パレスチナ消息筋が語る、カタールによる調停失敗の経緯(アル=ナハール紙)
2006年10月13日付 Al-Nahar 紙

■ パレスチナ高官、カタールによる調停失敗の原因を本紙に語る

2006年10月13日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【ラーマッラー:ムハンマド・ハウワーシュ】

 パレスチナのさる高官は本紙に対して、カタールのハマド・ビン・ジャースィム・ビン・ジャブル・アール・サーニー外相がドーハ、ダマスカス、ガザの間を巡回して行った調停の真相とその失敗へと導いた原因を明らかにした。

 同高官によるとパレスチナのマフムード・アッバース大統領は約10日前にドーハを訪問し、カタールのハマド・ビン・ハリーファ・アール・サーニー首長がパレスチナ自治政府に対して先月5千万ドルを寄付したことに謝意を表するとともに、パレスチナ挙国一致内閣樹立をめぐる危機解決のため、カタール政府がイニシアチブを取りたいと希望していることについて首長および外相と協議を行った。

 長時間にわたる協議の後にアッバース大統領とハマド首長は、2006年9月27日になされた提案がファタハとイスラーム抵抗運動「ハマース」の両者にとって、また大統領と内閣の両者にとっての中間案であり、国際社会の各方面にとっても受け入れられるものであり、パレスチナ人民への包囲解除につながるものである、つまり決定への影響力を有する各国の首都において検討が可能な、擁護に値する提案だという見解に達した。

 また同高官によれば、イスマーイール・ハニーヤ首相とガザ地区のハマース幹部によるファタハとの挙国一致内閣樹立への合意では不十分であることが確実になったため、アッバース大統領とハマド首長はハマースのハーリド・マシュアル政治局長とダマスカス在住のハマース幹部らに対して9月27日の提案を提示することで合意した。そのためカタール外相が10月7日木曜日にダマスカスへ向かい、同地在住のマシュアル政治局長およびハマース指導部に次の6項目からなる提案を示した。

1.国連の諸決議への合意
2.パレスチナ解放機構(PLO)指導部がイスラエルと調印した協定への合意
3.ジョージ・ブッシュ米大統領のビジョンに基づく、隣接する2国家の共存への合意
4.双方ともに完全にテロを放棄すること
5.上記の原則に従ってイスラエルとの交渉を2年間アッバース大統領に委任すること
6.パレスチナ内閣およびパレスチナ人民に対する包囲を解除すること

 同高官の明らかにしたところによれば、「ハーリド・マシュアル氏とシリアのワリード・アル=ムアッリム外相は即座に提案を拒否し、二人は代替案を用意すると述べたが、ハマースとカタール外相の発表によれば、ハマースは提案の検討を約束し、提案を拒否する実際の態度をメディアで明らかにはしていない」という。ハマド・ビン・ジャースィム外相はダマスカスを発ち、ムアッリム・マシュアル提案に譲歩して自らの提案を取り下げた後、月曜日にダマスカスに戻った。その後、ドーハでの合意とは関係のない別の事項に関してアッバース大統領に提案するため、ガザへと戻った。

 また同筋によれば、「ムアッリム・マシュアル文書は、すべての国際的な遵守事項や要求を内閣ではなく大統領府とアッバース大統領に対するものと位置づけている。しかしアッバース大統領としては国際社会との関わりに関しては何の問題もなく、今日の危機はパレスチナ内閣が、パレスチナ自治政府と対外的な協定締結の主体であるパレスチナ解放機構の遵守事項を否認していることが原因で起きているパレスチナ人民に対する包囲による危機である。オスロ合意を発展させて不完全な主権しか有しない政体から主権を有するパレスチナ国家の樹立を目指すための国際社会の諸々の協定もハマースは否認している。今日ハマースに要求されていることは、オスロ合意を作成するとともにハマースをパレスチナ統治体制の重要な一部たらしめた故ヤーセル・アラファート大統領とマフムード・アッバース現大統領の二人が提示した以上のことではない。ハマースが統治体制内にありながら内外の新たな現実に適応しきれていないがゆえの危機に基づいて、パレスチナ人は危機とその解決法について話し合っているのだ」という。

