EU交渉開始を前にフランス、危機をまねきたくないと発言(Milliyet紙)
2005年08月31日付 Milliyet 紙

フランス外務大臣ドゥスト=ブラジは、「フランスは欧州に新たな危機を招きたくない」と述べつつ、同国が、キプロスのためにトルコの交渉開始を妨げる意図はないことを明らかにした。

 近頃、様々なレベルにおいて関係者が「トルコはキプロスのギリシャ地域を承認することが必要である」と口にし、でなければ10月3日のEUとの交渉を開始することは出来ないだろうという脅しめいた発言をしているフランスだが、昨日はトーンを落とした。フィリップ・ドゥスト=ブラジ仏外相はこの問題に関する会見において、「フランスは欧州に新たな危機を招きたくない」と述べた。
 各国駐在のフランス大使たちの、パリにおける例年の通常会議において講演したドゥスト=ブラジ仏外相は、講演の冒頭で、EU加盟を希望する国(トルコ)がEU加盟国(キプロスのギリシャ地区)の承認を拒否していることは論理的にみて妥当とは思われないと述べた。このため、EU加盟国であるフランスはトルコにキプロス問題に対する態度を明らかにすることを要求する権利があると強調し、「この正当な要求は、ある明確な懸念と結びついているのです。わが国は、欧州に新たな危機を招くことを求めてはいません」と語った。

 ドゥスト=ブラジ仏外相は、「フランスは各国のコミットメントに敬意を表したいが、トルコと他の加盟候補国も敬意を表して、EU加盟の条件を満たすことを望んでいる」と述べた。このドゥスト=ブラジ仏外相の言葉を受けて、ブリュッセルにおけるEU加盟国常任代表による本日開催の会議および木曜と金曜日の外相会議を前に安堵感が広がった。
 フランスの政治エリートは、当初はトルコのEU加盟を支持していたにも関わらず、5月29日のEU憲法の国民投票以来態度を変え、トルコに反対する方向へ動き出した。ドミニク・ドヴィルパン仏首相は8月初めの演説において、トルコはキプロスのギリシャ地区を関税同盟の一員としている付属議定書に署名したにもかかわらず、これは(キプロスの)承認を意味するものではないなどと宣言したことを批判した。さらに「トルコがキプロス(ギリシャ地区)を承認しなければ、EUとの加盟交渉は考えられない」と述べ、ジャック・シラク大統領も種々の理由でドヴィルパンの見方を支持すると表明した。

■延期しようと言う者はいない

 キプロスが原因で10月3日のトルコのEU加盟交渉期間が開始されないかも知れないという推測は、全く根拠がないことがはっきりした。欧州委員会の委員長ホセ・マヌエル・バローゾは、ポーランドのヴィボルツァ紙のインタヴューにおいて、EU諸国からは10月3日に開始予定のトルコの加盟交渉を延期しようという提案は全くないと述べた。バローゾは、欧州委員会がトルコとの交渉の準備をしていると明らかにしつつ、この問題における決定は、EU諸国の責任においてなされるとした。


□交渉枠組のために、誰が何を望んでいるのか?
■21カ国が支持、4カ国が障害

 EU・トルコ関係の観点から決定的となる可能性をもつ2つの重要な会議を前にし、トルコ政府には多くの支持が寄せられている。10月3日に開始される交渉の方向性も含まれる交渉枠組が、以前委員会から出されたそのままの形で保たれることを21カ国が支持している。他方フランス、オーストリア、ギリシャ、キプロスのギリシャ地区は、文書を厳しいものにしようと格闘している。
 英国のニューポート市において9月1‐2日に開催予定の非公式EU外相会議では、主要議題を作成し、交渉枠組の変更を図る数カ国がある。その強調する点は次のようなものだ。

■何を望んでいるのか?

フランス:完全加盟重視を弱め、特別パートナーシップという形を重視するよう望んでいる。オーストリアが支持。
オーストリア:新メンバーを迎えるのにEUのキャパシティが十分かどうかをより強調することに重点を置いている。仏が支持。
ギリシャ:エーゲ海問題の件で、トルコが実力行使に訴える恐れを標的とした表現が、明確な形で本文に入ることを望んでいる。
(キプロスの)ギリシャ地区:交渉段階でトルコの承認を得られるという保証を求めている。関税同盟を全EU諸国に拡大した付属議定書の文脈において、トルコの港および空港がキプロスのギリシャ地区政府に開放されることを望んでいる。フランスとオーストリアが支持。

 今日開催されるEU常任代表委員会の主要議題としては、トルコがキプロス問題について行った宣言に対する回答が作成される予定である。出される予定の対抗宣言では、厳しい表現は盛り込まれない見通しである。宣言においてトルコ側からなされた説明は、EUの法的見地からは有効ではないということが、強調されるであろう第一の点である。付属議定書が全体として実行されるべきだということ、そしてEUが25カ国から構成されていることも、重視すべきことの中に位置づけられている。


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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:776 )