イスラエル、レバノン上空偵察飛行の停止要請を拒否(アル・ナハール紙)
2006年11月04日付 Al-Nahar 紙
■ イスラエル、レバノン上空での偵察飛行の停止を求めたアメリカの要請を拒否
2006年11月04日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
【UPI、AFP、ロイター、AP】
イスラエルは、アメリカの要請にも関わらず、レバノン上空での偵察飛行の停止を拒否し、現状では飛行を継続すると断言した。
イスラエル外務省のアミーラ・オレン報道官は「ユナイテッド・プレス・インターナショナル(UPI)」通信社に対し、「当面はレバノン領空における戦闘機の飛行を停止する可能性はないと考えている」と発言した。オレン報道官は、イスラエルの戦闘機がレバノン領空で飛行を続けている問題が、イスラエルのエフード・オルメルト首相にとっても、軍にとっても検討の対象となっている、と述べ、さらに、「我々はイスラエルに対するアメリカやヨーロッパの批難も認識している。しかし、当面イスラエルの方針に変更はないと私は考えている」と付け加えた。また、「イスラエル首相にはこの問題を検討する用意がある。しかし、シリアからヒズブッラーへ武器の密輸入が行われているにも関わらず、レバノンにおけるヒズブッラーの活動についてイスラエルに情報を提供する国家ないし機関が存在しない。また、ヒズブッラーのメンバーが戦争前のごとくイスラエル・レバノン国境付近の前線に戻ってくる可能性についても同様に情報を提供する機関がないことを挙げた。
アメリカ政府はイスラエルに対し、殊に今週イスラエルの戦闘機がベイルート上空を飛行したことで、レバノン領空での偵察飛行を停止するよう要請していた。
イスラエルの「ハーレツ」紙の報道によれば、アメリカ国務省のデイヴィッド・ウェルチ中東問題担当国務次官補とエリオット・エイブラムズ国家安全保障担当大統領副補佐官は昨日、西エルサレムでイスラエル政府関係者らと会談した際、こうした偵察飛行を理由にイスラエルを非難した。このアメリカの両特使はイスラエル関係者らに対し、イスラエルの戦闘機がレバノン領空を飛行することは、特に今週ベイルート上空を複数のイスラエル戦闘機が飛行したことは、レバノンのフアード・アル=セニョーラ首相の影響力を弱めることになる、と警告したという。
(中略)
イスラエルの閣僚らはこのレバノン領空飛行によって国際的に不利な影響が出ることを心配しており、一方でアメリカ政府はレバノンにおける安定状態が揺るがされることを懸念している。
イスラエルのリベラル紙「ハーレツ」は一面の見出しにおいて、イスラエル機の飛行が「レバノン領空での挑発」であると表現し、これが「レバノンの主権に対する、また国連安保理が採択した第1701号決議に対する、明らかな違反」となるとの見解を示した。
こうした非難は軍の内部資料が明らかになった直後から大きく高まった。その軍資料には、偵察飛行は7月にヒズブッラーにより拉致されたイスラエル兵士二人の解放や、シリアやイランからのヒズブッラーへの武器輸入の禁止に関して実効的な介入をさせるために、「国際社会に対して圧力を加える手段である」と述べられていた。
これまでイスラエルは、偵察飛行の正当性を外交や政治上の目的ではなく、軍事情報を得るための必要性によって主張していた。
(中略)
■ ミサイル発射台の接収
イスラエルTVは、ヒズブッラーが今夏の戦争の際にイスラエル製のミサイル1発とその発射台を接収したと報じた。
同TVは、イスラエル軍の一部隊がレバノン南部に、「スパイク」の名でも知られる「ギル」型の対戦車ミサイルとその発射台を残してきた、と説明し、この兵器がヒズブッラーを支援しているイランに送られた、と付け加えた。
イスラエル軍は、イランの専門家がこの兵器のコピーに成功したのではないか、あるいは無力化させるための方法を作り出したのではないか、と危惧している。
(後略)
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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:3880 )