パキスタンとイスラエルの外相、イスタンブルで初会談(Milliyet紙)
2005年09月02日付 Milliyet 紙
パキスタンは、イスラエルのガザ地区撤退に続いて、イスラエルと歴史上初めての外交的接触をイスタンブルでもった。パキスタンのカスリ外相は、会談がイスラエル国家を「承認する」ものではないことを強調した。
パキスタンとイスラエルは、歴史上初めてイスタンブルで一堂に会した。スルタン・アフメト・フォー・シーズンズ・ホテルで行われた会談に、パキスタンのフルシード・マフムト・カスリ外相とイスラエルのシルヴァン・シャローム外相が代表団とともに参加した。レジェプ・タイイプ・エルドアン首相の代理として、メフメト・アイドゥン国務大臣とエゲメン・バウシュ首相顧問もホスト国として参加した。一昨日と昨日行われた会談のあとにカスリ外相、シャローム外相、アイドゥン国務大臣は報道陣の前で握手をした。アイドゥン国務大臣は、この会談が非常に重要なものであること、これに続く別の発展もあることを述べ、次のように話した:
■ムシャラフ大統領がエルドアン首相に電話
「首相をはじめとして我々は政府として、広くは世界の平和を、狭くは中東の平和のためにあらゆる手助けをしており、これからも続けていきます。このような背景でパキスタンのパルヴェーズ・ムシャラフ大統領がエルドアン首相に電話をし、パキスタンとイスラエルの外務大臣が一堂に会すること、そして私的な会合で意見交換することが有益であろうと伝えてきたのです。首相は、関係各所と調整して、この会談をイスタンブルで開催する手助けをしたのです。」
カスリ外相とシャローム外相は、三者で行った記者会見でも、また自国のみで行った記者会見でもコメントを述べた。カスリ外相は、イスラエルとガザ地区での進展をパキスタンが重要視していることを明らかにし、最近のガザ地区撤退の後、イスラエルとの外交樹立を決断したと話した。同外相は、パレスチナの指導者マフムド・アッバース議長も会談を喜んで歓迎していることを明らかにした。また、この会談がイスラエル国家を認めるものではないことを強く主張し、パレスチナ問題が解決に向かえば承認できるだろうと述べた。
他方、シャローム外相は、会談を「歴史的であり重要、そしてオープンで有益な関係のはじまり」と評価した。同外相は、イスタンブルでの会談開催はムシャラフ大統領の決断だったと述べ、次のように続けた。「これは偶然ではない。トルコは偉大なる民主主義の世俗国家であり、またイスラエルの大切な友人です。トルコとの関係は、イスラエルが周辺のムスリム諸国と相互に有益な関係を樹立できることを証明するものです。」
シャローム外相は、パキスタンとの関係正常化に大変重要な会談を現実のものとしたと述べ、ムシャラフ大統領の決断に対して「非常に重要で勇敢」と話した。
シャローム外相は、(イスラエルが)エジプト、ヨルダン、トルコ、そしてモーリタニアの4つのイスラーム国家と外交関係があることを説明し、次のように話した。
「全てのアラブ諸国と接触がありますが、これは非公式ルートです。しかし私が望むのは、今後、この非公式ルートに代わって他の国々とも正式な外交関係樹立がかなうことです。他の国々もパキスタンに続くことを望みます。(それらの国は)イスラエルともそしてパレスチナとも正式な外交関係を樹立することが可能です。」
パレスチナ副首相ネビル・シャアト氏は、パレスチナの指導者マフムド・アッバース議長とは反対に、イスラエルとパキスタンの外交会談に「懸念」を表明した。同副首相は、イスラーム諸国とイスラエルの関係樹立にはまだ適当な時期ではないと発言し、「イスラエルが平和プロセスに本当の意味で献身的な態度を見せるまでは、譲歩すべきではないと考えています。」と話した。
■トルコへの賞賛
国際メディアは、両国の初めての公式会談で、トルコが極めて成功裏に重要な役割を演じたことを指摘した。
■ムシャラフ大統領:イスラエル国家を認めたわけではない
9月17日にニューヨークで開かれる米国系ユダヤ人会議でのスピーチのために招待されているパキスタンのパルヴェーズ・ムシャラフ大統領は、昨日のイスラエルとの会談がイスラエルを国家として認めるものではないと指摘、パレスチナ問題が解決するまではイスラエルを承認することはないと述べた。
ムシャラフ大統領は、両国の外相がイスタンブルで一堂に会することが、両国にとって初めての公式会談であることを指摘しつつ、「しかしこれは決してイスラエルを承認したという意味ではありません。」と述べた。パルヴェーズ・ムシャラフ大統領は、イスラエルに代表団を送ることを明らかにしたが、詳細は語らなかった。
これに応えてイスラエルのシャローム外相は、「我々は完全な外交関係樹立を望んでいます。しかし当然のことながらこれは段階的に実現していくものです。建設的で完全な外交関係樹立を実現できることを信じています。しかしこれは時間のかかることです。」と話した。
■黒旗を掲げる
他方、パキスタンの急進派イスラーム層は、トルコで行われた会談を非難し、政府がアメリカの圧力に屈していると糾弾した。パキスタンで6つの急進派イスラーム政党(野党)からなる連合のガーズィ・ヒュセイン・アフメド代表は、カスリ外相の帰国を黒旗で出迎えると述べた。
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( 翻訳者:佐藤 淳也 )
( 記事ID:788 )