シラクの妨害―アルメニア訪問で「虐殺記念碑」に献花(Radikal紙)
2006年10月01日付 Radikal 紙

フランスの首脳がアルメニアで、トルコのEU加盟には「アルメニア人虐殺」を認めることが条件と発言。

フランス国民議会は、「アルメニア人虐殺」の否定を罪とみなし、懲役5年と45000ユーロの罰金刑を課す法案審議を10月12日に行う準備を進めている。一方、アルメニアを訪問中のジャック・シラク大統領からはトルコ政府を不愉快にする発言が飛び出した。同大統領は今回はじめて、第一次世界大戦中のアルメニア人の大量殺りくを「大虐殺」であったとトルコがEUに加盟前に認める必要があると発言した。


■「アルメニア人虐殺を認めるべき」

独立後のアルメニアを訪問する初のフランス大統領であるシラク大統領は、30日、アルメニアのロベルト・コチャリャン大統領との共同記者会見で、トルコに関して次のように質問された。「トルコはEUに加盟する前に、1915~17年のオスマン・トルコによるアルメニア人大量殺りくを『虐殺』と認めるべきだと考えますか。」これに対し同大統領は、「本心を言えば、私はそう思います。」と答え、次のように続けた。「ドイツは虐殺を認めたからといって、信頼を失ったといえますか?信頼はかえって深まったといえるでしょう。過去の間違いや惨劇を認める国は成長するのです。」さらにシラク大統領は「トルコはこの事実を認めることで、歴史、伝統、文化を活気づかせることができるでしょう。」と語った。

シラク大統領は、トルコがEUに加盟するためには過去の殺人を認め、記憶を一新する努力が必要であるとの発言を2004年にしている。40万人のアルメニア系国民を抱えるフランスは、国民議会で「大虐殺」を公に認めた最初の西欧の国である。しかし、シラク政権は「大虐殺」問題とトルコのEU加盟を別々に扱ってきた。
コチャリャン大統領は、トルコのEU加盟に関して次のように述べた。「我々は、加盟交渉プロセスを危険なものとは思っていない。加盟交渉プロセスのなかで我々の国益について議論されることについても満足している。移動の自由や国境の開放といった価値観を受け入れる隣人をもつことは我々の利益につながる。」多数の大臣や実業家を随行させたシラク大統領は、コチャリャン大統領に対し、アゼルバイジャンとの間にあるナゴルノ・カラバフ問題解決に努力するよう呼びかけた。


■虐殺記念碑を訪問

29日夜、コチャリャン首相による空港での出迎えをうけ、正餐を共にしたシラク大統領は、昨日はベルナデット大統領婦人とともに「アルメニア虐殺記念碑」を訪問、献花し、「虐殺博物館」を見学した。同大統領は慣例に従って植樹をし、暗殺の犠牲になったレバノン大統領のラフィク・ハリーリが植えた記念樹の前で写真撮影を行った。
シラク大統領はまた、アルメニア系フランス人歌手であるシャルル・アズナヴールが「フランスにおけるアルメニア年」のキャンペーン・コンサートに出席し、本日(1日)、アルメニア聖使徒教会の主教を訪問し、帰国する予定である。


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( 翻訳者:松岡聡美 )
( 記事ID:3614 )