対して行った副首相メフメト・アリー・シャーヒンの「総主教の権限を逸脱している。法に基づいた活動を行うべきだ」という発言についてギリシャ総主教座は、「とても重大なこの発表は極めて遺憾だ。我々の発言には罪にあたるような箇所はない」との返答を行った。
クナル島のキリスト修道院のワクフ財管理について、ワクフ総局が管理局管轄下の(代表者を持たない)ワクフ財だとして入手に着手しようとしたことから始まった議論はますます広がっている。金曜日にクナル島の子供キャンプの開会後バルトロメオスがマスコミに行った会見で「ワクフ総局が我々の財産に手をつけようとしている。悪意がある」と述べた後、シャーヒンは、ミッリイェト紙へ「総主教はトルコ国民として法に基づく行動をすべきである。彼について必要な法的措置が行われるだろう」と説明した。
バルトロメオスと総主教座の幹部たちは、昨日このニュースに関して何時間にも及ぶ会議を行った。その後発表された書面では以下のように述べられている。
■心底悲しかった
「2005年8月1日に出版されたミッリイェト紙においてメフメト・アリー・シャーヒン氏が総主教バルトロメオスについて『フェネルの総主教は権限を逸脱している』『必要な法的措置がとられるだろう』といった発言を行ったことは、かねてよりトルコのEU加盟や、全国民が公正で平穏に生きることを祈り続け努力を惜しまないバルトロメオス総主教を心底悲しませることとなった」。バルトロメオスの「批判された発言では、罪にあたるような点はまったくない」とし、以下のように続けた。
■首相へ進言した
「幾つかの権利侵害においてもこれまで類似した説明が行われています。さらに直接会談を受け入れて礼儀を示してくださったレジェプ・タイイプ・エルドアン首相へ我々の弁護士ケズハン・ハテミとともに我々の見解と要求を文書と口頭で伝えました。
政府の一閣僚が憲法と法令に照らして決して罪とは性格づけられない発言にこのように厳しい態度で返答することに対し、我々が世論に向けてこうした発表をせざるを得ない立場におかれたことを、総主教バルソロメオスよりご挨拶申し上げるとともに、敬愛をもってお伝えいたします。」
■少数派ワクフQ&A
少数派ワクフが、1936年以降に所有された不動産への着手を発端とし、ワクフの運営をワクフ総局が取り戻そうとして始まった議論が続いている。政府と少数派ワクフの対立に関するこれまでの進展について、次のQ&Aにまとめた。
1 少数派ワクフはいつ組織された?
―このワクフは1912年に発布された法律により法人格が与えられ、不動産の所有が可能となった。1935年6月13日に発布された法により不動産は権利証書へ記録、通告義務がもたらされた。
2 財産への着手の問題はいつ始まった?
―最高裁は、国家安全保障を理由に1974年5月8日に行った決定において、1936年までに行われた通告が組織の成立文書として受け入れられること、ワクフが申告書において明らかにした以外の不動産を所有できないことを決定した。少数派ワクフが1936年以降に所有した財産は国庫に収められ、新たな不動産所有への道は絶たれた。
3 少数派ワクフはどこに多い?
―少数派ワクフは、イスタンブルをはじめとして、ハタイ、サマンダーウ、イスケンデルン、アルトゥノズ、チャナッカレ ギョクチェアダ、ボズジャアダ、カイセリ、マルディン、ディヤルバクル、シュルナク県、マルディンのミドヤット、メルスィン、ブルサ、アンカラに多く見られる。
4 少数派ワクフは何を求めている?
―1936年よりも後に寄進や遺言によって得た不動産の返還を希望するワクフは、「法的にも実情としてもサービスが行われていない」との理由で彼らのワクフ財を「管理局管轄ワクフ財」として総管局が管理していることに反発している。少数派ワクフは、第三者に売られたワクフ財の返還を求めている。返還されない場合として、ワクフ財に対する賠償金が要求されている。
5 政府は少数派ワクフからの要求に対応したか?
―2002-2003年に組織された少数派ワクフは不動産を所有できるようあらゆる手段を用いた。だが問題を引き起こしたとして、第2762号のワクフ法にある「法的にも実情としても適切なサービスを行っていないワクフはワクフ総局によって管理される」という条文は改定されなかった。
6 教団ワクフは欧州人権裁判所へ申請したのか?
―管理局管轄ワクフの返還を行わない政府に対し、120の少数派ワクフは1300件の不動産が返還されるよう欧州人権裁判所へ申請した。
7 トルコはこの行為をどう弁護する?
―トルコ政府は、2003年に不動産については新制度が敷かれ、116の教団ワクフの2234件の不動産について登記申請が行われ、ワクフ総局がこの申請のうち424件を承認したことを裁判所に報告した。他方教団ワクフは、この変革は1936年と1974年の間に所有された財産は含まれていないことを申し立てた。欧州人権裁判所は依然審判を下していない。
8 この件の最終決定を下す最高裁第十部局はどのような見解を報告したか?
―ビュユク島・ギリシャ男女孤児院ワクフの管理に着手したワクフ総局の決定を無効にする訴えによって訴訟が行われたが、アンカラ第十地方行政裁判所はこれを拒否した。しかしこの決定は、最高裁第十部局によって撤廃された。同局は、ワクフ総局が、常態的に活動を行う非ムスリム教団ワクフに対し管理に着手できないことを示唆した。
9 政府は決定をどう解釈する?
―「管理局管轄下」というカテゴリーに入れられているワクフは「活動打ち切りのため」ワクフ総局の管理下に置かれたのだとの見解を発表した政府は、今回の最高裁の決定を検討し、解釈を行う予定である。
10 EUも注目しているワクフに対し新たな措置は行われるのか?
―トルコ大国民議会で予定されている新ワクフ法案では、1936年以降国庫に収められ、第三者へ売られた財産とともに管理局管轄ワクフ財が返済される、といった措置はない。副首相メフメト・アリー・シャーヒンは「少数派の権利は財産、不動産から成り立っていると思われている」と不平をもらしたことで注目された。また、フェネルのギリシャ総主教バルトロメオスは「財産に手をつけられかけた。12万人のギリシャ系人口が2千人へ落ち込んだ」と述べたとたんにシャーヒンの批判に遭った。
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( 翻訳者:藤巻晋也 )
( 記事ID:567 )