 ムアッリム・マシュアル提案の内容は次のとおりである。

1.パレスチナ国民合意文書に基づき挙国一致内閣を組閣すること。
2.パレスチナ自治政府大統領府とパレスチナ解放機構は以下の原則に基づき2年間にわたって交渉を行なう。
(1)パレスチナ人民の権利を保証するべく国連憲章および国際法、国連決議を尊重すること。
(2)パレスチナ人民の権利と最も重要な利益を保証するべくパレスチナ自治政府とパレスチナ解放機構が調印した協定を尊重すること。
(3)パレスチナ人民が自らの土地を解放し、正当な手段によって占領を終結させるために闘争を行う権利を確認すること。
(4)上述の原則について国民合意文書第7項に定めた機関(すなわちパレスチナ立法評議会および国民評議会)に提議し承認を得たうえで、それを遵守することから生ずる成果を堅持すること。
(5)挙国一致内閣を承認し、同内閣の樹立後ただちに[国際社会によるパレスチナ内閣への]包囲を解除し、捕虜および収監者を解放すること。
(6)上述の原則を堅持しその履行に努めることとはすなわち、中東地域における公正な平和の実現に向けて、1967年6月5日に占領されたパレスチナの土地にパレスチナ国家を樹立することを目指すことである。

 消息筋によると「アッバース大統領はこの提案を拒否した。現在の危機は一貫してパレスチナ大統領府の政策ではなくパレスチナ内閣の政策に起因しているにもかかわらず、問題の根源を無視して内閣には何ひとつ義務を課していないからである」とのことである。

(中略)

 カタールのハマド・ビン・ジャースィム外相はムアッリム・マシュアル提案がアッバース大統領側からは決して受け入れられず、他の打開策を探るしかないとの判断に到った。

■ 第三の提案

 同筋によるとこの時点で「カタール外相との間で第三の提案文書が作成された。ハマースおよびハマース内閣の報道官はカタールの第一の提案を拒否したことへの言及を回避するためこの文書についても言及せず、第一の提案と同様の強固な姿勢で第三の提案文書も拒否した」という。第三の文書の内容は次のとおりである。

1.国民合意文書に基づき挙国一致内閣を組閣する。同内閣は以下の条項を遵守する。
(1)パレスチナ人民の国民的権利を保証するべく国連憲章および国際法、国連決議を尊重すること。
(2)この権利を保証するべくパレスチナ自治政府とパレスチナ解放機構が調印した協定を尊重すること。
(3)パレスチナ人民が自らの土地を解放し、正当な手段によって占領を終結させるために闘争を行う権利とテロの放棄を確認すること。
2.上述の原則を堅持するとともにその履行に努める目的は、挙国一致内閣が樹立された際に承認の得られることを確実にすること、同内閣に対する[国際社会の]包囲を解除すること、捕虜および収監者を解放すること、中東地域における公正な平和の実現のために1967年に占領されたパレスチナの土地にパレスチナ国家を樹立することである。
3.パレスチナ大統領府は上述の原則に基づいて2年間(アッバース大統領の在任期間)にわたり交渉を担当する。

 同筋によると「アッバース大統領はこの第三の提案が、ドーハで起草され中東地域および国際社会の各方面から承認を得た6項目提案と異なっていることを認識していたし、この提案が各方面に受け入れられないだろうということも認識していた。それにもかかわらずアッバース大統領は第三の提案を承認し、各方面から反対されつつも各国の首都に連絡をとり、新たな提案を擁護した。その結果として反対勢力のボイコットを受けることになろうとも、結果に対して責任を負う覚悟が大統領にはあった。しかし内閣と、マシュアル政治局長に連絡してこの件について協議を行ったハニーヤ首相は、この提案を拒否した。これによって実質上カタール外相の今回の任務は失敗し、「さて、これからどうする?」という、少なくとも今のところ答えの見つからない問いと対立だけが残されることになった」という。

 他のパレスチナ高官筋は本紙に対して「カタールの仲介努力はもう失敗に終わった」と述べている。



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( 翻訳者:田中裕子 )
( 記事ID:3759 )