鳥インフルエンザで兄姉3人を亡くしたアリ・ハサン君(6歳)、無事退院(Milliyet紙)
2006年01月10日付 Milliyet 紙

アール県ドウバヤジット郡で、きょうだいとともにさばかれたニワトリで遊んでいるときに、鳥インフルエンザウイルスに感染したアリ・ハサン・コチイイット君(6歳)は、数日間生死の境をさまよったが一命を取り留めた。3人のきょうだいを突然失ってしまったアリ・ハサン君は、本紙の仲介で家族と再会した。家に拍手で迎えられたアリ・ハサン君の姿を見て、母マリフェトさんは「私にとっては今日が祭日だわ」と話す一方、父ゼキさんは「うれしくて卒倒してしまいそうだ」と語った。

■「ニワトリにはもう触らない」
ヴァン百周年大学医学部小児科病棟で治療を受け、きょうだいが亡くなったことをまだ知らないアリ・ハサン君は「良くなったからとってもうれしい」と話した。アリ・ハサン君は病院の廊下で手にあめをもって歩いているときに本紙記者を出迎えてくれた。無菌室でおもちゃの車で遊ぶアリ・ハサン君は「誰に一番会いたい?」との質問に「お母さん」と答え、さらに自分の命を救ってくれた医師についても「先生も大好きだよ、僕を治してくれたんだもん。ありがとう」とお礼を言った。アリ・ハサン君はもうニワトリには触らないと言い「ニワトリは大好きだけど、病気になっちゃった」と話した。

■「おまわりさんになりたい」
医師から「治癒証明」をうけ、昨日退院したアリ・ハサン君はヒュセイン・アヴニ・シャーヒン病院長、アフメト・ファイク・オネル小児科長とともに姿を現し、マスコミ陣にポーズをとって見せた。アリ・ハサン君は、シャーヒン医師の「何になりたい?」という質問に対し「おまわりさんになりたい」と答えた。その答えにシャーヒン医師は笑って「そうか説得できなかったか、お医者さんになりたいと言ってくれると思ったのに」と話した。オネル医師はアリ・ハサン君の健康状態に問題点は全くないと述べた。

退院後、本紙の用意した車で家族と再会するため家に向かって出発したアリ・ハサン君は、最初に通りかかった店でボールがほしいとねだった。記者が彼にプレゼントしたボールにすぐさま飛びついたアリ・ハサン君はガラタサライファンであると言った。道中、父と電話で話したアリ・ハサン君は「今向かってるよ。ボールを買ったんだ。悲しまないで、僕もお父さんに会いたい」と話した。途中で空腹のため好物のキョフテを食べたいと言ったアリ・ハサン君は、休憩の際に記者らと一緒に食事をした。家までの道中、叔父と叔母がアリ・ハサン君に同行した。

コチイート家でアリ・ハサン君の到着を今か今かと待ちわびていた家族は、彼の元気な姿を見て大喜びした。拍手で迎えられたアリ・ハサン君に母と父はキスし、しっかりと抱きしめた。涙をこらえきれない母マリフェトさんは次のように語った。

■母「気持ちが少し楽になった」
「私の心の痛みは大きい、3人の子どもを失ってしまったのだから。でも1人は神の御加護により助かったのでうれしい。私は子どもたちのいないベッドを見ることができない。犠牲祭のため他の家では子どもたちに立派な衣装を着せているのに、うちは3人の子どもをなくしてしまった。そのことを考えるたびに泣いてしまう。あの子たちにはもう二度と会うことができない。ただアリ・ハサンが戻ってきたことで気持ちが少し楽になった。こんな悲しい思いを他の誰にも味わわせたくない」。
父のゼキさんは息子が家に戻ったことで二重の祭日になったと述べ、「ドアから家に入ってくるや否やうれしくて卒倒しそうになった」と話した。親友が心の痛みを分かち合ってくれたと言うゼキさんは、エルドアン首相から電話があり、仕事を紹介すると言ったと述べた。

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( 翻訳者:栗林 尚美 )
( 記事ID:1686 )