首相が支持の文明間対話会議に党内から「待った」(Milliyet紙)
2005年08月29日付 Milliyet 紙
公正発展党のゲチェン国会議員は、ハタイで行われる文明間対話に対して、「平和の名のものに、ハタイがバチカン化されようとしている。キリスト教の鐘の音や、ユダヤ教、イスラーム、それぞれの祈りの声が同じ場所にあつまるのだという。平和、対話というがこれらは我々に害を及ぼしている。」と発言した。
9月25-30日、ハタイで宗教間対話をテーマとする文明間対話会議が行われる。レジェプ・タッイプ・エルドアン首相が支持するにもかかわらず、公正発展党の中からは反発の声があがった。首相が極めて重要と位置づける会議に反対したのはハタイ出身の公正発展党フアト・ゲチェン議員で、「平和の名の下にハタイがバチカン化されている。」と述べた。
ゲチェン議員は、キリスト教、ユダヤ教、イスラームの3つの宗教が参加し世界平和のメッセージを発信する第1回ハタイ文明間対話会議への批判を、幹事長をとおして党総裁であるエルドアン首相に伝え、首相がこの問題に介入してくれることを望んでいる。ゲチェン議員は次のように語った。
「ハタイがバチカン化されようとしています。まずクルド問題に言及したこと、次にアルメニア問題、そして改宗問題と、次々とこの種のことが起こるようになりました。キリスト教の鐘、ユダヤ教やイスラームの祈りの声が同じ場所に集まるのだそうです。平和、対話と言いますが、これらは我々に害を及ぼしているのです。」
ゲチェン議員は、「宗教間対話」という名のもとに行われる活動が間違いであると強く主張し、「宗教についてはきめ細かな配慮が示される必要があります。EUがこの会議を潤沢な資金でサポートしているそうですが、なぜこんなことをするのでしょうか?EU自体のためになるからです。ハタイでは4つ目の教会堂が完成間近です。(教会関係者は)貧乏な学生たちに助けの手を差し伸べています。そして学生たちは改宗しています。キリスト教の布教活動が日に日に増えています。これに対する防止策をとる必要があります。」と述べた。同議員は、ハタイ文明間対話会議に抗議するため、アンカラでエルドアン首相が出席した会議に欠席したことを明らかにし、「ハタイで行われる予定の文明間対話会議に関するロゴがつくられました。しかしミナレットは目立たず、よく分かりません。非礼を避けようとしたのかとってつけたようにシルエットが描かれていますが、こんなことは認められません。」と発言した。
■エルドアン首相は重要視
エルドアン首相は、アンカラで行われた第1回ハタイ文明間対話会議に関する広報会議の際、文明間対話の実施を極めて重要と考えていること述べた。
同首相は、「トルコでは、ヨーロッパに対する異なるメッセージが発信されています。人々が文明間衝突の犠牲にされませんように。信条の違いから悲観的な状況に陥りませんように。異なる宗教を信奉する人々に敬意を払いましょう。信仰をもつ人たちのイデオロギーは『宗教』であるといった説明は避けましょう。」と語っていた。
■ソイダン議員:ハタイ文明間対話会議は正しい
他方、ハタイ出身の公正発展党メフメト・ソイダン議員は、文明間対話会議がハタイで実施されることは正しいと発言、次のように続けた。「人々の宗教が何であれ、それを知ることが必要だと考えています。教会の増加に文句を言うものは、その前にイスラームを学ぶこと、そしてコーラン学校が直面する困難をなくすことに尽力してください。我々は、イスラーム以外の宗教が継続していくことにも敬意を払わなければなりません。宗教間の対立ではなく、平和のなかでの共存を重要視すべきです。大きな目標を目指すときに、こまごましたことにこだわることを正しいと思いません。フアト・ゲチェン議員のハタイ会議に関する考えにも賛成しません。だからといって、皆が私のように考えなければならないとは思いません。宗教的信条をもつ人たちも、宗教について意見を語る権利があります。この自由はあるべきなのです。ヨーロッパにいるトルコ人たちもムスリムとして生活しています。自国内で他の宗教の存在を許さないといったことはありえません。遠い昔、我々の先祖も、3つの宗教を一緒に生かしました。エルサレムも三つの宗教にとって重要な場所です。」
■布教は嘘
ハタイ出身の公正発展党イスマイル・ソイル議員も、ハタイ会議を支持した。同議員は、人々が宗教や宗派の違いを超えて共存する必要があるとし、「重要なことは、人間が人間らしく振舞うことです。ユダヤ教信者だろうが、キリスト教信者だろうがそんなことは重要ではありません。ハタイにいるムスリムがキリスト教へ改宗しているという主張は嘘です。こんなことは起こりえません。皆、自分の信条にしたがって生きているのです。」と語った。
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( 翻訳者:山下 王世 )
( 記事ID:765 )